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令和7年に読む『ベルサイユのばら』【3】

この記事では、1972年から連載が開始されたマンガ『ベルサイユのばら』(作:池田理代子)を読んでいきます。巻数は、全部で14巻です。本作が少女マンガ史においてどのような位置にあり、どういった評価を受けているかなど、あまりよくわかっていません。ほとんど予備知識のない状態で接した『ベルサイユのばら』がどのような作品であったかを、ありのままに記録していこうと思います。

3巻「ゆるされざる恋の巻」

  • 読んでいると具合が悪くなっちゃいそうなくらいおもしろいマンガ、『ベルサイユのばら』3巻である

  • 3巻はまずフェルゼンが結婚を考えているくだりから始まる

  • 驚いてオスカルの目も「十 十」になっているぞ

決めました
  • 祖国スウェーデンの利益になる政略結婚であった

  • 個人的に好きとかの感情はなくてよい、とフェルゼンは言った。結婚の理不尽は3巻のテーマだ

  • 一方、マリーはオスカルの説得もあって、ついにギャンブルから足を洗う決意ができていた

リアクション素直すぎるだろ
  • ポリニャック伯夫人としては、ずっとマリーをカモに荒稼ぎしていたため、大きな収入源が断たれてしまうのであった

  • こうした展開も、当初は18世紀フランスの話と思って読んでいたが、よく考えてみれば、現代日本でも、やたら公共事業に入札して儲けようとする広告代理店だとか、ふるさと納税にぶらさがってる仲介業者も似たような発想で金儲けをたくらんでいるのであって、いまの日本も大差ないんだなと悲しい気持ちになるのであった

  • さてポリニャック伯夫人といえば、馬車ひき逃げ捨てゼリフ事件が記憶に新しいですが、事件で母親を失ったロザリーは、犯人を探し出して叩き斬るというミッションを胸に、宮廷を歩いていました

  • そんなとき……

2ページ見開きで遭遇シーンだ
  • ついに見つけた母のかたき!!

  • いやードラマティック。みごとな展開だ

  • もう斬るしかないでしょ!

  • ところが、オスカルはロザリーにこう忠告するのであった

復讐はなにも生まない
  • 自分の人生を大切に。そんな優しい言葉をかけられて、思いとどまるロザリー

  • これ、タランティーノだったら問答無用で斬るんだけどな……

  • しかし、斬らないのも勇気ある選択肢だ

  • 一方、ポリニャック伯夫人はオスカルを警戒していた

  • 博打をやめさせるのもそうだが、自分の悪だくみをことごとく潰されてしまうし、マリーを思い通りに操ることができなくなる

  • このあたりの権謀術数にまつわる描写は実にいい。なんかこう、腹黒い人がたくさん出てくるドラマのおもしろさがあるね

  • いっそのこと殺してしまえと、ムチャな発想をするポリニャック伯夫人

シャンデリアおっことし作戦
  • いきなり頭上に落下してくるシャンデリア。反射的によけて助かったが、これもポリニャック伯夫人のしわざであった

  • いやー、緊張感があってマンガから目が離せない

  • さらには、王妃から呼び出されて出かけてみると、正体不明の悪漢に襲われるという事態に

刺されるオスカル
  • オスカルはこの悪漢からの攻撃で肩をケガしてしまい、自宅療養を余儀なくされた

  • 気に入らないやつは消していく、恐怖のフランス宮廷

  • さらには、ポリニャック伯夫人は娘を公爵と結婚させて、さらにみずからの地位を上げていこうとしていた

  • このハングリー精神、どこから来るのか。もうそのへんで落ち着いて、普通に楽しく生きていけばよくないか

  • 11歳で結婚を決められて動揺するポリニャック伯夫人の娘

「伊代はまだ16だから」の言い方
  • やっぱり目が「十 十」になるコマはいいね

  • 愛と結婚にはどのような関係があるのか

  • 生活のために妥協する結婚は、現代にも残ってはいまいか

  • そんな中、フェルゼンは、愛のない結婚についてオスカルに問われ、こう答える

なぜか右手が握りこぶし
  • 深い、深すぎるぞ

  • これは18世紀の話ではない、現代にも通じる話なのだ

  • しかし、結婚を受け入れることとなったフェルゼン。ついにマリーにも報告だ

白目!!!
  • マリーの受けた精神的インパクトを白目で表現!! 白目のマリーよすぎるな

  • この白目にはちょっと感動してしまった

  • 愛する人がほかの人と結ばれると知ったときの衝撃を、白目で表現した池田先生。それまで目の中に銀河みたいな星を散りばめていた池田先生でも、本当のショックを描くときは「無地」

  • 一方、ポリニャック伯夫人が自分の母親を殺した犯人であり、なおかつ自分の母親であると知ったロザリー。怒りから赦しへとフェーズが移行していくのであった

ロザリーは心がきれいなんだよ
  • かと思えば、ロザリーの姉ジャンヌは、偽造の手紙を使ってローアンをだまし、どんどんお金を騙し取っていった

  • この人も貪欲すぎて、少しずつ尊敬しはじめている私

宮廷にはやんちゃな人がいっぱいいるぞ
  • さてさてフェルゼンである。マリーに好かれていたが、実はフェルゼンの側にも、マリーに対する情熱があったことが発覚

  • しかし、こんな行為があったと知れては、死刑もまぬがれない

  • 禁断の恋に突入

ああっ、いけません
  • 命がけの恋愛。バレたら死刑という状況であった

  • さすがにマズい。この許されない恋だけはやめさせたいと、オスカルが忠告

忠告するオスカルであった
  • そして、マリーから「あなたに女の心をもとめるのは無理なことだったのでしょうか?」と言われ、苦悩するオスカル

最高のコマ
  • この「女の…こ…ころ…」には感動してしまった

  • 『ベルサイユのばら』はすばらしいマンガだ!

  • さて、ポリニャック伯夫人の娘シャルロットは11歳で結婚を言いつけられ、恐怖におののいていた

  • こうしたセリフにフェミニズム的な視点を感じる。すばらしい

怖いに決まってるよ
  • 絶対に結婚したくない。そう感じたシャルロットは、高所から身を投げて死んでしまうのであった

  • どうにか助けようとがんばったオスカルだが、助けられず

若くして散った命
  • こうした描写を見ていると、『虎に翼』を思い出してしまうな

  • あゝ、結婚とは。マリーを深く愛してしまったフェルゼンもまた、結婚をしないと誓うのであった

  • 結婚が地獄のようであること。これは『虎に翼』だ!!!

フェルゼンの宣言
  • ひとつのテーマが、複数のキャラクターを横断しながら展開されるのが実にいい

  • オスカルは礼装を着て舞踏会に登場。礼装を着ると「その日は踊る」という意味らしい

踊る気まんまんです
  • 誰と踊るのか? それはマリーであった

  • 自分と踊ってくれるのかもと思っていたロザリーはがっくし

楽しく踊るふたりであった
  • あまりの落ち込みで目が白くなってしまった

白目、最高すぎるな
  • 白目は絵としておもしろいので、もっとやってほしいと思う私であった

  • さて世界史的にいうと、アメリカの独立戦争が起こっていた

なるほど、その時期か
  • フランスはイギリスと揉めていたので、敵の敵は味方という感じでアメリカを支援していた

  • アメリカ史は結構勉強したので、このあたりは把握しやすかった

  • ただ、アメリカ的には、独立に際してあまりフランスに借りを作ってしまうと、独立したあとであれこれ要求されるかもしれないので、フランスに頼りすぎないよう注意していたと本で読んだ

  • いやー、世界史の勉強にもなっていいマンガだ!

  • さて、ポリニャック伯夫人である。オスカルは警戒していたが、フェルゼンとの不倫については、自分に有利なように利用できそうだと計算していた

  • もはや冷徹なマシーンのように、人を有用か否かのみで判断するポリニャック伯夫人であった

怖すぎるよ
  • さて、ジャンヌである。マリーのそっくりさんを連れてきて、この女性をローアンと会わせ、自分に愛情を持っていると誤解させた上で、さらにお金をふんだくろうという魂胆

  • ここまでやる根性がみごと

替え玉作戦だ
  • 作戦は成功。どんどんお金を巻き上げるジャンヌ。頂き女子ジャンヌちゃんの誕生である

もうめちゃくちゃだよ
  • マリーは、ようやく浪費癖も止まっていた。高価なダイヤを買わないかと持ちかけられるが、断る精神的余裕ができていた

  • 成長したのか、マリーよ

お断りです
  • フェルゼンはアメリカの独立戦争を支援するため、アメリカへ向かおうとしていた

  • オスカルに反対されるが、戦場へ向かうフェルゼン

  • 展開に世界史が入ってくると、がぜんスケール感が増すね

きっ!
  • アメリカ行きには、道ならぬ恋をあきらめるというもうひとつの目的があり、物理的にマリーと距離を取って、燃えさかる恋心を鎮めるねらいがあった

  • こんなに燃える恋したことないよ私。どれだけがんばっても蚊取線香くらいの火量です

愛をあきらめるフェルゼン
  • マリーはまたしてもポリニャック伯夫人にそそのかされ、宮廷ではなく、自分専用の別荘に住むと言い出した

  • ポリニャック伯夫人としては、できるだけマリーを自分の支配下におきたい。だからこそ、オスカルような注意力のある人物からマリーを引き離したかった

  • 次から次へと悪だくみしつづけるポリニャック伯夫人、たくましいな

オスカルが必死の説得だよ
  • そうこうしていると、マリー母が突然お亡くなりになった

  • いや『ベルサイユのばら』ドラマティックすぎる。息もつかせぬ展開

さようならお母さん
  • マリーを導く役割の人がいなくなってしまった

  • この人の言うことさえ聞いておけば、という頼れる人物の死

  • 4巻以降が不吉でしかない

母の死を表現するドラマティックなコマ
  • マリーが母の死に打ちひしがれるなか、ジャンヌは究極のプロジェクトに取りかかろうとしていた

  • それは192億円のダイヤを騙し取ること。この作戦を完遂させ、究極の頂き女子として君臨するため動き出したジャンヌ

  • 公文書偽造もなんのその、とてつもないダイヤをゲットしたジャンヌ

燃えたぎる野心
  • そしてついにアメリカが独立。1776年。その知らせはフランスにも入ってくる

  • 個人のドラマと世界史の大きな流れが交差する、みごとなプロットだ

インディペンデンス・デイ
  • ところが、戦争が終わったはずなのに帰ってこないフェルゼン。帰りを待つうちにやけになったオスカルは、酒に酔って飲み屋で暴れることに

  • そしてロザリーを抱きしめながら思う

なんというドラマ
  • なんというフェミニズムドラマか。70年代にこれが描かれていたとは

  • マリーの元には、ジャンヌが詐取したダイヤの請求書が届いていた。なぜならジャンヌは、マリーがダイヤの代金を払うという文書を偽造していたからであったが、マリーは覚えがないのでその手紙を燃やしてしまった

  • これが次回の地獄展開を招くらしい

つづく

3巻の感想

  • またしても全編が最高で震えてしまった

  • 登場人物が揃って貪欲すぎる。1巻のデュ・バリー夫人がかわいらしく見えるほどに

  • ポリニャック伯夫人もジャンヌも強すぎだ!

  • 世界史とうまく重なっていく構成でスケール感もでてきた

  • いまはポリニャック伯夫人がどうなるのか、それだけが楽しみ

  • フェルゼンはいつ帰ってくるのか。アメリカで死んでるなんてことはあるまい

  • 最高潮のテンションのまま4巻へ

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