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一人前のデザイナーになるまでの成長記録-欧文作字編-
こんにちは、Campのデザイナー山下です。
2025年もよろしくお願いします🎍
入社してちょうど1年が経ち、携わらせていただいた制作物も増え、前回のnote投稿時よりもできることが増えた気がします。
デザイナーとして一人前になるまでの過程をnoteで発信していく記事の第2弾。今回は欧文の作字についてです🤲
▼ 課題とトレーニング内容
前回は「永」の作字を通じて苦手を克服していくトレーニングでした。
前回の記事もぜひご覧ください。
どんな苦手があったか…
イラレで作ったパス(※1)の形が滑らかではなく、不自然な形になって違和感がある
日付の文字組やカーニング(※2)、文字の選定などフォントに対する理解がまだまだで文字への解像度が低い
※1:点と線を繋ぐ、「ハンドル」というセグメントを操作するためのバーの総称
※2:隣り合う2つの文字の間を調整する機能
どれもデザイナーの基礎スキルであり、山下的には一人前を目指すには克服必須の苦手項目です。
今回の課題は、欧文「Hamburgevons」の作字トレーニング。
「Hamburgevons」とは和文で言う永字八法のように、欧文書体のデザインを評価するために必要なパーツが揃っている作字のハイブリッド単語です。
永の作字と比べて、シンプルに単語数が多く時間管理が難しかったり、曲線の多さなど苦手の詰まった作字ですががんばって乗り越えねば……⛰️
〈 条件 〉
1シートにつき、サンセリフ体・セリフ体・スクリプト体・デザイン書体の4つの書体で「Hamburgevons」を1単語ずつ作成する
デッサンの要領で作成していく
デザイン書体は自分で造形を考えてつくる自由枠とする
最初の週は5日で1シートを仕上げる、次の週は3日と2日で、さらに次の週からは1日1シートと徐々にスピードアップ
〈 目的 〉
造形力を身につけよう
文字への理解、知識と技術を頭と体の双方で身につける
時間の管理ができるようになろう
作業スピードの向上
全体像を早くつかみ、つくりあげる
完成度が70%でも提出する「見切りをつける力」とメンタルのコントロール
イラレと仲良くなろう
ベクターを上手く扱えるようにし、イラレに翻弄されない
ショートカットを覚え、作業を効率化
それでは、制作したものを見ていきましょう。
▼ 実践
◼︎1回目:1日1時間作業をし、5日間で作成
まずは基本のHelveticaから。
和文の「永」1文字とは違い、必要なパーツや丸の多さにかなり苦戦しました。
なんでこんなに曲線が多いんだ…
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◼︎2回目:1日1時間作業をし、3日間で作成
線の抑揚は少ないが、丸みに特徴がある書体に挑戦しました。
丸の図形に調整を加えないといけない難しさやアルファベットごとに丸の形が違うところも苦戦したポイントでした。
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◼︎3回目:1日1時間作業をし、2日間で作成
a,g,sに露骨に時間がかかりパスの操作の難しさを痛感しました。
スクリプト体も調整途中で時間切れになってしまいました。
時間の課題をクリアするにはフォント選びも重要だなあ
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◼︎4回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
初めて1シート1時間で作成をしました。
サンセリフ体をベースにセリフ体の装飾を付け足す作戦で、1時間を目指しましたがまったく間に合いませんでした……。
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◼︎5回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
どれぐらい時間がかかっているのか測りながら制作することでスピードアップさせる作戦で作成しました。
時間を意識することで途中で見切りをつけることができ、1時間で作れる量を伸ばすことができました。
見切りをつけた分、セリフ体は特に文字1文字ごとの濃さがブレてしまいました。
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◼︎6回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
1シート4書体1時間があまりにも難しく、1書体に仕切り直ししました。
時間をかけて苦手な曲線がどうすればきれいになるか学習していきました。
でも時間をかけても線の太さは相変わらずガタガタです……。
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◼︎7回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
骨格をなぞって再現をすることで、きれいなパスの形を探しました。
合わせて、曲線のパスをどう作っているのか佐藤浩二さんの作例を参考に再現しました。
↑アンケートにご回答いただいた方へのプレゼントは、COSYDESIGNのロゴタイプの制作過程がわかるイラレデータと、「務」という漢字をパスで書き起こすやり方の解説で使用したイラレデータです。 pic.twitter.com/mnOjMC4QZ8
— さとうコージィ COSYDESIGN Inc. (@cosydesign) May 14, 2023
ここから、手探りできれいになるパスの形を探していた状態から答えに近づけるようなパスを探すようになり、以前よりきれいに曲線のパスを作れるようになっていきました。
※グレーの書体部分は打ち文字です。
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◼︎8回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
7回目と同じく、Futuraを骨格からなぞって再現し、肉付けをしました。
線の抑揚が少ない書体ではあるが、以前よりきれいに作れるようになったと感じました。
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◼︎9回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
書体の太さを変えて再挑戦しました。
全部均一に見える線の太さは全部均一に見えるように調整されていることをやっと理解できてきました。
特にカーブする線や丸の部分は上下と左右で線の太さが違いました。
※グレーの書体部分は打ち文字です。
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◼︎10回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
少し期間が空いてしまいました。
まだまだ課題はありますが、以前よりもパスの調整に時間がかからなくなり短い時間である程度いい形が作れるようになった感覚がありました。
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◼︎11回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
骨組み作成の時間が短くなり、肉付けに時間をかけられるようになりました。
「a」の右下のはらいのように細かい部分にまで気を配れるようになってきました。
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◼︎12回目:1日1時間作業をし、1日間で作成
最初はいきなり肉付けして、削る・付け足すで調整していました。
骨格に肉付けをしていく作り方で、肉付けしていく時に軸になる部分がぶれず、線の強弱のブレは多少あるものの文字としての歪みが少なくなりました。
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▼ まとめ
トレーニング中、期間は空いてしまいましたが、「永」の作字以上に回数を重ねることができました。
それでは、目的として掲げたことが達成できたのか振り返っていきましょう。
・造形力を身につけよう
曲線を美しく見えるように作ることにまだ苦手意識があります。
しかし、どういうパスなら美しく見える曲線を描けるのかだったり、少ないパスで造形ができるようになった部分は成長を感じました。
・時間管理ができるようになろう
欧文書体4種を1時間で作成すること自体、難易度の高い課題であったことから1時間に終わりきれないことがありました。
見切りの付け方や、省略できる工程は省略するなど、そもそものスキルアップと同時に、今できることで時間内に全体を作る工夫をする必要があったと頃が反省点でした。
・イラレと仲良くなろう
ショートカットもパスの扱い方も、和文の作字のころより確実にコツを掴んだような感覚がありました!
上達への近道として、先輩デザイナーの方々の知恵をお借りして習うことも大事だと思いました。
頭と身体で知ること、覚えることはまだまだあるなあと感じました。
全部を糧にして成長していきます🍽️
次回の成長記録は、名刺の設計のトレーニングを投稿予定です。
読んでいただき、ありがとうございました!