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Camp Inc. Notes
2019年6月20日 15:20
考えてみれば、すごくひさびさのワンデルングだった。時刻は21時を過ぎたころで、「カウンターに三人ぐらいかな」と予想を立ててお店のドアを開けると、ちょうど三人の男女が奥から順に座っており、扉を開ける僕の方を見た。「ああ、いらっしゃい」大さんがカウンターの中から声を掛けてくれる。「こんばんは」と僕は大さんに挨拶をしてから、席に座る三人に会釈をした。以前も書いたが、ワンデルングは夜だけ営
2019年3月27日 12:11
階段をのぼって二階に上がると、ダイニングでは新田さんがひとりテーブルに座っていた。「もうね、ほとんどできてるから」僕の姿を確認するなり、新田さんはそうつぶやいて静かに席を立つ。「もうできてるからって、まさか……」新田さんと入れ替わるようにテーブルに着く。鞄を下ろし、着ていた上着を椅子にかけて居住まいを正したところで、小皿に盛られた料理が目の前に運ばれてきた。「とりあえず、なめろ
2019年2月25日 11:15
「いっしーはどうしてそう、自分をしっかり持って、安定していられるんだろう」大さんがそう訊いてきたので答えに迷ってしまった。場所は三軒茶屋のCampの事務所。新田さんと三人で話しているうちにそんな話になった。僕が訪れる前に社内のミーティングがあったらしく、大さんはそこでの自分の振る舞い方に違和感があったことを自省していた。「ニッシンは僕といっしーが似てるっていうけど、けっこう違うように思
2019年2月13日 10:39
模範的な秋晴れの日だった。駅に着いて、道を思い出しながら目的地へと向かう。三軒茶屋にある株式会社Campの事務所を訪れるのはこれが二度目だ。Campの事務所は大通りから外れた路地裏にある。小さな公園の隣に静かに建っている一軒家で、そんな外観のせいもあってか、人のオフィスを訪れる緊張感はほとんどない。 インターフォンを押して応答を待っていると、横にぬっと人影が現れた。「来たね」「