レーシック体験記

これまでに、どれくらいの人がレーシックの恩恵を受けた事でしょう。一方で、手術の失敗をめぐって裁判沙汰になるなど、後悔されている人もいらっしゃいます。手術を考えた事がある人は、一度は悩んだと思います。受けるか、受けないか…結果を受け入れる事も含めて、最終的な決断は、自分自身にかかっています。

20代最後に、自分へのプレゼントとしてレーシックを受けました。高校３年辺りからコンタクトで、手術当時の視力は０．０６。『解放されたらどんなに良いだろう！　思い立ったが吉日』とすぐに調べ、都心のとある病院に予約を入れたのです。

早速問診に出かけると…手術の方法が『一般的な方法』の他に、『格闘技用』『弱視用』など、その時は全部で４種類ありました。『どの方法を希望されますか？』と聞かれ『一般的な方法で良いですが、格闘技用が気になります。』と答えました。

しばらく待たせられた後、大変ふくよかでニコニコと愛想の良い女医さんが、目の前にドシンとおかけになられました。この時、バッチリ眼鏡をかけていらっしゃいました。あるお医者さんが『知識がある分、手術を受けるのが怖い。』と仰っていましたが、この先生もその口だったかも知れません。何も分からない方が幸せな事もあるようです。『皆で受ければ怖くない。』とその時の私は単純に考えていましたから…。　

先生：初めまして。マロンと駒さんですね。私：はい。宜しくお願い致します。　　　　先生：この度レーシックご希望との事ですが、何か格闘技をされているのですか？　私：いいえ。ただ、以前から空手に興味があるので、聞いてみただけです。実はやった事はありません。　　　　　　　　　　　　　先生：空手…格闘技用の手術ですと、術後、３週間に一度は様子を見せに来て頂く事になります。また、半年は外出の際、サングラスをかけなければなりません。　　　　　　私：(かなり面倒らしいな…）一般的なやり方ですと、空手は出来ないのですか？　　　　先生：目に刺激を与えるものは出来なくなります。空手は諦めなければならなくなります。どうされますか？　　　　　　　　　私：テニスは大丈夫ですか？　　　　　　　先生：テニスは構いませんよ。　　　　　　私：テニスが出来るなら、一般的な方法にします。

という訳で、懇切丁寧に相談に乗って頂いた後、手術の日程を決め、手術可能か簡単な検査・診断を受けて、その日は終了しました。

手術当日。暮れも近い土曜日の大安でした。翌日曜日と２連休にするため、土曜日を有休にしておきました。本人確認の後、手術の前、麻酔用の点眼薬を５種類くらいさされました。少し経つと、目が固まったようになり、順番で次々に呼ばれていきます。

いよいよ私の番になると、看護師さんに手を引かれて手術室に連れて行かれました。入っていくと、宇宙服のような恰好をした医療スタッフが５人くらいズラッと並んでいたのを薄目で見ました。『お名前をフルネームで言って下さい。』と声をかけられました。声の感じからして『女医さんかな？』と思いました。『もう逃げられない。』と、さすがにこの時は不安でした。

手術は不鮮明な印象しか残っていません。『外の様子がまるで見えない、びしょ濡れの窓ガラスを見ているような感じ』としか表現のしようがありません。何だかよく分からないうちに終わってしまいました。術後は、やって来た時と同じように、看護師さんに手を引かれ、休憩室に。ここで２０分ほど寝かせられます。

寝ている最中、そっと薄目を開けると、目の前にひかれているカーテンの模様がはっきり見えました。『ワッ！　よく見える！』と感動したのを憶えています。２０分後、医師の診断を受けて、問題なければ終了です。後は、２度ほど様子を見せに行き、問題なければ完了です。病院で貰ったゴーグルのような眼鏡をかけて、その日は大人しく帰宅しました。

週明けの月曜日、職場で、私に仕事をよく教えて下さっていた隣接の女性にこの話をすると『今、私と同じくらい見えてるんだ！』と驚いていました。手術直後は１．５ありました。勤務中にも関わらず、しばし盛り上がってしまいました。その後、若干戻りがありましたが、視力は無事に回復し、手術からかなり経った現在も、視力は両眼とも１．０～１．２くらいです。失敗例もあるので一概に言えませんが、私は受けて良かったと思っています。　

手術後、しばらくは階段を降りるのが怖かったです。今までぼんやりとしか見えていなかった世界にいたので、下り階段を見るとクラクラしました。術後１か月ほどは、転んだりしないよう、くっきり見えるのに慣れるまで、手すりに頼っていました。

今、週に１記事を目安にしていますが、私の場合、PCを見続ける作業は、２時間が限度です。２時間経過すると、目が疲れてきて、画面を見ているのがつらくなります。目が悲鳴をあげているのを感じたら、このサインに素直に従うことにしています。せっかく治した視力だから、生涯大事にしていこうと思いつつ、この辺りで電源を落とします。