西洋絵画とジャポニズム
「肖像コラージュ」おかげさまでかなりの反響をいただいております。
実際のご予約も何件か入っており、催事も幾つか決定しました。
ありがとうございます。
「肖像コラージュ」の詳細記事はこちらをご覧ください。
チラシも制作しました。
こちらが表面。
中面がこちら。
私自身も制作していて本当に楽しく、どんどん突き詰めていきたいなと思っています。
デザイナーという職業を長年経験していると、やはりお客様目線で、というのを無意識のうちに作品を作るときに考えてしまいます。アーティストして活動していて、それが良いのか足かせなのかは、もはや分かりません。
ただ、この肖像コラージュは対客様のことを考えながらも、そこからいかにカモコラージュワールドを作り出していくか、というのが醍醐味となっていまして。
自分自身も「肖像コラージュ」に対して未知の領域を感じつつ、今の時代にものすごくあっているなと実感しています。
さて、こちらの肖像コラージュで、制作する上で統一していることがあります。
それは、人物を中心に置くということ。それが本来の西洋文化の肖像画として成り立っている構図だからです。
肖像画は元々古代ギリシャ・ローマ時代から盛んに制作されました。その用途としては、権力者や貴族達が自分の生きた証として、権力の象徴として制作されました。
中世になると、人間は神より劣るとする考え方により、キリスト教美術が主流になり、宗教画がたくさん描かれるようになります。そのため、肖像画は衰退するのですが、15世紀のルネサンス期から「古代の再生と人間性の復活」という思想が生き返り、肖像画文化が盛り上がってきます。
ここで、日本と西洋の絵画の違いが如実に出ているのが面白く。
西洋はキリスト教などの宗教画は構図が「神」を中心と置いているのです。
なので比較的、左右対称的の構図が多いです。
こちらは中世の宗教画。
ルネサンス期で有名な肖像画はまさにこちら。
レオナルド・ダ・ヴィンチ作のモナ・リザ。
レンブラントも肖像画家として大活躍しました。こちらは自身の肖像画。
人物を中心に置くというのは、一番のインパクトがあります。
一方、昔の日本の絵画は西洋と風合いが違いました。
分かりやすいのは琳派。年代で言うと桃山時代の後期なので、1600年代の少し前から。
注目したいのは構図です。モチーフを大胆かつ効果的に配置することで目立たせ、ゆったりとした余白を大事にします。また、色彩も立体感は表現されておらず極めて平面的です。
それは江戸時代に成立した、浮世絵にも反映していきます。
かなり大雑把にまとめると(美術関係の方に大ブーイングされそうですが。。)
【西洋の絵画】
一神中心的な構図、左右対象が多い、立体的
【日本の絵画】
大胆な構図、余白を作る、平面的
が主流でした。19世紀に「ジャポニズム」が流行るまでは。
鎖国が終わり、開国により日本文化が西洋に一気に流出します。
それは西洋の人たちにとって、今まで見たことのないかなり新鮮なものとして目に止まり、「ジャポニズム」として大ブームとなるのです。
ジャポニズム文化によって影響を受けた画家は多く、年代的に印象派の画家、ゴッホ、マネ、モネ、ドガ、ロートレックなどがそうです。
右はゴッホが描いた浮世絵。
ドガの余白を意識した構図は、ジャポニズムの影響が出ています。
マネが描いた日本文化。いかにジャポニズムが熱狂的だったかが分かります。
ピエール・ボナールはものすごく影響を受けた画家で、構図はもちろん、色彩も平面的です。
一番変わったのが構図。絵の構図が今までの中心的なものから変わってきます。
分かりやすいのが、こちら。ロートレックのリトグラフのポスター。
机を斜めに大胆に置いています。これは当時かなり珍しい構図でした。
歌川広重の超有名な「名所江戸百景」の影響が出ているようです。
ドガも似たような作品を描いています。
私はデザイン性に富んだ、ジャポニズム期の絵画がすごく好きで、学生時代の自由課題をジャポニズムの研究にあてたくらいでした。
今でもデザインをするときは、余白や構図を考えます。
今までのカモコラージュ作品もそうでした。
余白を大事にして、大胆な構図を心がけています。
それに変わって「肖像コラージュ」は思い切り西洋的な構図です。
人物を中心に、左右対象で。
そうすることで、人物が前に出てきて、個性がものすごく活かされるのです。
肖像画とは、言うまでもなく本人が主役。目立ってなんぼです。
構図的にも余白がなく、逃げ場がないというか。
それがものすごくマッチしたなと感じています。
最近制作した「肖像コラージュ」の新作がこちら。
鍼灸院の先生で、同時にマラソンランナーの髙橋様。
ものすごく人格者で、名医でもあると同時に、ユニークな彼の性格を表現したく、このような作品にしました。その人の個性をカモコラージュのフィルターを通して出していきたいなと。
これからも、どんどん掘り下げて作品を作っていきたいなと思っております。
オーダーも受け付けておりますので、ご興味のある方は是非ご連絡いただければと思います。
質問などは、HPのお問い合わせフォームよりメールをいただければ、お答えさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。