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「Sumo de Pudding -相撲でプリン-」
前回からの続きです。
Netflixのドラマ「サンクチュアリ」と、江戸の後期に活躍した横綱・秀ノ山雷五郎の可愛らしさに魅せられて、相撲作品を作ることにしました。
相撲絵画をコラージュで制作する。
カモコラージュらしさを出しつつ、シュールでいてユニークに。
そして、江戸時代の相撲の面白さも是非表現したい。
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「サンクチュアリ」では、力士たちが激しくぶつかり合って相撲を組む、気迫溢れるシーンが度々登場するのですが。
その度に、お腹や腿や腕などの身体の部位が
プルルンッ
と揺れ動くのです。
巨漢同士がぶつかり合い、怪力を出し合って戦うわけですから、身体の揺れもそれはそれは大きく。
ぶつかり合うたびに
プルルンッ
と身体のあちこちが振動します。
その肉体をおぼろげに見ていると
だんだんとその揺れている様がプリンに見えてきたのです。
よし
今回はタイトルが先に来ました
「Sumo de Pudding -相撲でプリン-」
に決定です。
まずは、秀ノ山とプリンをコラージュです。
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横綱が土俵入りの際に腰に締めるものを、同じく「横綱」というのですが(知らなかった!)
その綱の部分のみ活かして、あとはプリンにしてみました。
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か、可愛い。。
プルルンッと、力士の身体とプリンが一体化しました。
続いてバリエーションを作成。
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か、可愛い。。
秀ノ山の可愛らしい風貌にプリンが見事に一致しました。
プリン力士のキャラクターは固まりました。
あとは、これをどうやって作品に仕上げていくか。
やはり、江戸時代の相撲の風景は見せたい。
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こちらは当時の相撲会場を描いた浮世絵です。
これが本当に面白くて。
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群衆が遠くの方まで豆粒のように描かれています。
当時の相撲がいかに盛り上がり、湧いていたのがよく分かります。
文筆家であり漫画家だった、杉浦日奈子さんが描いた相撲の挿絵を見るとさらに分かりやすい。
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当時の相撲会場は完全野外で、丸太を組んで作った仮設会場だったそうで、1日で建てては壊すそうです。
それを千秋楽までの10日間の興行中、毎日行われます。
3階建てでロイヤルボックス席なんかもあり、お弁当を置く場所まであります。
なかなか大掛かりですよね。
上下階に移動する際にはハシゴを使用。
力士たちの控え室も当時はなく、横に並んで一緒に観覧しています。
相撲の浮世絵はかなり多く描かれているようで、こんな大胆なものもありました。
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構図が本当に素晴らしい。
西洋でジャポニズムブームが沸き起こった際に、西洋人が特に度肝を抜かれたのが、「構図」だと言われています。
西洋では宗教画が基本としてあるため、神様を中央に置いた左右対称の構図が主流です。
それに比べて、日本の絵画は昔から左右非対称で、構図がとても大胆。
西洋のルールなんて度外視です。
浮世絵が誕生する前の琳派なんか見ると一目瞭然。
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また、遠近感の出し方も大きく違います。
西洋ですと色彩の濃淡や透視図法で表現するのですが、日本の場合は基本的に平坦でのっぺりした色彩。遠近感は構図で表現します。
この辺りは以前書いたコラムに詳しく書いていますので、よろしければご一読ください
また浮世絵は、今日の日本の漫画にも精通しており、平面な構図で描く漫画のルーツにもなっています。
当時、浮世絵は芸術作品ではなく、情報を提示する雑誌や挿絵や漫画のような役割でした。
現代になり浮世絵や春画などの芸術性の高さは、全世界が認めているわけですが、当時の立ち位置はあくまでの商業的なもの。
大衆文化から派生したものは、価値がなかなかつきにくい。
これって近代の日本の漫画の立ち位置と似ていますよね。
去年オープンした麻布台ヒルズにある、集英社マンガアートヘリテージでは、「マンガアート」ギャラリーとして、漫画のコマのプリントがインバウンドに飛ぶように売れているそうです。
また、アーティストの村上隆さんは、日本の漫画は近い将来世界に誇るアートになるとおっしゃっています。
確かに、鳥山明さんの原画なんてきっとオークションにかけたら、有名絵画ばりに高値がつきそうです。
価値や概念は常に変わっていくもの。
今も昔も、大衆文化の面白いところです。
話は本題に戻ります。
「Sumo de Pudding」の作品には、浮世絵から溢れ出る当時の観衆の熱狂振りや、大賑わいの会場をきっちりと見せたいなと思いました。
力士たちの構図が大体決まると、まずは土俵を作るところから。
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絵の構図に合わせて、縄を枠に円状の土俵を作成していきます。
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続いて観客。
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この豆粒が並んでいるような群衆の描き方がとてもツボだったので、これは是非とも入れたい。
その中にポツリと見せるユニークな人物像も、作り手のユーモアが伝わってきます。
高みの見物をしているのは将軍様か。
正面のロイヤルボックス席も入れよう。
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また江戸時代の相撲は、寺社の修繕費を集める「勧進相撲」という形で発展しました。
僧侶や武士が興行を開催し、そこで得た収益を寺社の修理や保全に充てたそうです。
当時の相撲の櫓にも「勧進相撲」と書いてあります。
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半世紀以上経った今になっても、当時の文字が読めるのも嬉しいですよね。
完成した作品がこちら。
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「Sumo de Pudding -相撲でプリン-」
秀ノ山プリン力士の、迫力ある取り組みの末、勝利した瞬間を描いています。
負けた方は、カラメルやクリームが飛び散り、プリン皿から吹っ飛んでしまいました。
自慢の髷チェリーも無惨にも取れて、折り曲がっています。
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観客の声援が鳴り止まないまま、行司も櫓の屋根も空高く吹っ飛びます。
お客さんも雲から観戦を。
日本が誇る相撲を、カモコラージュ(じゃぽらーじゅ)らしい、ユニークでいてシュールな作品に仕上げました。
島国にっぽんの独自なセンスが、時代を超えて私たちのDNAに組み込まれていると思うと、当時の浮世絵ひとつひとつに親しみを感じます。
今も昔もユニークで個性が溢れる国、にっぽん。
これからも作品を通して、古き良き日本を勉強していきたいなと思います。