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【コラム】薔薇にまつわるギリシャ神話

前回の記事で「Rosaはギリシャ語で赤を意味する言葉からでき、真紅は草木の神アドニスの血の色を表している。」と書きました。ふと気になってアドニスを調べてみると面白いギリシャ神話があったのでご紹介します。

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フェニキアの王であるキニュラースの家系は昔からアプロディーテー(愛と美と性を司る女神)を信仰していました。ところが親族の誰かが「ミュラー(キニュラースの娘)の方がアプロディーテーより美しい」と漏らします。このことが気に入らなかったアプロディーテーは、ミュラーがお父さんであるキニュラースに恋するように仕向けます。

お父さんに恋してしまったミュラーは思い悩んで乳母に相談します。憐れんだ乳母は二人を引き合し(あかんやろ!)、自分の娘とは知らないお父さんは、娘と一夜を共にしちゃいます。(衝撃)その後娘の顔を見たキニュラースは激怒しミュラーを殺そうとします。ミュラーはアラビアへ逃げ延びるのですが、それを哀れに思った神々はミュラーをミルラの木に変えてしまうのです。(なぜ!)そしてその木に猪がぶつかり木が裂けて生まれたのがアドニスです。

アドニスは赤ちゃんですが、とても美形でアプロディーテーが恋をしてしまいます。そしてアドニスを箱に入れてペルセポネーという女神に「絶対中身を見るな」と言って箱ごと彼女に渡すのです。絶対見るなと言われると見たくなってしまうのは人間だけではないようで、ペルセポネーは箱の中身を見てしまいます。そこでまたペルセポネーもアドニスに恋をしてしまうのでした。そしてしばらくの間ペルセポネーがアドニスを育てることとなりました。

月日が流れてアドニスが大きくなり、アプロディーテーが迎えにきます。ですがペルセポネーはアドニスを渡したくありませんでした。女神たちはアドニスをめぐって争いになり、ついには天界の裁判所(ゼウス)で決着をつけようとします。判決は1年の1/3はペルセポネーと、1/3はアプロディーテーと、1/3はアドニスが自由に過ごすようにとなった。ところがアドニスは自由に過ごせる期間もアプロディーテーと過ごすようになるのです。それを気に入らないペルセポネーはアプロディーテーの恋人のアレースに告げ口をします。怒ったアレースは猪に変身し、狩をしていたアドニスを殺してしまいます。

アプロディーテーはアドニスの死を悲しみ、流した赤い涙が白い薔薇を赤に変え、アドニスが流した血から真っ赤なアネモネが咲いたと言われています。

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ミュラーは一切悪くないのに、踏んだり蹴ったりで可哀想すぎです。親族、いらんこと言うな!乳母、いらんことすな!💦

アプロディーテーは実は結婚しているんです。ヘパイストスという鍛冶の神様(ゼウスの妻のヘラが一人で産んだ神様)と結婚していたんですね。しかも何故かゼウスの命令で結婚することになったそうです。ヘパイストスは足が悪く顔も神様の中でも一番醜かったと言われています。(天界も人間界も色々あるんですね。)

美の神様であるアプロディーテーは夫であるヘパイストスを拒むようになり軍神アレースと不倫をします。そのことを実子エロスが知り、夫に知られることを恐れたアプロディーテーは沈黙の神に頼みエロスの口を封じてしまうのでした。その際に沈黙の神に送ったのは真っ赤な薔薇と言われています。

神様というけど、、やってることがぶっ飛びすぎて引いてしまいますね〜。沈黙の神に赤い薔薇を送ったということから、薔薇は秘密を暗示するものとなりました。ローマ帝国末期では天井から薔薇が吊るされた宴会での席の話は他言しないようにという風習があり、16世紀中期のローマ教会の懺悔室では薔薇が吊るされています。この風習からunder the roseというと秘密にという意味ができたそうです。

アロマセラピーはヨーロッパ発祥のものなのでギリシャ神話や私たちが知らない文化や風習を強く感じます。アロマセラピーを通じて異文化理解を深めるのも楽しいですね♡


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