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【5000字超え】オーストラリアのコメディドラマ「ウルフ・ライク・ミー」(シーズン1全6話、2022)レビュー

オーストラリアのコメディドラマ「ウルフ・ライク・ミー」(2022)は、アマゾンで配信中のシリーズで、全6話各30分の爽快なエンターテイメントです。
テンポが非常に良く、思わず一気に全話を見てしまう、楽しむことができました。


シーズン1全体の感想:

このドラマの魅力は、なんといっても満月の夜にオオカミに変身する主人公メアリーと、シングルファーザーであるゲイリーとのラブロマンスコメディの組み合わせにあります。

主役のカップルをアイラ・フィッシャーとジョシュ・ギャッドが好演し、そのキャラクターの魅力がストーリーを盛り上げます。この記事では、いくつかの注目ポイントについて詳しく触れていきます。

あらすじ:

第1話で、視聴者は衝撃的な事故のシーンに巻き込まれます。

エピソード1:出会いのきっかけは衝撃的な自動車事故

朝の通勤時、渋滞している道路上で立ち往生しているゲイリーの車に、いきなりメアリーの車がぶつかってくるシーンが描かれます。

この出来事がゲイリーとメアリーの初対面のきっかけとなり、物語が展開していきます。

自家用車同士がクラッシュし、ゲイリーの車は1回転してしまいます!

しかし、ぶつけられた方の人々(ジョシュ・ギャッド演じるゲイリーとその11歳の娘エマ)は、奇跡的にかすり傷程度で助かり、病院で手当てを受けた後はすぐに日常生活に戻ります。

この予期せぬ出会いから、物語が展開していきます。

男やもめゲイリーの日常生活

7年前に癌で妻を亡くした男やもめのゲイリーは、11歳の娘エマとの関係に悩んでいます。エマは精神的な治療の必要があり、投薬されています。

そんな二人の自宅に、車をぶつけたお詫びにと訪ねてくるメアリー。
エマにプレゼントとして持参したのは、カール・セ―ガン著の「コンタクト」という本。

カール・セーガン(Carl Sagan)の「コンタクト」(原題:Contact)は、アメリカの天文学者で科学普及者であるカール・セーガンによって書かれた科学小説です。
この小説は1985年に発表され、天文学、宇宙科学、哲学、宗教、人類の探求心などの要素を組み合わせ、未知の文明とのコンタクトを描いています。
「コンタクト」の物語は、主人公であるエリー・アロワイ(Ellie Arroway)が、宇宙からのエイリアンのメッセージを受信し、そのメッセージに隠された情報や意味を解明しようとする姿を描いています。エリーはSETI(Search for Extraterrestrial Intelligence、地球外知的生命体探査)の科学者として、宇宙からの信号を追跡し、異星の文明とのコンタクトを確立しようと努力します。
この小説は科学的な精密さと哲学的な要素を組み合わせ、宇宙と人類の存在についての深い洞察を提供します。セーガン自身が天文学者としての経験を生かし、宇宙の謎と探求心について独自の視点で語っています。

この本は、事故に遭った朝、学校の宿題で、惑星のモデルを工作して提出しようとしていたエマの心をがっちりつかみました。

物語の中で本が特別な象徴として扱われていることは、登場人物の関係や物語のテーマに関連していることが多く、物語をより魅力的にする要素として活用されます。

このような細部の演出が物語のキャラクターとその心情を深化させ、視聴者や読者にとって感情的なつながりを築く役割を果たします。

赤毛がコケティッシュなアイラ・フィッシャーはメアリー役で登場し、そのちょっとオーバーリアクション気味な演技が注目です。彼女はキャラクターに生命を吹き込み、メアリーの謎めいた魅力を完璧に表現しています。

メアリーが「コンタクト」をプレゼントとして持参したことは、彼女のキャラクターの一部として、科学的な興味や探求心を表現する手段として使われているわけです。この小説は、宇宙との接触や知識の探求に興味を持つ人々にとって魅力的な読み物であり、物語内での重要な象徴として使われています。
エマの宇宙への探求心や科学への関心が、今後の物語の展開に影響を与える可能性もあります。

エピソード2:メアリーの心の闇


エピソード2では、エマに関するほぼ悲劇的な出来事(自殺未遂?)が起こり、ゲイリーとメアリーの接触が再び始まります。
アイラ・フィッシャー演ずるメアリーは、感情豊かな瞬間で視聴者を引き込みます。彼女はメアリーの心の闇を見事に演じ、観客に深い感銘を与えます。

エピソード3:ゲイリーに過去を打ち明けるメアリー

メアリーがゲイリーに自身のストーリーを語る場面が描かれます。アイラ・フィッシャーはこの瞬間でもその魅力を発揮し、メアリーの過去と秘密についての情報を見事に伝えます。

エピソード4:深まる三人の絆

エピソード4では、エマがメアリーを夕食に招待し、家族の絆が深まります。アイラ・フィッシャーの演技は、エマとメアリーの関係の成長を見事に表現しています。彼女はキャラクターに魅力を与え、視聴者を引き込む存在感を持っています。

エピソード5:キャンプ旅行へ出かける

エピソード5では、ゲイリーとメアリーがついに一緒になり、エマにメアリーの秘密を明かすための特別なセッティングとして、キャンプ旅行に出かけます。
アイラ・フィッシャーは、この緊張感漂うシーンでの演技が素晴らしく、視聴者に感動を与えます。

エピソード6:荒野のキャンプでのできごと

エピソード6では、オーストラリアの荒野での出来事が描かれ、ゲイリーとエマがメアリーの秘密に向き合います。
アイラ・フィッシャーはメアリーの複雑な感情を見事に表現し、物語のクライマックスに深みを加えます。

メアリーの秘密とは?

アイラ・フィッシャー演じる女性主人公メアリーは、以前のパートナーといっしょに欧州旅行中に犬にかまれたことが原因で、満月の夜にオオカミに変身してしまう存在となります。

いったんオオカミに変身してしまうと、人間としての理性は忘れ去られ、動物的な本能で、生き物を食い殺してしまう存在になってしまうのです。

現在は、月に一度、自分自身を監禁することができる設備を地下室に備えた自宅で生活し、その際の食事にはニワトリやヤギを利用しています。

しかし、私個人の意見として言わせてもらえば、確かに自宅の設備は非常に厳重ですが、メアリー自身の外出時のリスク管理はかなり甘いと言えます。

例えば、ある回では、よりによって満月の日に日光の差し込まない半地下のレストランでゲイリーとランチデートを楽しんでおり、楽しさのあまり時間を忘れて夕方になってしまう、という事態が発生します。

ふと時間に気づいても後の祭り。

あわててレストランから飛び出し、街中の人々を突き飛ばしながら全力疾走するシーンがありますが、非業のオオカミ女として生きる彼女の、ツメの甘さを感じさせます。

主人公アイラ・フィッシャーの魅力

そんなツメの甘いところもありますが、「ウルフ・ライク・ミー」の最大の魅力の一つは、メアリーを演ずるアイラ・フィッシャーの演技です。

彼女はゆるやかなウエーブの赤毛とむせかえるような色気を持ち、視聴者を引き込みます。

先ほどの、街中を全力疾走するシーンも彼女は実際にスタントをつかわずにこなしています。なんでも撮影前に、走るフォームや息継ぎの仕方など、プロから特訓を受けたそうです。(詳細は下にも書いています)

いずれにしても、その体力とスピードに感心させられます。

アイラ・フィッシャーが語る作品の魅力


コメディドラマ「ウルフ・ライク・ミー」の主演、アイラ・フィッシャー自身が語るところによれば、この作品はジャンルを超えたコンセプトを持っていますが、その核には愛とオープンさの癒しの要素が詰まっている、ということです。
彼女は、物語が「一度傷ついた人々がどのように再度繋がるか」を描いており、恋愛と自分を他人に傷つけられることへの恐れについて率直に探求している、と語ります。

またアイラ・フィッシャーは、メアリーというキャラクターについても触れており、彼女は興味深く、演技が難しいキャラクターであると述べています。
メアリーはオオカミ女になってしまった自分自身に対する恥辱という重荷を抱え、自分自身を受け入れていないけれども、彼女の周りにいる他の人々は彼女に強く共感し、彼女の周りに集まるという矛盾したキャラクターです。

彼女は人生アドバイスのコラムニストとして生きており、多くの奇抜な趣味を持っています。その解明すべき要素が多く、物語をさらに興味深くしています。

特に物語のはじまりには、視聴者にはまだメアリーの大きな秘密が明かされておらず、ストーリーが進行するにつれて少しずつ明らかになるのが、このドラマを魅力的にしている要素の一つです。

視聴者は、なぜ彼女が日が暮れる前に家にダッシュするのか、自宅にたくさんの骨がころがっているのを見て、「メアリーは17匹の犬を飼っているのか?」と考えてしまうのです。

アイラ・フィッシャーは、メアリーが動物の権利に熱心な性格であることについても言及しており、動物に対する彼女の敏感さを共感します。ドラマに登場するシーンで鶏が出てくる場面もあるが、動物に対する敬意を忘れず、配慮して撮影されました。

アイラは、撮影前に脚本家、監督、エグゼクティブプロデューサーのエイブ・フォーサイスと共に、彼女のキャラクターについて話し合いました。
エイブは非常に協力的で、個人的な経験に基づいた彼自身の物語であるにもかかわらず、アイラの考えをシーンに取り入れる柔軟さを見せました。アイラはエイブの才能ある監督力を賞賛し、この物語を任せてもらえたことを名誉に思っています。

エイブ・フォーサイスは「リトル・モンスターズ」の脚本家として知られており、異なるトーンを組み合わせる才能を持っています。それが「ウルフ・ライク・ミー」にも現れており、ホラー、コメディ、ドラマ、ロマンス、アクションの要素が織り交ぜられています。アイラ・フィッシャーは、フォーサイス監督が感情的なシーンを魅力的に保ちながら、物語の謎めいた部分を進行させる能力を強調しています。

物語を盛り上げるシングルファーザーとしてのゲイリー

さらに、このシリーズの核には、ゲイリーと11歳の娘エマとの緊張した関係があります。

その緊張した関係は、エマの母親の死から生じるもので、二人はそれぞれが愛した人物の喪失感に苦しんでいます。

アイラ・フィッシャーは、この戦いが多くの視聴者に共感を呼び起こすと考えています。彼女は、シングルペアレントの多くがこれらの困難を感じるだろうと語り、親を失った後のエマの抑うつ感に共感するであろう多くの子供たちがいると信じています。

しかし、アイラはこのシリーズが幅広い視聴者に楽しまれるとも考えています。
「大人向けの恋愛ドラマが好きな大人、超自然現象が好きな人、誰にでも何かしらの楽しみがあると思います。」と彼女は言います。このドラマは非常にオリジナルであり、幅広いファンを魅了することを期待しています。

そんな、撮影当時45歳のアイラ・フィッシャーが撮影中に最も苦労したことの一つは、やはり多くの走るシーンが含まれていたことです。
なぜなら、彼女は自身を「最悪のランナー」と自称しているからです。

しかし、走りのコーチを受けたことで、その問題を克服しました。

だから最終的に、メアリーは経験豊富なランナーの走りをしていて、「便秘したウンパ・ルンパ(Oompa Loompa)の走りではありません」と笑顔で語りました。

注:「Oompa Loompa」は、ロアルド・ダールの小説『チョコレート工場』に登場するキャラクターで、オランプパ・ルンパとも呼ばれ、小さな体に橙色の肌を持つキャラクターです。このキャラクターは映画『ウィリー・ウォンカとチョコレート工場』でも知られており、特異な外見を持つことから滑稽さが関連付けられています。

最後に、メアリーが画面を疾走するように、この6部作のドラマが一気に楽しまれることを期待しています。フィッシャーはこの作品を試す価値があると確信しています。

まとめ

「ウルフ・ライク・ミー」は、笑いとロマンスが絶妙に組み合わさったエンターテイメント作品です。

アイラ・フィッシャーの魅力的な演技や、シリーズ全体の軽快なテンポが視聴者を引き込みます。シーズン1は全6話で、30分ずつのエピソードなので、気軽に楽しむことができます。

満月の夜のオオカミと人間の関係がユニークなアプローチで描かれ、見どころ満載です。ぜひ一度、この楽しいドラマをチェックしてみてください。

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神谷ちよ@あなたの情熱で世界を変える!グローバルプレゼンマスター|異文化コミュニケーション専門家
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