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HSP(かもしれない)私が1年半続けた飲食パートを辞めた理由と言い出すまで葛藤した話。

きっかけは本当に些細なことだった。
しょーもないミスをする日もノーミスで最高な仕事ができた日もありつつ何とかかんとか働き続けていた個人経営の飲食店でのパート勤務だが、一年過ぎたある日のタイミングでなかなかに忙しいと感じる日が続いた。忙しい日は店長の機嫌が良いのだが私のミスがいつもより増える可能性がグッと上がる為、私に対しての圧は強くなる。私は完全なフローに入ると逆にミスはそこまでしなくなるのだが、今まではそうでもなかったのに店内がにわかに忙しくなり出した時が一番危ない。忙しいリズムに慣れるのに頭が追い付かずに落差でテンパるからだ。
そして普段しないタイプのミスをしてしまう→結構強めに怒られる(そりゃそうなる)、ということがその期間に二回発生して「あーやっぱ向いてないもんなー、頑張ってるけど結果は伴わないよなー」と気持ちが折れかけていたタイミングで、店長が世間話を振ってきた。これは店長あるあるなのだが、きつく注意をした後にプン!と無視し続けるのではなく少し時間があいてから「何事もなかったかのように」話しかけてくれるのだ。店長なりの私と気まずくならないようにとのアフターフォローなんだろうなと思っているのだが、その時に私は空気を読まずに自分のミスに関する質問「お客様の顔を覚えられないのですがコツはあるでしょうか?」を世間話的にぶつけてしまい「知るかそんなもん!!!!!お前なぁ!!!!!アホか!!!!!!自分で考えろ!!!!コツなんかないやろ!!!!!普通は見たら覚えられるもんや!!!!お前が頭が悪いからやろ!!!!」とまあまあの大きい声で怒らせた。

情けない話だがそれで糸が切れてしまった。
お客様がいない店内で怒られてから、謝るしかできず、そのあとは忙しい流れにはならなかったためにミスをせずに仕事は終わってお疲れ様ですと退勤できたのだが、正直どう仕事をしたのか記憶は飛んでいる。
自分がアホであること、そしてタイミングを間違ってアホな質問をした自分のせいで店長を無駄にイラつかせて、結果さらにいらないことで怒られてしまった。帰り道にいきなり素直に「よし、もう辞めよう」と決意が固まった。八割は前々から「辞めようかな」とシリアスな雰囲気ではなくとも思ったことは何度かあったのでその時が今来た、という感覚。残りの二割は自分のやらかしへの恥ずかしさやヤケクソ、衝動的なものだ。コップ理論(ストレスが続いていきなりコップの水が溢れるように我慢できなくなった)に近かったのだと思う。

辞めると決めたら私は頑固だ。
決めるまではアホほど悩むし決めてからも苦しむのだが、こうと決めたらそれ以外の選択肢が見えなくなってしまう。あんなに向いてなくてもなんとか続けていこうと思っていたのに、一つ前でそのような記事まで六千字も使ってタラタラと書いていたのに、約束と違うじゃないか。なんやったんあれは?嘘か?見栄っ張りか?あららどうしましょ。
ただ、一回折れた心はもう戻らない。
「もう辞めても良いよなー。私も必死でやったもん。」ちょっとした清々しさを感じながらコンビニに寄って「よく決意した自分!おめでとう!記念」にかこつけて缶チューハイを買って帰った。
ということで、決定打は「大きい声で怒られたこと」、という本当に社会人として恥ずかしいものになってしまったが、そんなもんなのかもしれない。今回は単純に「もうやっていけないな」と軽い絶望があった。そもそも、ミスをしなければ怒られることではないので店長だって好きで怒っているわけではないのだし。

本来ならこれでめでたしめでたしなのだがここでは終わらない。
HSPにとってパートを辞める、と決めてからが本当の地獄の始まりだからだ。
退職したいと店長に伝える、これが本当に本当に本当にストレスでなかなか人には理解してもらえないと思うのだが地獄のような苦しみがある。大袈裟ではなく本当に嫌で嫌でしょうがない。Twitterで永遠に「辞めたいのに辞めると言い出すのが怖い」旨を呟きまくって、見るに見かねたであろうフォロワーさんたちから気持ちに寄り添った励ましや心優しいリプライを頂くくらい病む。

・自己都合なのでわがままに取られそうで怖い
・人材不足なのに辞めるのかと思われそうで怖い
・辞めることによって迷惑がかかるのがわかるので辛い
・優しくしてくれた先輩たちに申し訳ない
・今まで散々教えてきたのに辞めるのかと思われそうで怖い
・退職の理由を何にしよう…
・難航してズルズル働かないといけなくなったり引き止められたらどうしよう
・退職したいと言い出した時の店長の表情や反応が怖い

上記がひたすらぐるぐる頭を回って、食欲がなくなり眠れなくなり「もうこんなに怖いなら、退職するのをやめようかな」まで考え始める。とにかく逃げたくて仕方ない。現実的ではないがいきなり飛んでしまおうかと思ったり、ひたすら退職代行サービスを検索して費用を調べたり、YouTubeで「バイトのスムーズな辞め方」みたいな動画をひたすらに見続けたり、ずっとぼんやりしてどこにも出かけず、しかもずーーっとお腹が痛い。
ここまで読んで「正社員じゃあるまいし、たかがパートを辞めるのになんでそんなに深く考えているの?」と思う人が大半だろう。自分でも心からそう思う。私はたかがパート勤務なのだ。もっとテキトーに働いている人もたくさんいるではないか。一体何がそんなに苦しいのかと聞かれても、怖くて苦しくてしんどい気持ちは止まらない。布団をかぶっていても掛け布団の重みで押しつぶされるような、そして自分がぺっちゃんこになってギリギリ締め付けられるような感覚でどんどん恐ろしくなりひたすら涙が出てくる。辞めることを自分にとって大ごとに考え過ぎてしまうのだ。
翌日、平静を装って制服に着替えて出勤しても「言うぞ!」「言うぞ!!」と気持ちは迅るのになぜか口には出せないまま、次お客様がはけて暇になった時こそ言おうと思ったら忙しくなりそのまま終わる。制服を脱ぎながら「あああ言えなかった、出勤して早めのタイミングで暇だったんだからあそこで言えばよかった」と自己嫌悪になってしまった。
結局その次の日に「店長、今日仕事終わってからお話よろしいですか」と話しかけた時、「よろしいで」くらいで「あ?なんや!」とこちらと視線をぐっと合わせてきて「今言え!どうした!なんや!」と矢継ぎ早に続けたので、もうその時点で恐怖は限界突破していたのに「話がある」と言ってしまったから後には引けず、そのまま若干震えながらも「できれば月末か来月末で辞めさせていただきたいです。」と言えた。

理由はいろいろ聞かれたが、大声で怒られたからとは言えないので嘘ではないが実家の事情を誇張してストーリーを作って話した。私は子供がいないから子供を理由にできないし引っ越す予定もない。掛け持ちもしてないし次の仕事が見つかっているわけでもないので実家関係しか残されていないと思った。店長は信じたのか薄々嘘だと思っているのかは分からないが、引き止めることもなく「しゃあないな!」という感じで予想よりは随分あっさりと納得してくれた。とりあえず月末はきついので来月末でという条件で許してくれた。ちなみに切り出したタイミングは1日だったので丸々2ヶ月は働くことになった。
話がついてからは私は大きい仕事から解放されたような、天にも上るような喜びを隠しながら精一杯申し訳なさそうな顔をして「自分の都合で申し訳ありません…」と頭を下げた。同じ日に出勤している先輩にも退職の話をその場でして二人に「来月末まで残り少ないですが頑張りますのでよろしくお願いします。」と言ったら店長が「お前はもう頑張るな。どうせ辞めるんだからテキトーにやれ。頑張るからお前はミスする。」と笑ってきたので少し泣きそうになってしまった。自分の圧のせいとは思ってないだろうが、カラ回ってるのを店長も分かっていたんだろうな。先輩は「ア…」という顔をして「店長が怖いから!」と笑ったので、「何が怖いねん!怖くないやろ!!」と店長も大笑いして、私も笑った。

実は心が折れたのは「お客様の顔が見分けられない事件」の一回ではない。
3ヶ月目を過ぎた頃、今回ほどは大きい声ではなかったが「お前はいつになったら慣れるねん!お前が育たないからこいつ(先輩)も余計に動かないといかんで困ってるわ!こいつが疲れるわ!」と結構しっかりめに言われたことがあった。人に迷惑をかけたくないと普段から思っている私には一番痛いポイントを的確に抉られた形だ。ゲームで言うとクリティカルヒットを連続で打ち込まれてふらついており、あと一撃で確実にダウンする。本当にその通りなのでいたたまれなくなり、店長がいないタイミングで先輩に「仕事ができなくてすみません。いつも助けてくださってありがとうございます。」と伝えると「大丈夫!ここはやること多いから!全部は難しいよ!大丈夫!僕が居ますから!」と笑って安心させようとしてくれたのだ。「僕が居ますから!」というのは少女漫画的なセリフというか、下手したら恋が始まってしまうのではと思うが私は純粋に嬉しくて、辛さがあふれそうになったコップの水はスーッと引いて、前よりも先輩を頼れるようになった。その時は折れたために傷は残っていたけれども、私はその言葉で形を取り戻せたのだ。
先輩は私が折れている現場を二回見ているし、もしかしたら今までもそういう辞め方をした人がいたのかもしれず、だから「店長が怖い」と軽い皮肉を飛ばしたのかなと思った。

退職すると言ったあとその職場で働くのが気まずいだろうなと想像していたが、そんなことは全くなく、ただ楽しいだけで毎日働いて終わって行った。嬉しいことは素直にやったーラッキー!と思うし、嫌なことが起きてももう辞めるんだから自分にはなんの関係もない。もし万一、先輩や店長から影で嫌われたって退職後にもうそのお店に行かなければ良いんだから気にしない!最高!!
ただただとんでもない開放感と「あー次は何しようかな」というワクワクだけがこみ上げてくるから、退職の話がまとまった日は嬉しくていつもより多めに食べたり飲んだりし、苦しくて眠れなかった分を取り返すように頭が痛くなるまで貪欲に眠った。
今回パートを辞めるにあたって自分の不得意や嫌いなことを色々知るきっかけになったのでこの一年半は自分にとっては大いに意味があったと思う。
自分の心がこんなに大きく動いたのは久しぶりだったし、noteを始めるきっかけにもなったし、良いネタにもなったしね!(笑)


最後に、今しんどい気持ちを持ちながらパートを続けている方へ、私が自分で自分を励ましたり指針にした時の考え方を羅列するので、少しでも力になれたらとても嬉しい。

・いつ辞めても良いんだから、逆に今辞めても良くない?(いいよ!)
・人材不足で辞めにくい?でもこのままここに居て、他の人が先に辞めたらもっと辞めにくくなってしまうけど大丈夫そ???
・辞めたい→辞めるのやめようかな→辞めたい、のループは当たり前。でも、辞めるのをやめる理由が自分由来でない(お店に迷惑がかかる、言い出すのが怖い)なら辞めよう。
・辞めたいなと思いながらモチベーション下がって働き続けるのはとても苦しいままずっと続く。「辞めたいです」って言うのはとても苦しいし怖いけど、その時だけだよ。
・せっかく教えてくれたのに申し訳ないと思うのはわかる。でも、自分じゃなくても、新人が入ったら教育するのは当たり前では??
・どんなに苦しくても、それを上回るメリットがあるなら耐えるのはアリ。でもパートの場合、それを上回るようなメリットってないかも?
・自分の人生はこの先も続いていく。だから、今の状況もこの先1年2年と続いていく。やっていけそう?
・お金のために働くのはアリ。でもお金のためにそこまで苦しむ必要ってある?
・仕事は色々ある。でも自分の体と心は一つしかない。自分の一番の味方であり相棒になったつもりで、その一つが壊れないように大切に扱おう。

こんな偉そうなことを書いているくせに、辞めると言い出す前のストレスに私は一生慣れないと思うし、これからも毎回地獄のような苦しみを味わうと思う。でも「すみません」と店長に声をかければ、あとはもう言葉が口から勝手に出ていくし、それで話は進んでいく。案ずるより産むが易しが起きるから安心して欲しい。大丈夫。店長からすれば今まで何人も雇って何人も辞めている。何も恥ずかしいことはない。貴方が辞めても、今まで辞めて行った人たちの一人でしかない。店長にとってはこれが初めての経験ではない。
貴方が辞めたいと思ったのはなにかしら理由があるだろう。その理由のいくつかは決して貴方由来ではないはずだ。私は向いていないことを知っているのに一年半働いた。それで迷惑もかけたと思う。でも向いていない私「だけ」が悪かったのではない。私が働くことによって(雑用を率先してやっていたので)三割くらいはお店の役に立っていたはずだ。だから、今辞めたいと思っている貴方だけが悪いわけではない。どうか自分にも、辞めることにも罪悪感を感じないでほしい。

こんなにチキンの私が辞められたんだから、きっと今苦しい貴方も辞められます。たとえ明日が無理でも、明後日に自然に辞めるって言い出しやすいタイミングが来るかもしれない。そこを掴むためにアンテナを張っていれば、必ず、明後日が無理でもこの先言い出せるチャンスが来る。
貴方には強い力があるから、絶対苦しい状況から抜け出せます。小さいきっかけで大きく動くから。
そして貴方が無事に切り出せた暁には、私も勝手にコンビニで缶チューハイを買って一緒にお祝いするよ。
絶対大丈夫。



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