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眠気と私

「あんたはずっと寝てたよ。」と、両親に言われた。

昔から、寝ることが大好きだった。
それは今でも変わらない。

学生の時は、寝るために学校へ行っていると言っても過言ではないくらい、授業中よく眠っていた。しかも、家に帰ってから夕飯までの間も寝ていたから、今思えば本当によく眠っていたと思う。

中学生の時は授業中に寝すぎて、数学の教師に首に落書きをされたこともあった。
よりによってその日、私はマフラーを忘れた。当時はショートヘアだったので、落書きを隠すために首を抑える不思議なポーズで帰路につく羽目になり、じわじわとその数学教師に対する恨みが湧いてきた記憶がある。

高校に入ると眠気はますます増えた。
市外の高校に通っていたこともあり、以前と比べて睡眠時間が減ってしまった私は、授業中にどれだけ効率よく眠るかを常に考えていたのだ。
まず、起床して歯を磨きながら当日の時間割を思いだし、今日は何時間目と何時間目が寝れるぞ。と確認するところから1日をスタートさせていた。
学校の机でも心地よく眠るために、毎日ふかふかのフェイスタオルを持参し筆箱にかぶせ、それを枕にして眠っていた。

今思えばなんてやつだったのだ、と感心してしまう。
しかし寝るなと先生に注意されることはあっても、怒鳴られることはなかったから、本当に心が広い先生ばかりだったのだな、と今では思う。

小学生の頃は、全く眠れなかった。
学校が終わると中学受験のために塾に通う毎日。
土日くらいは友達と遊びたいと外に出かけていたけど、高学年になった辺りからその貴重な土日も塾に行くようになった。

当時は眠りたいという欲求よりも勉強したくない、遊びたい、好きなことしたい、の欲求の方が多かった。
中学生になってから、睡眠欲が爆発したのだろうか。

大人になって歯医者に行った時。
待合の椅子で本を読んでいると、どこかの子どもの、叫び声に近い泣き声が聞こえてきた。
あのキュイーンという耳に馴染まない機械の音は、大人になってからも抵抗がある。
頑張れ、と待合から念でエールを送っていた時ふと、私小さいときどうだったっけ?と思った。歯医者に通っていた記憶はあるけれど、泣いた記憶がなかったのだ。

その日の夜、両親に聞いてみた。
私小さい頃、歯医者で泣いたことある?

それで言われたのだ。
あんたはずっと寝てたよ。と。

なんて手のかからない子どもだったのだろう。
しかも大抵の子どもが嫌がるであろう歯医者でも眠っていたとは、我ながら自分の眠気に呆れてしまう。

でも確かに、小さいころのアルバムを見返すと私は高い確率で眠っている。
1歳の誕生日にディズニーランドへ行った写真では、ベビーカーの淵に肘をかけて、おっさんのように眠っている私が写っていた。

寝ることが大好きだ。

でも大人になってから、ちょっと昼寝しようと思って寝たつもりが起きたら真っ暗、ということが何度もある。
その時のやってしまった、なんでだ、と1日を無駄にしてしまったような、やるせなさや罪悪感といったらない。

眠気ともう少し上手に付き合えるようになりたいのだけど、どうしたらいいものやら。
今も悩んでいる。

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