世論調査の限界?トランプ氏の当選は数週間前から予想できたとか、できないとか・・・
はじめに
日本では衆議院議員選挙が終わったばかりではありますが、アメリカ大統領選2024も盛り上がってましたね。2024年11月7日に開票があり、共和党のトランプ前大統領が民主党のハリス氏に勝利し、再びアメリカ大統領と返り咲きましたね。トランプ氏が301人、ハリス氏が226人の選挙人を獲得した結果となりました(現時点2024年11月8日の数字)。
私が観測していた範囲にとどまりますが、日本ではニュースの見出しでは「大接戦、激戦」などの見出しが踊っておりましたが、結果を見ると「圧勝では…?」と思ってしまうほどの圧勝でしたね。ただ、特定のウェブサイトでは開票1ヶ月前の10月半ばあたりからトランプが勝つことが予想されていたとか、予想されていないとか。今回はそのあたりの情報を書いていこうと思います。
世論調査の限界…?
書き出しがすごく過激ですが、その点はさておき、まずは日本のニュースがなぜ「大接戦、激戦」と報じていたのか考えてみます。例えば、NHKのアメリカ大統領選2024のページでは、下記の世論調査を見ることができます。
NHKは、RealClearPoliticsというサイトを引用しているようですが、具体的にはどこのページのどの数字なのかわかりませんでした。日本テレビも同様にRealClearPoliticsから支持率を引用していました。
他のテレビ放送局、新聞社がどこの情報をもとに支持率を報道していたかはわかりませんが、実際にRealClearPoliticsにアクセスすると下記の世論調査を見ることができます。
確かにこの世論調査が正確なのであれば、1%を取り返せば、形勢が逆転します。結果から見れば、世論調査が示すほど接戦でもなかったわけですが、世論調査を見る限り、確かに「大接戦、激戦」とも表現できるかもしれません。ちなみにRealClearPoliticsのPoll Averageは、その名の通り、複数の世論調査結果を平均して算出されたものらしいです。
他には538の世論調査も有名どころですね。こちらの結果も開票日まで1%を取り合う接戦です。こちらも特定の世論調査をまとめているものですが、統計モデルを利用して支持率を計算しています。詳しい計算方法や情報はこちらから確認できます。
細かい話ですが、ベイジアンのアプローチを採用し、状態空間モデルをマルコフ連鎖モンテカルロ法を用いてパラメタを計算してるとのことです。
これまで見た通り、なぜ日本のマスメディアがアメリカ大統領選を接戦と報道していのかは、わかったかと思います。アメリカの世論調査を引用し、数字を見て、「大接戦、激戦」と報道していたわけですね。
ただ、今回の結果を見てもわかる通り、世論調査があまり役に立ったとは言えません。一方で、役に立ったとされていたのが「賭けサイト」のベットチャートです。アメリカでは、大統領選挙の勝敗に賭けることができるそうで、これらのサイトに表示されるベット状況を表すチャートでは、トランプ氏の優勢が早くから予想されていたようです。
例えば、Polymarketという賭けサイトのチャートを見ると、10月の頭を境に、どんどん差が拡大していく様子が見て取れます。10月の終わりでは、トランプ氏が65%の確率と勝利すると予測されています。
次に、Kalshiという賭けサイトのチャートを見ると、10月の頭を境に、どんどん差が拡大していく様子が見て取れます。その後、少し低下しますが、10月中は大差でトランプ氏が有利です。
最後に、Betfair, Smarkets, PredictIt, Polymarket, Kalshiなどの賭けサイトの結果をまとめているElection Betting Oddsというサイトも同様の傾向です。
なぜこのような違いが出たのでしょうか。いくつか考えられそうですが、賭けを行う人たちにトランプ氏の支持者が多く、その結果がチャートに反映されたのかもしれません。
一方、世論調査はあくまでもアメリカのデモグラフィックを代表するようにデータが取得されるため、原則、トランプ氏の支持者に偏るということはありません。
ただ、アメリカのデモグラフィックを代表するデータが実態と乖離する可能性が存在していることが、今回の大統領選挙の結果からもわかりますし、現行の世論調査では、アメリカという国の世論を掴めていないことになります。
トランプ氏を支持しているが回答には出さない「隠れトランプ支持者」の存在や、ネット調査であれば、真面目に回答してくれたのかもわかりません。人間からデータを収集する時にはこのようなことが起こってしまうのも事実です。そもそも、回答してくれた人が選挙に行くかどうかもわかりません。
また、固定電話、携帯電話、インターネット調査などの方法でデータを収集し、代表性を担保しようと努めても、世論調査に回答してくれる人という協力的な人間から回答を得ている時点で偏っているのかもしれません。
おわりに
世論を理解する、予測するというのは難しい問題ですね。そして、選挙は開票されるまでわからないので面白いですよね。そういえば、日本の世論調査と開票結果の関係とかを調べたことなかったので、またどこかで調べてまとめようと思います。
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