若者の投票率ってどれくらい上がるといいんだろう・・・
はじめに
第50回衆議院選挙も終わりましたね。選挙後数週間が経過しましたが、今までにはない珍しい政治状況になってますね。国民民主党のおかげで、SNSもマスメディアも政策、政策、政策についての議論が盛んに行われていて、かつてない状況になっていますね。
自民党の不記載問題(通称、裏金疑惑問題)はなかったのかと感じるくらいです。いち国民としては、起こってしまった不記載問題は適切に処していただき、政治、経済を前に進めてほしいと思っていたので、政策議論が盛んなのは良いですね。
さて、まえがきが長くなってしまいましたが、第50回衆議院選挙の投票率は53.85%で、前回の55.93%よりも低下しましたね。おそらく若年層の投票率も低そうです。若年層の投票率あげないといけない、上げるためにはどうすればいいのか?みたいな議論はよく聞きますが具体的にどれくらい上げれば良いんでしょうか。私がこんな与太noteを書いたところで若年層の投票率はあがりませんが、悶々とした疑問を抱えていたので、粗いものにはなりますが、手を動かしてみました。
100人の日本人村で考える
そもそもなんで若年層が投票に行かないといけないのでしょうか。一説には、政治家が高齢世代のメリットを最大化するように行動することで票を獲得し、政治家たちも高齢なので、高齢者が高齢者のために高齢者のための政治、いわゆるシルバー民主主義を展開。その結果、若年層は搾取され続け、世代間格差の是正が進まない、法の下の平等に反するなどなどが問題として指摘されていますね。
搾取できる若い日本人がいるならば、まだ最悪マシかもしれませんが、「老人栄えて国亡ぶ」となってはゲームセットなわけです。というわけで、格差の是正や将来の日本のためにも、若年層が積極的に政治に参加する必要がありそうです。
さて、それでは本題です。若年層はどれくらい投票率を上げればよいのでしょうか。架空の「100人の日本人村」の創作童話を書いてみます。ピンときた方もいるかも知れませんが、これは「創作童話 博士が100人いる村」を模しています。
総務省のデータをもとに、年代人口構成比(24年10月時点)や投票率(49回衆議院選挙)をもとに日本人100人村を作ってみました。粗々ではありますが、これをベースに進ませてください。
さて、ここで突然、村長が選挙を行うことを決めました。若年層代表Aさんと高齢者代表Bさんの2人が立候補しています。政策は簡単です。自分のたちの年代が得をするような政策を行います。若年層代表Aさんは18歳から50歳代、いわゆる子育て世代(30歳で子どもを授かった場合、大学卒業時は52歳なので50代の半分を含む)から支持されています。一方で、高齢者代表Bさんは、60歳代以上(50代の残りの半分を含む)から支持されています。
激しい、選挙戦が展開され、開票日を迎えました。支持してくれた村人は各候補者に投票していることを仮定します。カツカレー食い逃げ事件はなしです。結果は…
若年層代表Aさん:21票(50歳代の9票の内5票獲得)
高齢者代表Bさん:27票(50歳代の9票の内4票獲得)
となり、Bさんが次の村長になることが決まりました…もちろん、この通りにはいかないかもしれませんが、今の日本で起こりうるシナリオの1つです。ドメイン投票方式、余命投票方式などもありますが、ここでは扱いません。
さて、今回の村長選でAさんが勝つためには何が必要だったのでしょうか。すぐに思いつくこととしては、Bさんの支持層を取り込むことです。ただ、今回のケースでは、60歳代以上は、1人たりとも投票先を変えることはないと仮定します。この仮定を前提とするならば、投票にいっていない若者を投票に参加させ、Aさんに投票してもらうことしかありません。ではどれくらい投票率を上げればよいのでしょうか。
60代以上の投票率は固定のまま、18歳以上から50歳代までの投票率を+5%ポイント刻みで上げてみます。
+5%ポイント:18+5=23 / 23+4=27 → Bさん勝利
+10%ポイント:20+5=25 / 23+5=28 → Bさん勝利
+15%ポイント:22.07+6.3=28.37 / 23.32+5.0=28.32 → Aさん勝利
各年代で+15%ポイント増加しないと、Aさんが町長選で勝利することはできません。現実世界では、選挙区によって人口構成や人口属性が異なるかもしれませんし、逆もしかりですが、高齢者の方でもAさんに投票してくれることもあるかもしれません。
ただ、目安としては、+15%ポイント増加させる必要がありそうです。上がる余地はあるのでしょうか。これまでの投票率の推移から探ってみます。
年代別コホート分析
投票率(過去の衆院選)の推移から簡易分析をしてみます。総務省が公開している過去の衆院選の投票率の結果を年代別コホートで経年とともに投票率がどのように推移するか見ます。
コホート分析とは、一定の条件でグループ分けし、そのグループの行動や指標の変化を長期的に分析する手法です。多少データを整形する必要があります。データの転記とか考察がおかしかったら、ごめんなさい。
ここでは生まれた時代でコホートを作っています。画像の2行目であれば、「1967年に20代だった人が、20代、30代、40代、50代、60代、70代で投票率がどうだったのか」を見ています。総務省の集計データを無理くり利用しているので、表側と表頭の関係性が必ずしも一致してないので、そのくらいの年代の人たちの投票率の推移はこれくらいか、という感じで見てください。
ぱっと見てもわかりますが、直近になればなるほど、20代列の投票率が下がっていることがわかります。つまり、最近になればなるほど、20代の投票率は下がっていることがわかります。色分けは青がバブル崩壊前、緑が氷河期世代、赤はゆとり、さとり世代のイメージです。
推移を可視化したものがこちらです。青色のグループの傾向を見ると、20代のときの投票率を基準に、経年とともに少し上昇し、最終的には20代のときの投票率くらいまで戻る傾向がありそうです。薄いグレーはわかりやすくするためにつけました。緑、赤グループも青グループの傾向を踏襲するのであれば、最終的には投票率は20代のときと同じくらいに戻るとしても、10%くらいは増加する可能性はありそうですね…苦しいか。
緑の氷河期世代は、バブル経済崩壊後の厳しい経済状況下で社会人となっています。政治から経済の状況を変えようと投票に参加したとも解釈できそうな投票率の急な上昇が確認できます。それくらい経済状況が思わしくなかったのでしょう…その後は少し低下しています。
赤のゆとり、さとり世代は、開始から投票率が低い状態です。生まれたあたりから「失われた30年」が始まっており、低成長が当たり前、消費行動も控えるのが当たり前、政治参加しても何も変わらないのが当たり前。そのような態度が投票率に現れていそうです。投票率が上がるかどうかは、なんとも言えない状況です。
前回のnoteで書きましたが、投票行動の要素の1つに「どれくらい自分の1票が政治に影響を与えるか」という政治的有効性感覚という考え方があります。こちらも確認しておきます。
政治的有効性感覚については、NHKが1973年からデータを取得して公開しています。
NHKのデータの「非常に大きな影響を及ぼしている」の回答を年代ごとに並べて見てみます。過去に遡れば遡るほど、若くても政治的有効性感覚が高いことがわかります。また、経年とともに政治的有効性感覚は高まるものの、1973年あたりの昔のような強さまでは戻らないようです。
時代が進むにつれ政治への関心や影響を感じる機会が減少していること、あるいは社会における政治への期待が薄れている可能性があるかもしれません(あるでしょう、きっと)。
おわりに
100人の日本人村を通じて、若年層の投票率をどのくらい上げる必要があるのかを考えました。結論としては、15%ポイントくらい上げる必要がありそうですが、厳しそうです。どうすれば、投票率があがるのかを考えていた時に、下記のnoteに出会いました。ハーバードケネディスクールに留学されている方のnoteです。読んでいて、なるほど、と思ったので引用させていただきます。
これは日本も当てはまるのかもしれません。私もですが、多くの若年層は「政治」「経済」「結婚、子育て」など興味を持ちたくても、優先度が低くならざるを負えないかもしれません。ディスカッションなんて、もってのほか。誰が言ってたのか忘れてしまいましたが、「生きてるんじゃなくて、死んでないだけ」。
明日の、来月の、来年のお金をどうやりくりしようか…政治家の政策で解決してくれるのかと、テレビでニュースを見てみるものの、与党と野党の非難合戦。テレビの切り取り方が悪いのか、口を開けば「裏金だの、増税だの」。
その点、今般の衆議院選挙で躍進した国民民主党は、このような状況にある若年層の受け皿となった希望の光かもしれませんね。
国民民主党が手取りを増やす政策を実現した暁には、消費余剰が生じ、生活に余裕が生まれるかもしれません。このちょっとした生活の余裕が、政治や経済、結婚、子育てといった社会的な関心事項への注目を促進する一因となり得ます。また、「政策が実現する」という体験を得ることは、若年層の「政治的有効性感覚」を強くするかもしれません。
国民民主党のみなさん、よろしくお願いします。
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