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1票の価値と票割れ…選挙区調整って大事ですね

はじめに

選挙ドットコムを読んでいるとこんな面白い記事を見つけました。

第50回衆議院議員総選挙の小選挙区289議席では、当選した人と落選した人が獲得した票の差がわずか100票の選挙区もあったとのことです。まさに激戦区ですね。1万票差以内で当落が決まった小選挙区は60選挙区で、全体の約2割を占めるそうです。

0~500票差以内:5選挙区
501~1000票差以内:4選挙区
1001~5000票差以内:25小選挙区
5001~1000票差以内:26選挙区

わずか100票差に泣いた人がいる【僅差の選挙まとめ・衆院選2024Ver.】

今回はその中でも1番の激戦区、和歌山1区で何が起こっていたのか、見ていきます。

大接戦の和歌山1区

1番の激戦区、和歌山1区では、自民党新人の山本大地さん(70,869票)が当選し、維新の林佑美さん(70,745票)が、票差は124票差で敗れる結果となりました。小数点第2以下を丸めると、得票率は36.2%で同じです。詳細は下記の通りです。

和歌山1区

選挙結果からも非常に激戦だったことがわかります。ここで疑問なのが、ここまで接戦なのであれば、運が味方していれば林佑美さんが小選挙区当選していたかもしれません。ということで、今回の選挙結果をもとに、林佑美さんが勝つ確率をシミュレーションしてみようと思います。

赤が林さん、青が山本さんです。選挙結果をもとに両氏の得票率の確率分布を計算しました。見ても分かる通り、両氏の得票率の分布はほとんどが重なっており、非常に接戦だったことがここからもわかります。

両氏の得票率の確率分布

この確率分布を使ってシミュレーションを行います。架空の世界で和歌山1区の選挙が1万回開催されていたと考えてください。その1万回の内、林さんが勝利した回数を計算すれば、林さんの勝つ確率が計算できそうです。

シュミレーションの結果は34%でした。

イメージとしては、1万回選挙をやれば、3400回は林さんが勝つということです。ただ、ちょっとこの数字は違和感があります。遡ること2023年4月23日、衆院補選和歌山1区の補欠選挙は、林さんが勝利しているからです。今回のように接戦でもなく勝利しています。

衆院補選和歌山1区の補欠選挙

補選の結果を踏まえる、林さんはもっと得票できるはずです。ということで、シュミレーションする際に、補選の結果を反映させてみます。林さんだけ補選の結果を反映させるのは贔屓なので、山本さんには同じ自民党の門さんの得票率を反映させます。本来は、選挙区の立候補人数(政党も含め)も同じが良いのですが、ここでは両氏に同じくらいの得票率を反映させる(補選、本選で得票率が10%くらい異なる)ので良しとします、
また、山本さんは過去の山本さんの選挙結果を使用できるのがよいのですが、ないものはないので、自民党の候補として見れば同じということで、この前提で進ませてください。

補選情報を反映した結果がこちらです。補選の得票率を反映させた分、林さんの分布が右にシフトしています。同様に山本さんも門3さんの補選結果が反映されて、右にシフトしていますが、林さんには及びません。シュミレーションするまでもなく、林さんがイレブンナインの確率(100%とはいえない)で勝つことが見込まれます。

補選結果反映バージョン

不思議ですね。なんで林さんは接戦の末、負けてしまったのでしょうか。選挙結果をよく見ると補選と異なる部分があります。それは「立憲民主党、参政党」の候補者が立候補している点です。 共産党は補選でも候補者を立ててました。

再掲 和歌山1区

区の関係上、有権者の数が補選、本選でも異なりますが、補選の得票率の関係から考えても、林さんが勝ちそうです。ただ、そうはなりませんでした。考えられそうなこととしては、補選では立憲や参政党の受け皿として、維新の林さんに票が流れていたのが、本選では立候補する政党の候補者が増えたことで、林さんの票が流れたのかもしれません。いわゆる票割れ現象ですね。補選通り、立憲や参政党が立候補していなければ、林さんが勝利し、維新の比例名簿から1議席獲得できたかもしれません。つまり、自民党が1議席失っていたかもしれません。

おわりに

選挙区の調整って大事ですね。各政党の担当者の方が、各選挙区の勝敗分析をしていると思いますので、どこかで和歌山1区の分析結果を知りたいですね。ただ、今回の話がある程度正しいのであれば、玉木さんが会見で「立憲民主党が候補者を立ててきた結果、政治的に殺されかけた候補者がいる」という発言をしていましたが、林さん(比例当選してますが)が政治的に負かされたことになりますね。

…と思うのですが、選挙後も立憲民主党は政権交代を掲げて、野党共闘、野党連立を他党に促していました。
小選挙区に立憲民主党から候補者をたてて、維新の受け皿を小さくすることで維新を負けさせ、結果として、自民党が勝って議席を獲得。もちろん、勝てる見込みがあって、和歌山1区に候補者を擁立したものだと思いますが、結果を見ると立憲民主党は自分で自分の首を締めたように見えますね。

あとがき

今回のケースであれば、林さんと山本さんに焦点をあてていたの、計算の考え方もA+Bを全部として、アメリカの民主党、共和党位しかないと考えて、勝利確率を計算したほうがいいかもしれないですね。書き終わった今気づいたので、次回への反省点とします。

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