花束みたいな恋をした、みたいなことをしてた。
遅ればせながら、「花束みたいな恋をした」を観 た。それで感想をツイートしようと思ったら、140文字には収まらないなと思ったし、今年ちょうど30歳になったし、なんか今後の10年と映画の感想が急に折り重なってきたから、しっかりと文章にしようと思った、だいたい午前2時フミキリで。
先に書くと、決して映画内の菅田将暉と有村架純のような恋愛をしていた訳ではない。中高の頃はメガネをしていなかったこともあり、森山未来に似ていた。当時の森山未來といえば、「モテキ」で、まさに“モテキが来ない森山未來”といじられる自分の学生時代だった。
映画みたいな事というのは、文学作品や映画などのカルチャーを思いっきし楽しんでいたことです。
大学生の時は朝から夜まで映画館で5個映画ハシゴしたり、年間80-100冊ぐらい小説読んだりしていた。
そういうこともあってか、憧れの広告業界に就職した。就職後は熱心に広告やマーケティングなどを勉強するべく、いろんな講座にも通ったし、広告コミュニケーション関連の本ばかり読んだ。
仕事にのめり込んでいったからこそ、大学生の時のような趣味や遊びから遠ざかっていった。
とにかく何者かになりたくて、がむしゃらに働いた20代だった。
20代前半は広告業界という荒波に揉まれながらもなんとか息をするのが精一杯だったと思う。
新卒1年目の冬、一番寒い2月の都営大江戸線の朝8時代にスーツ姿に坊主頭の組み合わせの前衛的なファッションをしていた人は亀山だけだったと思う。
まだ生きている間にそのファッションは評価もトレンドにもなっていないから、恐らく死後評価されるゴッホと同じものだろう。
なぜそんなことになったかというと、話はシンプルで同じようなミスを3回繰り返したために、会社を辞めるか、坊主にするかと上司に問われたのである。もう至ってシンプルで、何も難しくない問いかけです。
その場で坊主にしてきます、と即答した自分を労いたいとは思う。
ちなみに、いきなり坊主にしてから行きつけの美容院に次髪切りに行ったらビックリするだろうなと思って、もはや1,000円カットでいいのにあえて坊主にするために美容院に行った。
そしたら、逆に美容院の人に気遣わせてしまった。「前回のカットが気に入らなかったのかなと思って…」と。
いやいや、そうじゃない。
気を遣ったつもりが、逆に気遣わせてしまったのは自分らしい空回りであった。
20代後半は転職先で過ごす時間の方が長かった。企画職になりたくて、未経験にも関わらず採用いただいたのが今の会社です。
PRなんて分からなかったし、プランニングスキルもないのに、ただただ熱量だけで採用してくれた当時の上司には本当に感謝してます。
まずは社内で認められるために、いろんな仕事をした。先輩プランナーがしたくないような小さい仕事から雑用まで。
結局今もまだ自分のことを認めていない人もいるかもしれないが、入社当時よりは全然仕事がしやすくなっているし、居心地もいい。
そんな20代が終わったのだが、一般的な30歳という人生の節目と別の意味合いで自分にとっては30歳は大きな節目になる。
広告業界はヤングコンペと言われるような、若手の登竜門的な公募のコンペティションがいくつかある。大体それの応募資格は30歳以下で、自分も毎年挑戦していた。
その応募資格がいよいよ切れる年になった。
もはや若手ではなくなってしまった。
(先日のヤングカンヌが最後の挑戦でした)
ここからやっと映画の感想と自分の次の10年の話になってくるのだが、20代は広告コミュニケーションの基礎を叩き込んだものだった。
それは今思うと、ずっと何者かになりたかったのに、結局はよくいる一般人A、モブキャラから抜け出せないものだったと思う。
大学生の時のようなあらゆる作品を浴びるように触れ続けていた方が、よっぽど何者かになれると思う。自分の型を作り、殻を破ることもできるようになると思う。
でも、そうはしなかった。
お堅いビジネス本ばかり読み、なんか成長している感を疑似体験していただけに過ぎないのである。
自分の角をどんどん削って丸くなっていっただけのように感じた。
と、30歳になって「花束みたいな恋をした」の菅田将暉と有村架純の別れるシーンを観て自分を重ねてしまった。
だからこそ、30代は一旦またカルチャーをどんどん吸収していく方に戻っていいと思う。
さいわい大学生の時よりは、お笑いやアート・建築など幅広いジャンルに興味を持つようになったので、色々と楽しみが増えている。
もう広告コミュニケーションの基礎は出来たから、よりさまざまなジャンルの作品に触れ、自分の型を形成していきたい。何者かになれるようにしたい。
それが30歳になってから思うのはだいぶ遅いかと思うが、気づいたのが今なんだからしょうがない。
・映画
・音楽
・小説
・観劇
・お笑い
・アート
・建築
ここら辺は興味を持てる範囲なので、しっかりと楽しむ時間を作っていきたい。
以上が映画を観て思った感想でした。
ちなみに、作中に流れるACCの曲や、カラオケでの曲など全部好きです。
それもあって、この映画を観てテンション上がってました。
もしここまで読んでくれた方がいらっしゃれば、長文駄文にお付き合いいただきありがとうございました。