【カンボジアニュース】タイの入管施設から逃走した日本人詐欺犯とカンボジアの関わりを発見
昨日パタヤで逮捕された八木容疑者について、まず報道をまとめます。
日本で詐欺の疑いで逮捕状が出ている八木佑樹容疑者(35)は9日、タイの首都バンコクで裁判所から入管施設に戻った際に、護送車を奪い逃走しました。八木容疑者は、近く日本に強制送還される予定でした。9日午後に車で裁判所から戻った際に足の痛みを訴え、担当者が車椅子を用意している隙に運転席に乗り込んで逃走し、車は施設から約5キロ離れた場所で見つかりました。
フジテレビの独自報道によると、八木容疑者はその後電車に乗り、車内で着替えたあと、さらにタクシーに乗り換え、約140km離れたタイ東部のリゾート地パタヤでタクシーを降りたことが関係者への取材で確認されています。また時事通信は、当初はカンボジアに滞在していたが、その後タイに移ったとみられると報道しています。カンボジアに近いパタヤで逮捕された容疑者は、はたして隣国への逃亡を計画していたのでしょうか。
調査してみたところ、八木容疑者は、令和4年1月28日、大阪簡易裁判所裁判官から詐欺事件の被疑者として逮捕状が発せられ、令和4年2月14日、警察庁から外務大臣にその旨通報があったことから、旅券法第13条第1項第2号に該当するとして、旅券法第19条に基づく一般旅券の返納命令に関する通知が官報に掲載されていました。この通知内容からは、旅券番号TZ2030118が令和2年9月29日に発行されており、容疑者の申請上の住所がカンボジアであったことがわかります。これらの情報からは、在カンボジア日本国大使館において在留届を出していたと推定されます。
同様に申請上の住所がカンボジアである人物が、一般旅券の返納命令を受けた事例がもう一つ確認できました。官報によると、石塚圭容疑者は、令和3年8月13日、東京簡易裁判所裁判官から私電磁的記録不正作出・同供用、窃盗事件の被疑者として逮捕状が発せられ、令和3年9月3日、警察庁から外務大臣にその旨通報があったことから、令和2年11月26日発行、旅券番号TZ2045061の返納命令が出されています。関係者からの情報によると石塚容疑者らのカンボジアでの生活はかなり豊かだったようです。容疑者らによって構成されていたグループの一部については、プノンペン都内中心部で日本人駐在員家族が多く住むバンケンコン1町のサービスアパートメントに居住していた模様です。消息については確認できておらず、現在もカンボジアに潜伏している可能性があります。
これらの日本大使館でパスポートを更新した人間による犯罪や、今年に入ってからの特殊詐欺の摘発等、様々な報道が確認できます。これらの情報から断片的にではありますが、カンボジアにおける日本の反社会勢力の活発な活動が明るみになってきました。
さて、以前書いた投稿でご紹介しましたが、2022年のカンボジア在留邦人数は、世界29位の3363人でした。前年度は世界27位の4502人だったので、25.3%の大幅な減少です。上位50カ国中でカンボジアはロシア、パラグアイに次いで世界3番目の大幅減少となり、その理由について注目されました。
当局による捜査が進んでいることを懸念した反社関係者が在留届を出さなくなったことが、数値に影響した可能性も否定できません。
谷公一国家公安委員会委員長のカンボジアに関する国会答弁を以下ご紹介します。
第211回国会参議院決算委員会令和5年4月10日
「警察といたしましても、関係省庁、関係団体等と連携し、外国当局、つい先日もカンボジアで事件が発覚いたしましたけれども、更なる連携強化を図りつつ、緊急対策プランを踏まえた各種対策をしっかりと推進してまいりたいと考えております。
特に、犯罪者グループの壊滅に向けては、犯罪の首謀者や指示役も含めた犯罪者グループの実態の解明、そして検挙、また犯行利用電話の利用制限等の犯行ツール対策、さらには特殊詐欺事件の背後にいると見られる暴力団等に対する多角的な取締りなどを更に推進していくよう指導してまいりたいと思っております。」
(トップのビル写真はプノンペン中心部のイメージです)
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