ムエタイではなくコンクマエ、騒動の考察
ムエタイは世界的に有名なキックボクシングの一種ですが、タイのムエタイとカンボジアのコンクマエ、この2つのスポーツは基本的にほぼ同じものです。同種のスポーツは、ラオスやミャンマーにも存在しています。
ムエタイは世界的に認知されていますが、残念ながらコンクマエの認知度はまだまだ低く、タイはコンクマエは国際的な競技ではなく、SEA Gamesの競技名として認められないと非難しています。しかしながらカンボジアでは少なくとも2016年当時から国際連盟が存在しており、カンボジアだけではない国際的な競技でした。2019年には、11カ国が参加して第3回コンクマエ世界大会が開催されています。
クメールルージュ政権下で禁止されていたコンクマエですが、平和と共にその後すぐに復活しました。少なくとも1990年代からは、毎週試合が行われテレビ中継されるなどカンボジアの国民的スポーツです。
2005年にSEA Gamesの競技種目としてムエタイが登録された際には、カンボジアはムエタイの名称に抗議して参加をボイコットしました。こういった努力は過去から継続して行われており、1995年のASEAN会議では、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイにそれぞれ同様のスポーツがあるという事実を公平に反映するために、ムエタイの名前を「ソバンナプムボクシング」または「シーボクシング」に変更しようとの提案しています。この試みは失敗し、その後ムエタイの名前が世界で広まることになりました。
SEA Games組織委員会のワット・チャムロン事務総長は、「コンクマエは、カンボジアに起源があるカンボジアの文化であり、ホスト国である我々は、コンクマエの名前を使う権利がある。」と語っています。
SEA Gamesでは、4カ国以上の参加が条件となっており、たとえタイがボイコットをしても、ラオス、マレーシア、ミャンマー、インドネシア、フィリピン、ベトナムが参加表明をしており、競技として成立する見込みです。
国際ムエタイ連盟を通じ、コンクマエに参加した国にペナルティーを与えるとの圧力をかけていたタイですが、こういった情勢を受けてボイコットを示唆していた従来の立場を変更し、妥協して参加するとの話もあるようです。ホスト国カンボジアがメダルを取ることを防ぐために、名称がなんであれ参加してメダルを獲得し、カンボジアを打ち負かすことを優先するのかもしてません。
当ブログは「にほんブログ村」のランキングに参加中です。1日1回のクリックにご協力ください。