【カンボジアニュース】1月に送還された特殊詐欺犯の裁判が即日結審。その裁判でわかった事実とは。
今年1月31日にカンボジアから日本に強制送還された4人のうち、12月10日にシアヌークビルで拘束されバンコクから成田への移送の機中で逮捕された3人のグループがいました。そのうちの1人で、さいたま市在住の27歳無職男性の初公判が、4月19日にさいたま地裁でありました。
起訴状によると、被告は共犯者らと共謀し、昨年12月、横浜市の女性(75歳)の息子などになりすまして、この女性から現金約102万円をだまし取った事件に関与したとされています。検察側の冒頭陳述によると、被告は知人の男からリクルーターの仕事を紹介され、昨年10月にカンボジアに入国。現地にいる特殊詐欺グループ幹部の指示を受けて、ホテルの部屋から受け子やかけ子をSNSで勧誘する作業をしていました。
朝日新聞などの報道によると、この日の被告人質問で被告は以下のように証言しています。
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昨年5月ごろに飲み会で男と知りあい、7月からさいたま市内の短期賃貸マンションで同居した。その後2人で宮崎県に移った時に、「人を募集する作業で、月1万ドルの報酬が貰える。3カ月で日本に帰国させる」と勧誘された。「捕まるようなことはさせない」とも言われた。この人物が特殊詐欺に関わっていることは認識しており、「最初は特殊詐欺のことが頭によぎり断った」が、宮崎での生活費はこの男が負担していたことから、「恩返しもかねて依頼に応じた」。一方で、「心から信用していたわけではない。かけ子とかをさせられるのではないかと思っていた」。10月にカンボジアに入国し、現地の幹部に、ホテル、オフィス、レストランがある複合施設で生活するよう指示された。2部屋に、ほかの日本人の男2人と暮らした。外出には許可が必要だった。カンボジア到着後1カ月間はSNSへの投稿で海外で働きたい人を募集していた。「タナカ」を名乗る幹部の男からの指示だった。しかし11月下旬頃から、特殊詐欺のかけ子や受け子、出し子といった闇バイトにつながる人材の募集を指示された。
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この被告がカンボジア滞在中にリクルートできたのは1人だけだったそうです。その相手には顔写真付きの身分証明書と本人の顔、そして家の外観が分かる写真を提出させ、髪が長かったため切るように指示もしたとのことです。現地には「無一文で行った」そうですが、タナカから3千ドルを借りて生活費に充てていました。その後12月10日にシアヌークビルで、カンボジアの国家警察に身柄を拘束されています。当初約束された報酬は受け取ることはなく、結果としてはただ働きでした。
裁判において検察側は、組織的かつ悪質な犯行で情状酌量の余地はないと指摘し、懲役4年を求刑しています。一方弁護側は、執行猶予を求めています。即日結審して判決は今月26日の予定です。容疑者は反省していると述べているようですが、1月30日にフジテレビがプノンペン空港で撮影した移送中の容疑者らの映像には、カメラにピースをする3人の姿が映っていました。
また、カンボジアの拠点を準備したり、また運営をしていた幹部や背後の組織はいまだに明らかになっていません。カンボジアにおいて特殊詐欺との関係性が噂されている複数の在留邦人は、捜査の手が及ぶことを懸念してか失踪した人間がいる一方で、いまだに日常生活を目撃されている人間もいます。
カンボジアにおいては特殊詐欺だけでなく、反社会勢力による様々な犯罪が取り沙汰されています。両国当局によるさらなる捜査が期待されます。
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