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カメラの写真を撮るということ
ボクはカメラが好きだ。だから、カメラの写真を撮る。
「カメラを撮る」と言うと、「は?」という顔をされることは多い。
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けれどもカメラを撮るのはなかなか奥が深いものである。
まず動機としては、カメラのカタログ写真を見て「このように撮りたい」と思ったことが最初であった。
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そういう意味では、時代とともにカタログ写真の撮り方が変わるごと、自分の撮り方もそれに合わせて変わってきた。
例えば、1970年代くらいは白バックの写真が多かったが、1980年くらいになると黒バックが多くなったりした。
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カタログ写真をマネるにしても、撮り方まではそこからは分からないので、そこは自分で研究せねばならなかった。失敗かどうかはフィルムを現像するまで分からないので、それこそフィルムは湯水のように使った。その消費量は今考えると恐ろしいが、当時デジタルカメラがあってフィルムを消費せずに撮れる環境があったら、果たして進歩したかどうかは怪しい。
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やはり、1枚1枚に金がかかってこそ、真剣に撮れると思う。
フィルム1本を撮り終わって、「あ、しまった、ライティングを間違えたかな?」と思って少し悩んだことがある。もし失敗だとするなら、これを現像するのは金のムダ。うーん、どうするか。
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2~3時間のあいだ色々と必死に検証した結果、うまく写っているはずがないという結論に至った。そうなるとこのフィルムはボツ。これで450円の現像代をムダにせずに済んだ。
今考えると、それはホントに失敗だったかは分からない。けれども、必死に検証したり悩んだりした時間は、ムダでは無かったと思う。
そういうわけで、カメラの写真を撮るということは、ボクの写真撮影の原点と言える。