失敗写真の救済(ブレ修正)
●失敗写真の要因
写真撮影で失敗となる要因として、「露出過不足」・「ピンボケ」・「手ブレ」がある。
(※もちろん、構図やライティングの失敗などもあるが、ここでは単に機能的失敗の話に限定する。)
撮影時にこれらの失敗が無くなるようにカメラの機能も発達し、「AE」・「AF」・「手ブレ補正機能」が開発されてきた。
しかしながらいったん撮影されてしまった失敗写真、特にフィルム撮影の失敗写真は救済方法がほとんど無い。ネガフィルムであれば、プリント焼付け時にある程度調整できたりもしたが、ポジフィルムではもうどうしようもない。
●見たくない失敗写真
撮影時は失敗をカバーするために複数枚撮っているので、そのうちの数枚失敗していても成功カットが1枚あれば良いはずなのだが、ちょっとした角度やフレーミングの違いで失敗写真のほうが良かったりする時は悩ましい。
これはマーフィーの法則みたいなもので、そういう失敗カットというのは、一番失敗したくなかったところで起きてしまう。だからその失敗カットは見たくない。見るたびに悔しい気持ちになるからだ。最初から無かったことにしたい。
だから、現像が上がってきたポジは、高倍率ルーペで隅から隅までチェックして失敗カットにマークを入れ、ハサミで切って捨ててしまう。
けれどもパッと見た目は良さそうなカットでも、ルーペで子細に見ると微妙にブレやピンボケしていたりすると大いに悩む。
それでも、悔しい思いが蘇ってくる写真は残しておけなかった。
●画像処理ソフト
Photoshopなどの画像処理ソフトは、様々なツールを使って画像に手を加えることができる。露出の過不足も明るさを調整したり、僅かなピンボケくらいならシャープネス処理でクッキリさせることができる。
ただ、情報の無いところから情報を取り出すことはできないはずなので、特に手ブレ写真についてはPhotoshopでも修正は難しい。
●AI処理
ところが最近、AIによる補正技術が現れてきた。これは今までとは何が違うのか。
これまでのコンピュータ処理というのは、あくまでも元画像のピクセルを一定の計算によって置き換える単純作業であった。
ところがAI処理では、画像を積極的に改変していこうというものである。それは、ともすればそれは"捏造"とも言えるが、捏造度合いはパラメータ調整により設定できるので、人間の判断によって捏造にならない程度の補正を目指せば良い話。
ちなみにボクが使っているAI処理ソフトは、Topazの「Sharpen AI」というもので、Photoshopプラグインとして利用する。確か8千円くらいしかたな?
数年使っていると、起動するたびにアップグレード案内の画面が出るようになったのが玉に瑕。金を払って買ったのに使いづらくするのはやめてほしい。
●Topaz「sharpen AI」を使ったブレ修正の例
それでは、Topas の「Sharpen AI」を使った手ブレ処理の例を紹介していきたい。
まず処理画面は下のような感じで、Photoshopのプラグインから起動できるし、単体でも起動できる。
下は洞窟内を撮影したものだが、見事に手ブレ写真。ここまでブレているとさすがに補正画像でも不自然な描画となってしまっているが、それでも元画像よりは見易くなっている。
次の写真も大きくブレているのでなかなか難しいんじゃないかと思ったが、意外にも完全に補正されて驚いた。どうやってこのディテールが再現されるのか不思議。
下の写真も、画面全体が100点ではないにせよ、細かいところの描写が復元されているのがすごい。
下の写真では、光の反射がブレて線状になっている部分が補正されて点に戻っている。
近隣マップを写した写真では、さすがにブレが激しいため文字が読めるところまで補正できなかったものの、なんだか読めそうに思えるのが不思議。
下の写真も、失われている情報が現れているのがすごい。ただ、ここでは拡大していないものの、人間の顔がお化けのように表現されてしまっている。
夜景は手ブレ主な原因だが、下の写真では見えなくなっている手すりなどの線が復活しているのは本当に驚く。
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