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色々な種類のストロボについて解説

ストロボには色々な種類がある。
単純に、発光量の大きさ(ワット秒)で分類することもできるし、電源(AC電源/乾電池/バッテリー)によっても分けることができる。また用途別(スタジオ/接写/クリップオン/他)にも分けることができる。ここでは、ボクが所有しているストロボの範囲から紹介してみたい。


●スタジオ用ストロボ

スタジオでストロボを使う場合、通常はAC電源式のジェネレータストロボが使われる。これは電源部(ジェネレータ)と発光部(ストロボヘッド)がケーブルで繋がれた状態で分離され、発光部が軽量であることが最大の特長となっている。

<ジェネレータ式ストロボ>

なぜかというと、スタジオではストロボヘッドを各所に配置して多灯照明することがあり、その場合、ヘッドが小型軽量であることで自由なライティングが実現できるからだ。
また、手元にあるジェネレータ側で発光量やモデリングライトの出力を集中的にコントロール出来るというメリットもある。

ボクが購入したジェネレータ式ストロボは、上の写真に掲載したアメリカ製の「ダイナライトM1000」という比較的小型のもので、最大4つのヘッドで多灯照明可能なものである。国内のコメット社が代理店で、30年くらい前に25万円で購入した覚えがある。当時はまだ新入社員時代だったから、かなり生活を切り詰めて買った。

<当時、穴が開くほど眺めたカタログ>

●モノブロックストロボ

さて、「モノブロックストロボ」というAC電源ストロボもある。これは「モノ=単一の」「ブロック=塊」という意味で、つまり電源部まですべて含めて一体化させたストロボということになる。

オーディオに例えるならば、ジェネレータ式ストロボが「セパレートタイプのコンポ」に相当し、モノブロックストロボは全てが一体になった「ラジカセ」に相当する。

つまり、モノブロックストロボはラジカセのように気軽にどこにでも持って行って、すぐに使えるというのが特長ということになる。

<モノブロックストロボ>

ただその反面、ラジカセのように大きく重いので、クレーン設置には向いてない。上の写真では、バランスウェイトをかなり重くしてある。

それに、多灯ライティングするにはそれぞれのスイッチを操作する必要があるし、高い場所に設置してしまうと操作することが難しくなる。最近ではワイヤレス操作できるものも増えてきたが、主電源はさすがに装置側でやらざるを得ず、そういう場合はコンセントスイッチで対応することになる。

そうは言っても最近は製品の数も多くなり、150ワットくらいの小型軽量のものまであり値段も安い。今の時代はデジタルカメラで感度を自由に上げられるので、それほど光量を必要としなければモノブロックは良い選択肢になるかも知れない。

●バッテリー式ストロボ

バッテリー式というのは、充電式の専用バッテリーを使うタイプであるが、大きく2つに分けられる。
1つは、単純に一般的な小型クリップオンストロボの電池室を専用バッテリーに置き換えたもの。
もう1つは、AC電源の取れない屋外で大光量を実現させるもの。

下の写真は、屋外で大光量を得るために8万円で購入した後者のタイプである。大光量なだけあって発光管は交換式。

<バッテリー式ストロボ>

ただ、ボクはたまたま運が悪かったのかハズレ製品に当たってしまい、おそらくメインコンデンサーのショートで、断続的に強烈な爆発音(耳をつんざくようなバンッ!という音)が出るようになってしまい、返品となってしまった。

●クリップオンストロボ

クリップオンストロボはカメラに装着固定して使用することを前提としたストロボのことで、単三電池などの乾電池を使うものが多い。中には充電式の専用バッテリーパックを使うものや、AC電源が使えるものもある。

〈AC電源も使えるサンパック製ストロボ〉

歴史上の経緯から話をすると、クリップオンストロボをカメラに装着するには、昔からカメラに備わっていたアクセサリシューが流用された。これは露出計などのアクセサリをカメラに固定するためのものだったが、カメラに露出計が内蔵されると使い道が少なくなったので、ストロボ用として利用されるようになった。

ならばいっそのこと、シンクロ用の接点もアクセサリシューに設けてしまおうというアイデアにより、ホットシュー(※)が現れた。これが現在主流の方式である。

(※ちなみに、接点の無いシューをコールドシューと呼称した文章を見かけることがあるが、これはホットシューに対する言葉であることを強調しただけであり、それは結局のところアクセサリシューのことである。)

クリップオンタイプのストロボは、写真知識の無い一般人もユーザーに含まれるため、早くからオート化が始まった。

まずクリップオンタイプのストロボというのは、カメラに固定されたものであるから、撮影距離=照射距離ということは間違いない。そのためストロボの発光量と撮影距離から計算によって適正絞り値が決まる(※)。その計算のためにストロボの発光量をガイドナンバー(G.N.)という係数として表しており、これをガイドナンバー方式と呼ぶ。
その後、いちいち計算するのが面倒だという点を解消するために、レンズの距離環と絞り環を連動させ、ピントを合わせればそれに応じたストロボ撮影のための適正絞り値が自ずとセットされる仕組みも登場した。

(※光は距離の2乗に反比例して暗くなる。なぜなら、距離が離れると照射する面積が広くなるため光の密度が低下することによる。光そのものが届かなくなるわけではない。)

しかしガイドナンバー方式では、絞り値は撮影距離で決まってしまうのだから自由に選ぶことができない。そこで、発光量そのものをコントロールしようということになった。それが「調光」という方法である。

調光のためには反射光を測る受光センサーが必要で、ストロボ側にセンサーがあるものを「外光式」、カメラ側にセンサーを持たせてストロボと通信させる「TTL式」があるが、いずれにしても受光センサーで受けた反射光を測定し、十分な量まで達した瞬間に発光を止めるという仕組みは同じである。
なお絞りの選択については、一般的に外光式は2パターン(F2.8/F5.6など)の絞り値しか選べないのに対し、TTL式ではレンズを通った光を測定するため、ある範囲で任意の絞り値を選ぶことができる。

さて、受光センサーで適正露出量まで発光させたことが分かったとしても、その発光を途中で止めることができなければ意味が無い。だから、電気回路上に発光を途中で止めるための仕組みを設ける必要がある。

当初は発光途中に発光管と平行するバイパス路へ電気を捨てて発光を止める「並列式」が登場したが、これでは発光量の大小に関わらず常にフル発光分の電気を消費するので効率が悪いばかりでなく、再発光までのチャージタイムも長くなってしまう。
そこで電流を遮断して発光を止める「直列式」という方式が開発された。なお電流の遮断には、サイリスタやIGBT(パワートランジスタ)などの半導体パーツを用いるが、ここが劣化すると電流遮断ができなくなり常にフル発光になる。中国製の安いストロボはまれにこうなるので、ボクは修理用としてIGBTを何個かストックしている。

<IGBTの交換>

さて、最近はカメラから離してワイヤレスでシンクロできるものが増えてきた。
ワイヤレス式の良いところは、発光量のコントロールが遠隔から可能で、そして何よりも、有線式に比べて不発が圧倒的に少ないことだ。シンクロコードでは断線や接触不良が起こりやすく、そのせいで今までどれほどのフィルムがムダになったろうか。デジタルカメラの時代になっても不発は厄介で、それが無くなったのは大きな進歩と言える。

<ワイヤレス式クリップオンストロボ>

なお、ボクが使っていた中国製Yongnuo製ストロボは国内の電波法に適合しないようだったので、適合証明の技適マークのあるGodox製に切り替えた。

●超小型ストロボ

クリップオンストロボは元々小型ストロボの範疇ではあるが、その中でも特に小型のものはまた別の価値が生まれるように思う。

ボクは数年間、横浜みなとみらい地区で勤務していた時期があり、そこでは色々な花が植えられ花を咲かせていた。通勤の行き帰りであるから撮影機材を持っているわけもなく、しばらくは見るだけであった。
しかしそのうち撮影したくなり、通勤カバンに入るくらい超小型のストロボを購入した。電池も単四電池式。

<超小型ストロボ>

試しに、フィギュアのライテイングで確認したところ、ライティングもミニチュアとして十分機能することが確かめられた。
カメラは最も小さなミラーレスカメラの「PENTAX Q」である。これでダウンサイジングされた撮影セットとなった。

<ダウンサイジングされた撮影セット>

早速、少し早めに家を出て、職場近くの桜をライティングしてみた。手のひらに載る小型バンクだが、ちゃんと機能するのでバカにできない。

夜も撮影出来るのがストロボ撮影の良いところ。
下の写真は合成っぽく見えるかも知れないが、いわゆるスローシンクロによるものである。

●その他特殊ストロボ

その他特殊ストロボとして、リング状の発光部を持つ医療用ストロボもある。ボクも歯医者でこのような機材で撮られたりした。

<医療用ストロボ>

ただ、医療用ストロボも一般撮影で使ってはならないということはなく、小さな昆虫などをマクロで無影撮影する用途に使うなど、様々に活用できる。

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