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写真に日付焼き込み機能が欲しい

昔、写真に日付を焼き込むには特別な装置を必要とした。
価格も高く、装置自体も非常に大きなもので一般的に使われるものではなく、主に研究機関で使われたようだ。

<現代カメラ新書「カメラメカニズム教室2」より引用>

だがやがて、一般の記念撮影においても日付が写ることが求められ、日付焼き込み装置もかなり小型化された。当初は透過文字の並んだ円盤を回して発光ダイオードの光で焼き込むものであり、その後現れる7セグメントのデジタル数字で焼き込むタイプと比べると味のあるものだった。

<透過文字で焼き込むタイプ>

実際、ボクが日付焼き込み機能を持つカメラを初めて使ったのはEOSやαの時代だったが、デジタル数字の焼き込みはあまりにも味気なくてほとんど使ったことが無かったものだ。

それからデジタルカメラの時代になり、簡単に日付が焼き込めるようになったのだが、やっぱり何か違って味気ない。こんな感じになるなら日付は入らないほうがいい。

<KODAK DC3800で撮影>

そういうわけでしばらく日付焼き込みに無関心になっていたら、いつのまにかデジタルカメラのデータにEXIFという撮影情報をファイル内部に持つようになり、デジタルカメラには日付焼き込み機能は無くなっていった。

ところが最近、ふと日付焼き込みをしてみたいと思うようになった。やっぱりあの数字透過式の薄ぼんやりした焼き込みを入れてみたい。
もちろん、デジタルカメラでは裏ブタが無いので背面から焼き込みことは不可能であるから、レンズ面から焼き込むタイプを探してみた。

レンズ面から焼き込むタイプの有名な製品はメディカルニッコールであるが、あれは撮影倍率のプレートを焼き込むものなので役に立たない。
そこで目を付けたのが「デートナー」という製品。1970年代に売られていたようだ。これなら現代のデジタルカメラでも使えるだろう。

<「写真工業1978年6月」より引用>

そこでネットオークションなどで探してみたのだが、さすがにこんなレア物は見付からなかった。試しに外国のネットオークションを見てみると、驚いたことに3つくらい見付かり、日本円で1~3万円くらいの値付け。買えないこともない。
けれども画面コーナーに斜めに焼き込まれるようなのがちょっと違和感。少し考えて、「やっぱりこれじゃない」という結論に至る。

しょうがないので、試しに画像合成でそれっぽいものを作ってみようと思った。できるかどうかやってみるだけやってみよう。
その結果、うん、まあ、それっぽい感じにはなったかな・・・?

やったこととしては、フォトショップのレイヤースタイルという機能でテキスト文字を加工。ポイントは以下のとおり。

  • 写真の明るい部分の重なりで明度が加算されて見えづらくする

  • 数字のエッジ周辺は光が漏れてぼんやりしたハローを表現する(フィルム裏面から焼き込む効果)

  • 昔よくあった橙色と緑色の発光ダイオードを光源として想定する

  • 文字盤のダイヤルが少しズレた感じでオフセットさせる

最初に「TT-JTCウインR4」という書体で作ってみた。なんとなくそれっぽい感じになったと思う。本来、文字盤の年、月、日はそれぞれ”2024”というようにひとまとまりに固定されているので、1桁だけ数字がズレることはありえないのだが、あえて分かりやすく1桁単位でズラしてみた。

もう一つ試した書体は「Orator Std」というもの。ナンバリング打刻印で使われそうな書体なので昔っぽいが、実際の製品ではこういう書体を使ったものは存在しなかったように思う。けれどもニキシー表示管のような味があるので敢えて使ってみた次第。

これはなかなか面白いので今後も何か記念写真としたいものには日付を焼き付けておきたい。

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