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【写真について知っているいくつかのこと Vol.38】Flextightのメンテナンス by KISHI Takeshi
こんにちは。CaloworksのKISHIです。
今回の記事では我が家のぶっ壊れ(文字通り)フィルムスキャナFlextightを復活させるべく、メンテしていきます!
Flextのトラブルでお悩みの方に参考になりましたら幸いです。
*本機種はメーカーサポートも切れているため、心置きなく分解していますが、作業はくれぐれも自己責任でお願いします!
1.エラーの原因
元々のエラーの状態などは以前の記事もご参照ください。
さて、本機の不調の過程では、以下のような症状が出ていました。
スキャン時に「ホワイト・ブラックキャリブレーションを失敗」のエラーメッセージが表示される(この状態でプレビュー・スキャンしても像が正しく表示されない)
フィルムをセットしたホルダーの読み込みが正常に行われなくなる(ホルダーが正常に挿入されない・読み取りの位置がズレるなど)
当初、キャリブレーション関連のメッセージから、ライトチューブの異常を疑っていましたが、フィルム送りに問題が生じているとなると、駆動系が怪しいです…。早速分解してみましょう。
![](https://assets.st-note.com/img/1731861759-zcDZyVMokIxRKEOsrJ84j5Bm.jpg?width=1200)
2000年代末~2010年代頃は、ネットオークションなどでFlextightが今よりも安価に売買されており、さまざまな機種に触れる機会がありました。
Photo、Precision、646、848、X1あたりはカバーを外して、内部を触ったことがありますが、友人が大枚をはたいて買ったprogression(8✕10までスキャン可能なテーブル付き)を開けたところ、そもそもライトチューブが入っていなかった…なんて事もありました。
本機種では内部にアクセスするために、背面のネジを外してカバーを開けます。旧機種のPrecisionでは、カバーの仕様が異なっており、本体側面の金属板をマグネットなどで外すと、駆動系にアクセスできます。
![](https://assets.st-note.com/img/1731862842-vUPuGqdrsRXWjLKfyTnQOHF0.jpg?width=1200)
本体の下に見えている大きめの「輪」が、本機の特徴であるバーチャルドラム構造ですね~。そこにつながった右側の部分が駆動系ですが…。
![](https://assets.st-note.com/img/1731863015-jbcU9ymehDKBx5lYtRGwF3gP.jpg?width=1200)
ぎゃーっ。タイミングベルトが完全に劣化しています。
実はこのメンテ前に一度、カバーを開けたところ、このベルトの樹脂部分がポロポロと内部に剥落して無惨な状態だったのです…。
作業と前後して、Flexユーザーの後輩からも、同様の症状が発生していると教えて貰っていたので、もしかすると、当時のパーツの限界の時期が訪れているのでしょうか…。
2.タイミングベルトの特定~購入
このベルトを交換したいところですが、ピッチやサイズが不明です。
eBayなどでは、Flextight交換用と称したベルトが出品されていますが、やや割高…!「日本製」と表記されているものの、発送地が別の国…というのも少し不安です。
そこで、色々ネットを調べていたところ、某SNSに海外のFlextightユーザのコミュニティがあり、そちらの過去ログを辿っていくと情報が出ておりました!
《 幅 6mm 長さ 245mm 歯数 98 ピッチ 2.5mm 》です!!
ピッチが特殊なためか、ネットストアで購入できる安価な国内製品が見つからず。結局ドイツメーカー製のコチラを購入しました。
![](https://assets.st-note.com/img/1731864255-Y6cVeUgJysElSXIxjDQ3W5FP.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731864314-jE17QYqCc85NfzFK6y30td42.jpg?width=1200)
3.パーツ交換
さて、ベルト交換のため、ギア部分をバラしていきます。ここから先は、私も未知の分解ゾーンなので、写真を撮りながら慎重に作業を進めます。
ベルトは常にテンションがかかるようにローラーで押さえられており、この押さえを一時的に解放するために、ローラーパーツにつながったスプリングを外します。
![](https://assets.st-note.com/img/1731865139-5tBalpUoeugqIyk0ZEYfrn9G.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731866010-cm0fQu61MLlTPAZVzjanp27D.jpg?width=1200)
続けて、ギアを固定しているプレートの3本のボルトを六角レンチで緩めていきます。本体カバーのネジも六角穴なので、六角レンチは分解に必須です。
![](https://assets.st-note.com/img/1731865546-SYVqguIH53JZxy71KUWrLhMc.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731866159-PlhKxcYw5FTdIEsvbmjDHJ6z.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731866252-W9COUec508tl2zP3S7JjTgds.jpg?width=1200)
プレートを外して、ギアからベルト取り外していきます。
![](https://assets.st-note.com/img/1731866342-fF6Z5kGIeOHvUNuTsAlbmthr.jpg?width=1200)
ギアの歯の部分に劣化した樹脂が固着していたので、エタノール+綿棒や爪楊枝などを使って、本体を傷つけないように清掃します。
![](https://assets.st-note.com/img/1731866489-QOHARgyb9f1lNzD5Y8UBaJIE.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731866560-XfbvIBN7z3s4oKmpZMinrGyD.jpg?width=1200)
歯がキレイになったら満を持して新ベルトをセットします…!
ちゃんとピッチが合うか心配でしたが…。
![](https://assets.st-note.com/img/1731866646-8nUPMYWk5cIuLZemsDJdbyjB.jpg?width=1200)
内側と外側の両方のギアに新ベルトをセットします。
![](https://assets.st-note.com/img/1731866689-uYJOojVe5yZsdIDN0Xz6m2f7.jpg?width=1200)
プレートと押さえのローラーのスプリングを元に戻して作業終了です!
![](https://assets.st-note.com/img/1731866821-YJbOp2LMr1WUZq4V7asSgcin.jpg?width=1200)
![](https://assets.st-note.com/img/1731866861-IznHfE4dcNMkO6ZihJs8Fvoe.jpg?width=1200)
交換パーツの情報求む…
![](https://assets.st-note.com/img/1731867036-NSVfFZBi3w7Rehb0jlWOuny4.jpg?width=1200)
4.動作テスト
カバーを戻して早速動作テストを行ってみましょう…。
![](https://assets.st-note.com/img/1731867255-8TMrKJEw3IzHpldiDhZAotQC.jpg?width=1200)
緊張の一瞬。
![](https://assets.st-note.com/img/1731867308-Po94Ci6QskInmJ21qegywWDf.jpg?width=1200)
おっ…。
![](https://assets.st-note.com/img/1731868749-wIKl6zHv7iD843GJA1qSZ2Ma.jpg?width=1200)
大丈夫そう!!
![](https://assets.st-note.com/img/1731868788-etRu2bvc3lDKhiqCAfJdF4SE.jpg?width=1200)
動作テストの結果も良好です。
当初の「ホワイト・ブラックキャリブレーションの失敗」は、おそらくスキャン毎にホルダー・フィルムの無い素抜けの照明の状態と、ホルダが光を遮る状態で最明・最暗を較正していたところ、ホルダーが正しい位置で挿入されないために、エラーが発生していたのかも知れません。
ということで、本件とりあえず解決!
以降は無事にスキャンが出来ております!
![](https://assets.st-note.com/img/1731869477-CNmofBi9JgEtFrcL37hpuYDd.jpg?width=1200)
デスクに鎮座する素敵な金属オブジェと化していたFlextightくん…。
独特な形状から、友人同士では不謹慎にも「墓石」と呼んでいたスキャナですが、まだまだ自分の写真制作の墓標にならずに済みました。
久しぶりに4×5カメラで写真を撮りに行きたいなぁ~。
またnoteでお会いしましょう。
(次回連載は来年…!)