《写真の保存修復を考えてみた vol.22》~写真保存修復の道具(箆(ヘラ)編)~ by タケウチリョウコ
今日6月7日の誕生花は「ツツジ(躑躅)」です。花言葉は「節度」「慎み」だそうです。節度を持った行動を…っと心がけていますが、幾つ歳を重ねても難しいものですね。こんにちは。タケウチリョウコです。
本日は、写真の保存修復時に使用する箆(ヘラ)に注目をしていきます。
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ヘラは写真を観察する時に使用します。
例えば、写真が台紙に貼られている場合、どの程度固定されているのかを確かめる時などです。
この時、思わず爪を立てて触ってしまいたくなりますが、写真を傷つける事になりますので、素手で確かめる事はお勧めしません。
そのため手袋を着用して取扱いをしますが、装着した指で台紙などに固定されている写真をめくるのは困難で、貼り付き具合を確かめるのは危険を伴います。
そのため先の尖っていないヘラを使用しての観察が良いと考えます。またヘラは保存修復の処置の際も使用します。
ヘラには様々な種類があります。
素材は金属、プラスチック、木製、竹、象牙などです。
写真に直接触れるものですから、表面が滑らかで傷つきにくいものが良いと思います。
そのため、筆者はプラスチックや木製、竹のヘラを愛用しています。
象牙や動物の骨のヘラがあれば良いなと思いますが、高級品ですしお手入れも大変なので、なかなか手が出ません。
筆者が実際に使用しているヘラです(photo1)。
写真の大きさや保存状態の違いなどによって使い分けできるよう、大きさや長さが異なるヘラを6種類ほど持っています。
ヘラの形状も様々ありますが、photo2のように先端に少し丸みがあり、シャープなものが使いやすいです。
この形状を選んだ理由は、使用目的が写真の観察に限定されていることもあります。これが保存修復の処置になると、その処置方法によって適切な形状は変わってきます。
また形状以外にも素材や重さなども個人差が出てくるところです。
主な購入先は画材屋さんです。(写真の保存修復専門のお店があったらいいな~っといつも思います)
そして既製品のヘラを購入したら、多くの修復家(写真に関わらず)は自分でカスタマイズします。
自分好みの厚み、握りやすい形状にするため、ナイフやヤスリを使って仕上げます。この作業が至福の時間だったりしますw
それでは、またnoteでお会いしましょう。
タケウチ蛇足memo
ヘラの素材で触れた象牙ですが、1990年にワシントン条約で国際取引が禁止になったよなぁ~っと思い…。購入する場合どうしたら良いのか?っと検索してみたところ、日本政府発行の「特別国際種事業者」に登録されているお店で取り扱っているようです。いつの日か自分だけのMy象牙ヘラをゲットしたい!!っと夢見ています。
象牙について http://www.env.go.jp/nature/kisho/zougetorihiki.html
特別国際種事業者について http://www.jwrc.or.jp/service/jigyousha/
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