あの子はグラファー
あ、写真撮影してる。
町の郊外の山のすそ野に広がる広い公園だ、遠くには、泊るような大きな施設もある。
その子は、子供の遊具にモデルの子を乗せ、カメラマンとして写真を何枚もとっていた。周りには撮影クルーが何人か。まだ駆け出しだからなのだろう。数人程度。でも彼女の顔つきはプロそのもの。ちょっと大きめのつなぎの服に、長めのスカート。秋色が目立つ。
まさか気づくまいと、横を遠巻きにぐるりと回る。
どこかに泊まろうと思い立って。検索したらここまで来てし待ったのだが。
彼女がまさかここで仕事をしているとは。
はやる気持ちを押さえ、施設に行ってみる。
もともと、もっと町の出口らへんで探してたが、満室。後輩たちがどんどん予約していくのをしり目に何とかなるだろうと、たかをくくっていると。あら、満室。しょうがなくここまできたのだ。
ここも満室か?いやそもそもやっていない。暗がりの奥のベンチでおじさんが休憩している程度。
折り返して戻ると、今度は、お土産コーナーの施設の中で、商品の撮影を行っていた。結構お客さんいるけどするもんだ。そばには、コマツがいる。高校の時からいつもいっしょにいた子だ。マネージャーみたいに隣にいる。いまが合間かな。
おう、久しぶり。仕事がんばってんな。
え~先輩、ここで何をしてるんですか?帰ってきたんですか島から?久しぶりです~
帰ってきたんだよ。今日いつまで仕事?仕事何時まで?食べに行かない?
彼女、一回仕事でやらかし立ったんです。全部責任負わされて。それで今奮起して頑張っているんです。
そっか、そばにいて支えてくれてありがとな。総務でもあり、マネージャーもしてくれてるんだ。
コマツ、頼りになるんですよ!ね。
もっと話したいね。でもあれか、今18時だし。終わったら旦那さん待ってるもんな。
そうですね。また会えたらいいですね。
春の土曜に目が覚めた。