見出し画像

怪異が本当に出る町 第八章B「ブランコ」

「さいあくぅ」
私は霧の深い町をさまよっている。
本当に
人生で一番最悪な目覚めだった…
あの部屋で生きながらバラバラにされる夢って
めちゃめちゃ痛かったし
自分の骨がノコギリでガリガリと削られる音と振動…イタイイタいって!
今も思い出しただけで嫌になる。

そんな中で
ステキなお好み焼き屋さんを見つけたのは本当にラッキーだった。
店主さんは…こけしだったけど
あんなに間近で見られながら、お好み焼きひっくり返すなんて初体験だった。
ひっくり返すの成功したら…
どこから取り出したのかギターを鳴らして喜んでくれたし、あのこけしさんギターもかなり上手で食べてる時もバックミュージックでギターを奏でてくれて幸せな時間だったなぁ…
オマケにお土産までもらっちゃった。
めちゃめちゃ美味しそう!
また行かなきゃ!

フラフラと歩いていると…

お!
良さそうな公園はっけん!
ベンチもあるじゃん!
ベンチにハンカチを敷いて腰掛ける
さてと…
お好み焼き
お好み焼き
っと

こけしさんから
お好み焼き2枚も焼いてもらったから
食べ切れるかなぁ…

あたりが段々と暗くなる公園の中で
きぃ
きぃ
きぃ
ブランコの音がする
あれ?誰かいたかなぁ?
ふとブランコを見る

するとブランコに揺られて子供が遊んでいる。
でも子供の頭は無い

ぶらーん
ぶらーん

どうやら男の子みたいだ
恐る恐る近づくと

男の子は私めがけてダイブした…

「あいたたたぁ」
尾てい骨を強打した…

男の子は心配そうに
こちらを見ている。

といっても頭は無いけど…
痛むお尻をさすりながらベンチに戻った。

男の子も心配そうに着いてきた
「お好み焼き、一緒に食べようか?美味しいぞぉ♪」
私はお好み焼きを男の子に差し出した。
男の子は
お好み焼きを食べながら
バタバタと両足を動かす。
どうやら美味しいらしい、彼の口元で不思議な事にお好み焼きは消えていく、二人で全部のお好み焼きをたいらげると
頭の無い子供にブランコに誘われる。
男の子は楽しそうに私の手を引っ張る
「わかった、わかったから!遊ぼう!」
彼と一緒に日が登るまで
目が回るくらい
色々な遊びをした。
最初はブランコ
ブランコから靴を飛ばしたり
鬼ごっことか
サッカーとか
あれ?
サッカーボールって
あったかなぁ?
まぁいいか!

日が登ると子供は消えていた。
満足して家に帰ったらしい
「また遊ぼうね♪お好み焼き一緒に食べようね♪」
あいかわらずの霧の町
一晩中遊んだから
とりあえず寝る場所探さないと…
眠すぎて歩きながら寝ちゃいそう

本当に霧で良く見えないなぁ…

私は
またこの町をさまよう…

第十章につづく


いいなと思ったら応援しよう!