白トマト 8月マンスリー応募作 お題【金属】
ある主婦から聞いた話
リサイクルショップにて、包丁に一目惚れした。
素晴らしい切れ味、硬い骨も軽々切れた。
ある日の事、庭の家庭菜園の手入れをしていると、たわわと実るトマトの奥から主婦を見つめる視線を感じた。
そこには白い蛇
驚いた主婦は台所に向かい手頃な包丁を手に白い蛇に包丁を振り下ろした。
包丁は白い蛇の首を捉えその場で絶命した。
主婦はそのままトマトの栄養になるだろうと、そのまま畑に白い蛇を埋めた。
その日からその畑で採れるトマトは完熟しない白いトマトが採れだした。
主婦は笑いながら僕にこう話した。
「あのあと…主人が脳梗塞になっちゃって心配してたんだけど、大丈夫だったのよ!麻痺は残らなかったんだけど、言語障害残っちゃって…今?今はずーっと家の中でテレビ見てるわ」
「その後、私を殴ったりして家庭内暴力をしてた娘も脳梗塞になっちゃってね…」
「白いトマト?私は食べないわよ!気持ち悪いもの…」
「あー蛇を切った包丁?今も料理に使ってるわ」
「私はそんな包丁で作った料理なんて食べないけどね」
主婦は頬まで笑窪が出来るほど笑いながら紅茶を飲んだ。