怪異が本当に出る町 第七章B「4―4号室」
【女子高校生】
深い
深い
深い
足元に絡みつくような
ねっとりとした霧に
足を取られながら町を進んでいく…
疲れた…
本当に疲れた…
私はとりあえず休みたいと思った。
駅の近くにタバコ屋さんがあったから近くにある
泊まれる所を教えもらおう。
「すみませーん」
タバコ屋さんの小さな窓を開け
「この辺で泊まれる所ありますか?」
私が尋ねると奥の方から老婆の声がする。
「すぐそこにビジネスホテルがあるよ…」
タバコの煙が凄くて店内は見えない
それだけ言うとタバコ屋さんの小さな窓をピシャっと閉められた。
私はフラフラと町を歩いていく
『 町ビジネスホテル』
町の名前は読む事が出来ない…
中に入ると
受付には誰も居なくて受付の横には自動販売機が置いてあった。
疲れた
本当に疲れた
受付の横には長椅子が置いてあったので行儀が悪いけど座ってみると
眠気が襲ってきた…。
ちょっとだけ寝よう
目覚めると
目の前に男子高校生が居た。
この町にいるのは怪異だけだろう!そんな事を私はついつい思ってしまって話を聞くなんて考えが浮かばなかった。
寝起きだったせいもあり
お互いに
「こんばんは」と挨拶しただけだった…
また明日の朝会えるだろう
そんな事を考えながら
自動販売機にお金を入れる
1泊50円だった
安すぎる!
めちゃめちゃ安い!
ここは日本なんだろうか?
そんな事を考えていたら
「ゴトン!」そんな音を立てて自動販売機から部屋の鍵がおちてきた
『4-4号室』
嫌な部屋番号だなぁ…
でも眠たいし…
私は4階の自分の部屋に向かった。
部屋は凄くきれいにしていた
ベットは清潔感があふれていた
シングルの部屋だけど
故障中と貼られたテレビが置いてあるくらいで普通の部屋だった。
行儀が悪いけどベットにそのまま大の字にうつ伏せに寝転がる。
そうしてると睡魔に襲われた。
私は夢を見た
お札があると姿が出せない
私は、このホテルで殺された
お風呂に入ってたら
恋人に刺された
恋人は私を持ち出そうとして
お風呂でバラバラに解体してた
おかげで私の首と胴体は
ひっついてない
恋人はすぐに捕まったけど
私はこのまま部屋に居るの
続けて夢を見た…
いたい
いたい
生きたままバラされてる
ホテルのバスルーム
生きたままバラされてる
いたい
いたい
内蔵を全部取られた
私の内蔵
あんなに赤かったんだ…って
いたい
いたい
首を切り落とされる
犯人はすぐに捕まった
私の恋人だった人
だけど
私は部屋の中
出られない
誰かお札剥がしてくれないかなぁ
私はずっとこの部屋にいる
誰かお札剥がさないかなぁ…
私は目覚めると
あわててチェックアウトした
この部屋で
バラバラにされたんだ…
霧が深い
周辺はまだ少し暗い
私はゆっくりと町を歩き出した。
唯一の心残りは
あの男子高校生
うちの制服に似ていてたなぁ…
ひょっとしたら
同じ高校なのかな?
少しキチンと話せば良かった
失敗したなぁ…
そんな事を思いながら
私は霧の町を歩き出した
この怪異が本当に出る町を
第八章につづく