世界の最新B2Cサービス ~Y Combinator 2023サマーバッチ編~
こんにちは!
Z Venture Capitalでコマース領域を担当している内丸です。
スタートアップの真夏の祭典Y Combinator(以下、YC)のサマーバッチが今年も始まりました。
今回の採択企業数は205社。
日本国内のアクセラレータと比較するととんでもない規模感ですが、昨年の2023サマーバッチの採択企業数(234社)と比較すると減少しており、YCも確実に景気後退の影響を受けていることがわかります。
採択されている企業の事業内容を見ると、やはり昨今の生成AI/ SaaSブームから想像できる通りAI系が43社、またB2B系が110社と多いです。(2023年7月時点)
AI/ SaaS全盛の時代に選ばれたB2Cスタートアップは何なのか?
今回は、B2CのサービスとしてYC 2023サマーバッチに選ばれた9社をご紹介したいと思います。
皆様の事業の参考になれば嬉しいです!
AIアシスタント(4社)
Martin:AIボイスアシスタント
1社目はAIボイスアシスタントと提供する「Matrin」です。
Appleの「Siri」と似ている印象を受けますが、個人のEメール/カレンダー/会話等のデータを取り込むことで、高度にパーソナライズされたボイスアシスタントになる点が特徴とのことです。
例えば、「来週末のBBQの準備を手伝って」と依頼すれば、近くのBBQができる公園を探し、自動的に電話で予約し、友達の招待までを自動で行ってくれるAIを目指しているようです。
とても便利ですね。
現時点(2023年7月)では、まだEメールやカレンダーとの連携ができず、Siriと比較してできることに大きな差はない印象でしたが、今後の進化に期待したいと思います!
Khoj:オープンソースのAIパーソナルアシスタント
次は、オープンソースのAIパーソナルアシスタント「Khoj」です。
個人のメモ/文書/電子メール等のデータベースを横断的に検索し、チャットする機能を開発しています。
ただの検索機能を提供するだけでなく、「良いアイデアを思いつくにはどうすべきか?」等の抽象的な問いについてもメモ/文書を参照して回答してくれるようです。
また、インターネットがないオフライン環境でも使えることで本サービスの特徴になります。
Mano AI:LLMのChromeプラグインツール
3社目はLLMのChromeプラグインツールを提供する「Mano AI」です。
Open AI/ Anthropic等のLLMサービスをChrome上で使用できるプラグインツールを開発しています。
例えば、G-mail上でコピペ/ タブ移動を行わずに自動で返信文を作成したり、Chromeで見ているSNSや記事の要約も簡単に行うことができるようです。
GoogleやOpenAIが同様の機能を開発しそうではありますが、とても便利なツールですね。
Studdy:AIチューター
4社目はAIチューターのアプリを開発する「Studdy」です。
数学/ 物理等の問題を解き方がわからないときには、問題文をアプリで撮影すると、チャットで解き方を丁寧に教えてくれます。
複雑な数式も写真から読み取り、個人のレベルに合った説明をできる点が強みのようです。
月額¥3,000もしくは年額¥10,000を有料プランに加入することもでき、「問題文が撮影し放題になる」等の特典を得ることができます。
toCのサービスとして安い価格設定ではないですが、家庭教師へ支払い費用の代わりだと考えれば、妥当な価格かもしれないですね。
マーケットプレイス(2社)
Smobi:中小企業の売買プラットフォーム
マーケットプレイスの1社目は、中小企業の売買ができるプラットフォームを提供する「Smobi」です。
アメリカのベビーブーマー世代(60~80歳の盛大)は140万社もの中小企業を所有しているものの、事業の買い手がいなければ清算することになります。
この課題に対して、Smobiは誰もが簡単に中小企業の売買ができるマーケットプレイスを開発しています。
売り出されている企業は、専門学校/ カフェ/ 引っ越しまで幅広く、売り出し金額も数十万ドル~数百万ドルのレンジが多いです。
また買い手はプラットフォーム上で、データルームの共有など取引プロセス全体を管理することもできるようです。
日本でもM&Aクラウド等、近いサービスを展開している企業はありますが、Smobiはより個人の買い手をターゲットにしたプロダクトのように見えます。
Pure:レアコインのデータベース/ マーケットプレイス
2社目はレアコインのデータベースやマーケットプレイスを提供する「Pure」です。
トレーディングカードと同様に、レアコインコインは第三者の鑑定機関によって鑑定されますが、旧態依然とした業界の性質上、情報の非対称性の大きいという課題があります。
この課題を解決するために、Pureは過去のオークション記録から72,000種類を超えるレアコインのインデックス/ データベース、透明性高いマーケットプレイスを提供しています。
コレクターズアイテムのマケプレにおいては、スニーカーではStockX、トレーディングカード/ Funk PopではWhatnot等、これまでもユニコーン企業が生まれてきました。
Pureもそこに名前を連ねることができるか要注目です!
旅行サービス(2社)
Wayfind:AI旅行代理店
旅行サービスの1社目は、好みに合った旅行を高速に作成/ 編集/ 予約をできるAI旅行代理店の「Wayfind」です。
これはとてもイメージしやすいサービスですね。
目的地と自分の好みの条件を入力することで理想の旅程が生成され、更にチャットで要望を伝えるとその内容を旅程に反映することもできます。
ちなみに下記のスクリーンショットは私が実際に作成した日本の旅程です。
今は、外部サイトで個別に予約しないといけない仕様ですが、将来的にはワンストップで予約できるようになると思います。
Pointhound:ポイント/ マイルによる航空券の予約
旅行サービスの2社目は、「Pointhound」です
クレジットカードのポイントやマイルを使って、お得な航空券を検索・予約できるプロダクトであること以外は謎に包まれているサービスです(笑)
共同創業者のJay RenoとJake Maloneの二人は、YC 2017サマーバッチの出身で7,600万ドルで買収された家具レンタル会社Featherの創業者でもあります。
連続起業家の二人が仕掛けるプロダクトの今後に期待したいと思います。
ニュースメディア(1社)
Infobot:コミュニティベースのニュースアプリ
次はコミュニティベースのニュースアプリ「Infobot」です。
自分の興味のあるトピックスのコミュニティに入ることで、そのトピックスの厳選された記事を読んだり、同様の興味を持つメンバーと交流することができます。
現時点で目新しさはあまり感じないですが、今後はコミュニティの機能等がより強化されていくと思います。
おわりに
今回はYCでは少数派にあたるB2Cサービスを取り上げてみました。
YC 2023 サマーバッチはまだ折り返し時点で今後サービスが大きくピボットすることも十分に考えられます。
どのようにサービスが進化・ピボットしていくのかも含めて注目していきたいと思います!
今後も海外スタートアップの事例を発信していきますので、Twitter/noteのフォローお願いします!
また事業アイデアについて起業家の皆様ともディスカッションさせて頂きたいです!
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