おれはMEXICOでセラの天使に殴られて負けた
よく来たな。おれは逆噴出鶏次郎だ。おれは毎日ものすごい量のテキストを書こうとしているがまったく書きあがっていない。だが今日は特別におれがMEXICOでセラの天使に殴られてしんだ話を聞いてもらいたい。
旧枠モダンという名のMEXICO。
おまえは旧枠モダンを知っているか?
もしおまえがツイッターでM.T.G.(これが”ミーティング”のことだと思ったやつはこの記事を読まなくいい)の情報をこまめにザッピングしているやつなら、目にしたことがあるかもしれない。
ざっくり説明すると、モダンで使える旧枠時代から存在したカード(要は旧枠と新枠があって、最近刷られたカードじゃないやつ)だけで戦う非公式フォーマットだ。
もっと詳細を知りたいなら、真の男である先駆者たちが書いたNOTEを読んできてほしい。
憧れのGUN-銃-を見つけ、弾を込めた。
おれが旧枠モダンを始めたのは一か月前だ。理由は忘れたが、ブラザー(ちょー性格がいいやつ)に誘われたのがきっかけだった気がする。
それから毎日おれは、サールーンでCORONAを飲んでいるときも、しつこく追ってくるサルタドゥームの手下から身を隠す時も、ホットなベイブからダンスに誘われた時も、ずっと旧枠モダンのことを考えている。おれが旧枠モダンのことを考えていないときは、ルフランと地下迷宮の魔女をプレイしているときだけだ。
なぜ、真の男を目指している普段COOLなおれがこんなにも熱を上げているのか?
答えは簡単だ。旧枠モダンは、”MEXICO”だったからだ。
おれがMEXICO・・・つまり旧枠モダンで初めて握ったGUN-銃-(デッキ)は、エル・マリアッチのようなタフなデッキ・・・つまり、ディミーアカラーを使用するデッキ、ネザーゴーだ。
理由は、以前おれが立ち寄った村の長老から、「おまえがディミーアを使い続けるのなら、ネザーゴーという”伝説”と向き合う必要がある」と言われたことがあるからだ。
あと、なんか前にユーチューブで過去に流行ったデッキといった内容で紹介されてて、興味があったのも理由だ。
NOTEに掲載されていたリストを参考にざっと組んでみた。(カードが安いのも良かった)そして買ったカードをスリーブに入れ、デッキに入れたカードの枚数を確認をしていたが、つい、机の上のCORONAを落としそうになった。
デッキが美しすぎたからだ。
デッキ内には、実績を持った歴戦のカードたちが「ニーニョにおれたちが使いこなせるかな?」と挑戦的に笑みを浮かべていた。一方で、馴染みのあるカードたちが「今回もよろしく。」とブルってるおれに安心感を与えてくれる。
まるでニューフレーバーのドリトス(真の男のための食べ物)と、定番のサルサ味のドリトスが一つの袋に入っているような・・・緊張と安堵がMIXされた調和がそこに存在した。
そうして、おれは憧れの、GUN-銃-を手に入れた。
”アイツ”がおれを引っ叩いた。
迎えた第一戦目、ブラザーはセレズニアアグロを使った。
結果だけを言うと、めちゃくちゃに負けた。
ふだんの腰抜けのおれなら、「せっかく新しいデッキを組んだのに勝てない・・・もういいや・・・Youtubeで負けヒロインが多すぎる(MEXICOでサバイブするのに必要な栄養素を摂取できる、真の男のためのアニメ)のショートでもみよ・・・」END OF MEXICO・・・になっていたはずだった。
しかし、そうはならなかった。一体何があったのかを今から話す。
おれは、「冥界のスピリット」とか「対抗呪文」(世界で一番男らしいカード)とか使って序盤からセレズニアの連中の猛攻をしのいでいた。
雑感だと、「冥界のスピリット」は本当にタフで、コナン(真の男)の相棒、サボタイみたいに頼りがいがあるやつだった。あと、3マナ以下のクリーチャーを問答無用でEND OF MEXICOさせる、「燻し」も、ミシュランが割れるなど使い勝手が良かった。
そしてお互いに消耗し、膠着状態となったが、「噓か真か」(ちょー強いドローソース)がデッキ内にあって、地上を封鎖してるおれが勝つと思った。
しかし6ターン目、ブラザーが自信満々に”アイツ”を出した。
おれは目を疑った。おれのM.T.G.歴は3年になる。おれは3年間で様々なことを学んだ。「渦巻く知識」のことを「ブレスト」っていう方がかっこいいとか、どっからどう見てもオッサンにしか見えないやつが「熊」だとか、モダホラは危険なやつらだとか、うかつにお気持ちをツイートするとタルサドゥームの手下に捕らえられ、火炙りにされる。とか・・・
そういったMEXICOで生きるすべを学んだおれは知っていた。”アイツ”は弱い、と。
「5マナ」払って、「飛行」と「警戒」の「4/4」。「飛行」と「警戒」は強いが、ドローとかそういうおまけがついているわけではないし、スタッツの「4/4」は、2/2のクリーチャー2体と相打ちになる微妙なラインで、性能的には今どきの呪文とかに雑に付いてくるトークンみたいなカードであると。
しかし違ったのだ。
呪文がキャストされ、”アイツ”は降臨した。翼を大きく広げ、おれと、地上をしっかり止めている「冥界のスピリット」のことを見下ろした。見上げると、MEXICOの照り付ける太陽が逆光となり神々しく見えた。そして両目でおれのことをしっかりと見据えていた。
おれは今まで”アイツ”は弱いと思っていた。
目が合った。おれは背筋が凍った。冷や汗が止まらなかった。「冥界のスピリット」に助けを求めた。だが、彼は黙って首を横に振った。
その時、理解した。
「セラの天使」は強い・・・
今まで甘やかされて生きてきたおれは、カードのテキストが長く、いろいろな状況で使え、1枚でアドを稼ぎやすいカードばかりを使ってきた。そして「セラの天使」はそういったカードばかり使っていたおれが敬意を払うことのないカードだった。
だがそれは「セラの天使」のテキストの意味を知らなかったからだ。
「5マナ」は堅牢な除去耐性・・・打たれ強さだということ。
「飛行」は「冥界のスピリット」が止めている地上とは無縁・・・優雅さであるということ。
「警戒」はブラザーへの攻撃をどんな状況でも受け止める・・・慈愛であるということ。
「4/4」のスタッツは、3/3の「ミシュラの工廠」を受けとめ、相手を5回殴れば絶対に倒す・・・覚悟であるということ。
テキストのほんとうの意味を知った。世界が輝いて見えた。そして、おれは「セラの天使」にボコボコに殴られた。俺のライフが4になった。そして最後のコンバットの時、彼女はおれの耳元で囁いた。
「Win(次は勝って・・・)・・・REAL MAN(真の男なんでしょう・・・?)・・・」と。
そして頬を引っ叩かれ、おれのライフは0になった。
彼女はただ強いだけではなかった。
次の試合も、ブラザーが出した「ヴェクの聖騎士」がプロテクション黒を盾にしてボコボコに殴ってきて、おれはなすすべなく全身の骨を折られて死んだ。
二戦目は、怒り狂い、「怨恨」に満ちた「象」がおれのネザーを蹴散らしながら突撃してきた。おれは押しつぶされて、トルティーヤの生地みたいにぺらぺらになって死んだ。
チョー楽しかった。負けまくったが、充実感がおれにはあった。
おれたちはMEXICOで鍛えられる。
おれはYASO(真の男)みたいにM.T.G.のすべてを理解しているわけではない。
だが、「セラ天を除去できないから負けた」なんて言い訳にもならない笑い話なことを知ってる。
「プロテクション黒がどうにもならないからクソゲー」なんて言ったところで、組む前からわかってたはずだ。ケアしてないおれがあほ丸出しである。(昔のカードはカラーパイが今より意識されていて、除去カードが、ほぼ赤と黒にしかなく、プロテクション黒、赤が実質的な呪禁となっているのも面白い発見だった)
つまり、「旧枠モダン」は、おれのレベルのプレイやーでも、「さすがにこれに負けるのはおれが悪いな」と学び、納得できるということだ。
ここでは、ほかのフォーマットなら採用が見送られてしまうようなカードが腰を抜かすほど強くなりえる・・・しかしその敵は、おれでも対策を考えれば倒せないわけではない。
おれのせいで負け、おれが対策を考え、おれが納得する・・・大事なことだ。
一方、MEXICOは猛毒の針を持つサボテンが群生し、ブチョのような極悪非道のマフィアが幅を利かせている危険に満ち溢れた世界である。
しかし、そこで倒れるやつは迂闊だったり、あほ丸出しのことをしたやつがほとんどだ。
運が悪いとタフな男も倒れることもあるが、しばらくするとまた立ち上がり歩き始める。
腰抜けだったやつが、じぶんのせいで傷つき、じぶんで教訓を得て、じぶんで納得し、またあほ丸出しをやらかし、傷つき、教訓を得て、納得する。それを繰り返し、真の男に近づく。
つまり真の男になるための場所・・・MEXICOと「旧枠モダン」は同じなのだ。
もしおまえがこの話を聞いて、旧枠モダンに興味が湧いたのなら、手元のスマッホで神のサイト「旧枠モダンカード検索」をさふぁりとかクロームとかで検索し、使えるカードの一覧を眺め、おまえのGUN-銃-を見つけろ。
すべてはそこからだ。