幸せを感じるとき
今日は久しぶりに晴れた。
洗濯機を何回も回してみる。
ポカポカ晴れた陽気で、シーツなどを干していくとすごく幸せを感じた。
家事が大好きでも、洗濯が大好きなわけでもない。
だけど、お日様の日差しが暖かくて気持ちが良い。
溜め込んだ洗濯物を干せるのも嬉しい。
ていねいな暮らしに憧れているけど、そこまでていねいでもない。
どちらかと言えばズボラ。
整理整頓も苦手だし、隅々まで掃除を行き届かせることもできない。
私は在宅で仕事をしている。
家にいると落ち着く。
おうちが大好きなのだ。
☆☆☆
大学を卒業して田舎から東京に出てきた。
就職活動で友達の家に泊まり、朝都心の通勤ラッシュの電車に乗った。
バッグが自分の手元から遠くの方に傾いてしまい、体もギュウギュウに押され、息ができない。
そのとき私は悟った、都会で働いて通勤ラッシュに揉みくちゃにされながら電車に乗るような生活は私には無理。
電車に乗るだけで精神面・体力面の消耗が激しそうで、やっていける気がしないと。
だから、郊外の会社に就職し、会社の近くに住んだ。
そこはアットホームな会社で、少人数。
田舎出の私にはぴったりな会社だった。
徒歩圏内に住み、初めての一人暮らしも楽しめた。
仕事も激務ではないので、定時に帰ってすぐに夕飯の支度もできた。
初めてだから張り切って3食作って、会社にもお弁当を持って行った。
今まで親に頼り切りな生活を実感したが、何もかも自分一人の手でできる生活に満足だった。
新生活の緊張感で毎朝日の出と共に起き、朝食とお弁当の支度をする。
徒歩圏内の会社に出勤し、家と会社の往復。
住宅街なので、帰りにショッピングやレジャーをする楽しみもなかったが、日々の暮らしはそれで満足だった。
休日に都心に出かけられる範囲の場所で十分。
毎日東京の慌ただしい暮らしに揉みくちゃにされることもなく、マイペースで生活できた。
そのとき、私の幸福って、自分の身の回りのことを自分の手でできることだと思った。
身の丈に合った生活というか。
自分の力で自分の人生、生活を作っている感覚が喜びだった。
自分で選んだ部屋に住み、一つひとつの家具や食器も選ぶ。
自分で買った食材でメニューを考えて日々の食事を整えていく。
毎日どうやって過ごすか、全部自分で決める。
家賃も生活費も全部自分で払っていく。
毎日外食とか、毎日都会の刺激的な生活を望んでいるわけでもない。
おしゃれをバッチリ決めることでも、ブランドバックやメイク品を買うことでもない。
本当に素朴な生活が好み。
自分ができる仕事をして。
読書して、たまに映画を観て。
自分が納得できるだけの家事ができて。
のんびりする時間があって。
たまに旅行もできるといいな。
☆☆☆
そうこうしているうちに、結婚して30年。娘2人も成人して社会人。
幸せを感じる瞬間って、あまり若いときと変わっていない。
旅行やおしゃれな食事をするのも好きだけど、たまにでいい。
基本的に家が好き。
気の合う仲間とのおしゃべりも良いけれど、一人家でゆっくりとする時間も大切。
基本は内気で人見知り。たまに感覚がバグって、刺激的な場所・人に会いにいったり、思い切った行動をすることもあるけど。それは生活のほんの一部。(いや、バグってる感覚のおかげで今オンラインの仕事をしているのだが)。
手の込んだ料理を作れるわけじゃないけれど、野菜いっぱい食べられる素朴な料理を自分の手で作りたい。
あくせくと仕事をして収入を増やし、時間がなくなった分外食やお惣菜を沢山買って暮らしたいとも思わない。
基本、自分って本当にお金のかかる生活をしたいと思っていないなぁ。
所さんが言っていた。
タワマンで一人豪華なシャンデリアの下、ソファにふんぞり返る生活よりも、家族みんなでコンビニアイスを食べるのが幸せと。
私もそっち派だ。
ささやかな生活を、家族とたまにはけんかをしながら、笑い合って暮らしていく。
あぁ、今日も農協で野菜をたっぷりと買ってこよう。
週末には下の娘も帰ってくる。
野菜たっぷりの鍋をみんなで囲んで食べようか。
ふかふかのぬくもりで寝られるように、布団も干しておかないと。