「カラフルな魔女」の自由過ぎる答えに目が離せない

最近、『魔女の宅急便』の著者である角野栄子さんから目が離せない。
カラフルな服を着こなして、その姿がかわいらしいのである。こういう齢の取り方をしたいと、注目している。

その角野さんを取り上げた記事に目がとまる。

【角野栄子】「テーマは何ですか?」と聞かれても「ない」って言います(笑)。だって私が「こういうテーマです」と言ったら、読者はそういう風に読むじゃないですか。そうではなく、自由に読んでもらいたいんですよね。

ORICON NEWS

え。びっくりである。
読者に寄り添っていないとも言える。

ひるがえって、SEO記事を書くWebライターはどうだろう。
キーワードをもとに、テーマはこれ!とまず示す。
そして、結論から文章を書く。
読者に寄り添って文を書かなくてはならない。幾通りの解釈も与えてはいけない。解釈は一つだけ。誤解を与えてはいけないのだ。
正しい情報を、届ける。想像のすきを与えない。

まぁ、小説とは違うから当たり前なのだろう。
読者が知りたい情報だけを書くのだ。

続いて角野さんの言葉。

――長く読んでもらえるようにと思って本を書かれているんですか?
【角野栄子】そんなことはないです(笑)。自分が面白い、楽しいということしか考えてないです。読者に受ける受けないということも考えない。それを考えると失敗しますから。

――出版社から、こういうふうにしてくださいと言われたら?
【角野栄子】それも一切聞き入れません(笑)。

ORICON NEWS

この受け答えが自由過ぎて、著者に興味がどんどんわいてしまう。

Webライターだったら、読者にささるリード文を書かないといけない。どんな人が読者か、検索意図をじっくりと考える。

このキーワードで検索する人は、どんな人なんだろう。
どんな悩みを持っているのだろう。この悩みを解決して、結局はどうなりたいのだろう。どんどん深掘りしていく。

角野さんの書く小説は、自分の書きたいもの、読みたいものを想像を膨らませて書いている。それが多くの読者をひきつける。

児童書を書く人って、そのまま著者が幼少期にお転婆に過ごした事実を脚色して物語を書いている人と思いがちだった。

しかし、角野さんは5歳で母親を亡くしている。その後に角野さんがどのように育っていったかは、知らない。さぞかし苦労されたのだろうと、勝手に想像してしまう。角野さんが児童書を書くようになるまで、どのような経緯があったのだろうか。

自分の小さいときがこうだったらな、子どもにはこんな世界で生きてほしい。そんな願いが物語にこめられているように思える。自分が過ごせなかったが、これからの子どもたちには過ごしてほしい世界。そんな想像の世界、希望の世界を、ペンを握りしてめて描いているように思える。

角野さんの言葉「想像力こそ、人間が持つ一番の魔法」。角野さんの想像力は、とどまるところがない。

「カラフルな魔女」は89歳、現役バリバリ。自分の書きたいものを書いて、目いっぱい人生を楽しんでいるようだ。
50代だからといって、もう先が終わりなような気がして、くすんでいる場合ではない。

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