トットちゃんと一緒にわくわくしよう!仕事以外の本が久しぶり
新刊が出たことを知って楽しみに本を手に取る。
それは『続 窓ぎわのトットちゃん』(著:黒柳徹子)。
この本は1981年に刊行された『窓ぎわのトットちゃん』の続編。
あのころはまだ私が中学生。あれから42年もの歳月を経ての本である。
当時は思春期で自分の将来や家族のことなど色々悩んでいた時期である。
幼いころからまじめで大人しかった私は、トットちゃんの自由奔放なふるまいがとてもうらやましかった。
先生や知らない人に話しかけるなんて、もってのほか。家から一歩外に出ると急に大人しくなってしまうのだ。
それに引き換え、トットちゃんはいつでも自分がやりたいように動いている。
トットちゃんが初めの小学校で退学になったくだりには驚いたけれど、その後、個性をまるごと受け止めてくれるトモエ学園に出会ってのびのびと日々を暮らしていく様にすっかり引き込まれてしまった。
自分のモヤモヤした気持ちが、本の空想の中でトットちゃんと一緒にはじけて喜んだり、悲しんだりしていた。
あの、物語に没頭していく感じを味わいたいと、新刊を手に取った訳である。純粋に趣味としての本を読むのは久しぶりである。
ライターになってから、読書というと少しでも仕事のスキルをあげるために文章について上達する本とか、マインドの本とか、分類でいうとビジネスよりの本を手に取ることが多くなった。ちょっとの隙間時間も仕事に有益な本でインプットしたいと思っていたのだ。
ビジネスよりの本であっても、面白いものもあるが、ちょっと違う。
少しでも有益な情報を頭に入れなくてはと、目をギラギラさせて挑むような感じ……。
一方、物語を読むときには、もっと心穏やかに文章の行間に隠れている思いを丁寧に掬い取ろうとする。主人公の気持ちに思いをはせたり、思わぬストーリー展開に身をゆだねたりと、感情がのびやかに動いていく感じがする。
あんなに物語が大好きで本に没頭していた私だったのに、この頃は小説を手にすることもなくなってしまった。
トットちゃんは物語ではなく、ノンフィクションだけれど、久しぶりに仕事とはまったく関連しない本である。トットちゃんの続編の冒頭を読むと、昔のわくわくして読み進んだ気持ちが少しずつよみがえってくる。
純粋に読みたい本を読もう!
仕事につながる本ばかり選ぶのはやめよう。
私とは正反対で活発なトットちゃんは、どうやって人生を切り開いて生きていったのだろうか。読み進めるのが楽しみ。