人生をご機嫌に生きるために――近藤康太郎先生の『宇宙一チャラい仕事論』
2024年5月20日、青山ブックセンターにて近藤康太郎先生の出版トークイベントに参加した。
近藤先生がアロハシャツにて登場。編集者のりり子さんと並んで、会場からの質問を受け答えする形式。
今日は一番前の席に陣取って、近藤先生に質問してみた。
「先生は自分の好きなものを書くために、他の人の何倍も仕事をしたそうですが、どうやったら速く書けるのですか」
こんな愚問に対して、先生は
「『どうやったらマンガ家になれますか』と聞く人には、『とにかくマンガを書け』としか言えない。書くから、速く書けるようになる。
毎朝1時間人より書く。それだけやっていれば人の何倍も書けるようになる。
読書を習慣化するのも同じこと。朝起きて、タイマーを15分セットして、本を読みはじめればいいんです。タイマーがないなら、買ってきて」
それに対してりり子さんが
「近藤先生の話はいつもこんな感じで、再現性がないんですよ。具体的な方法は教えてもらえないです」
近藤先生は、自分がやったことしか言えない、うそはつきたくないからと。
先生はやろうと思ったら、すぐに実行するだけという人だ。
どうやったらとかではなく、とにかくやれと。
考えずにやれ。
「ライターになるのには、何の資格もいりません。ライターと名乗ったらもう、ライターなんです。ライターになりたきゃ、書け」
「なぜ、面白く書けるのですか」の質問に対しても
「『三行で撃つ』で、ミュージシャンにも言われたんですけど、これはライター向けの本じゃない、表現者向けの本だ、と。全ての表現する人に対して書かれた本である、と。嬉しかったですね。
自分の人生にうそをつかずに、真剣に誠実に向き合っていくこと。これに尽きるのではないでしょうか」
近藤先生が人生に真剣に向き合い、自分の命をかけて訴えかけた文章が、ユーモアに包まれて人の心を揺さぶるのだろう。
きっとそれは、書くことに限らない。
表現者と先生は言っていたけれど、これは別にアーティストだけの問題とは捉えなかった。
自分の人生をどう表現するか。自分がどう世界と向き合っていくか。
超現実主義な近藤先生だが、こんなことも言っていた。
「mojo(モジョ)※は信じている人にしかおりてこない。きっとmojoはそこにいる。いつかおりてくるという自信がある。今回も第7稿でおりてきたんです。俺、こんなこと書くつもりじゃなかったんだけどな、と。書いていくうちに、書きはじめたときと違う発見があるんです」
※mojo=魔法
リアリストでロマンチストで、厳しくて優しい。
仕事も遊びも勉強も、全て真剣に抜かりなくやっていると事故にあって。
ワーク・ライフ・バランスではなくて、ワーク・イズ・ライフ。
どれか一つ欠けても人生ではない。
幸せに、ご機嫌に生きるために、どれも真剣にやっていく。
真剣に生きることで、これをやらずには生きていけないという、自分の「骨」をつかむこと。
先生が自分の人生でつかんだ自分の軸。
やり方は真似はできない。真似するなんて自分の方法ではない。
人から与えらた方法では自分の人生はつかめない。
もがき苦しみながら自分で考えて突き進むしかない。
『宇宙一チャラい仕事論』
もっと若いときに読みたかった本、出会いたかった先生。
今日も頭がクラクラしながら家に帰った。