映画『ラストマイル』を観て――物流の裏側のできごと
ラストマイル――集配所から顧客への配送先の最後の区間
今話題の『ラストマイル』を観てきた。
爆破事件によって、物流を突然止めなければいけない事態が起きたら……。
今ではネットショッピングで商品を注文すると、いつでもどこでも色々な物が配達されるようになった。緊急・緊急でない物まで。世界中に張り巡らされた物流のネットワークを血管と捉えると、絶対に止めることはできない。
映画で描かれているのは、巨大資本によって支配されている物流の闇の部分だけではない。
たとえば、私たち消費者が配送料無料を選んだ場合、そのコストを負担するのは結局誰になるのか。
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昔、配送センターで働いたことがある。
ラストマイルの一歩手前の場所。早朝5時集合で、冬は雪が積もっているなか、歩道をツルツル滑りそうになりながら歩いていったなぁ。
大型トラックのコンテナで運ばれた荷物を、地域ごとのトラックの後ろに仕分けしていく。タイムリミットは8時の配送前まで。
お歳暮やお中元時期には、コンテナの荷物が増えるのが恐怖だった。普段の倍以上に仕分けを急がないといけない。
米が入った段ボールや、小型だけど部品がぎっしり入っている重い荷物も、黙々とトラックの後ろに運んでいく。冬でも体が熱くなってきて、まるで部活のようだった。
私は早朝だけだったが、よく本業は何か聞かれた。
早朝バイトと昼間は別のところで正社員として働いている女性もいた。子どもの学費のために頑張っていると言っていた。
トラック運転手は、腰を痛める人が多かった。常に荷物をトラックに積んだり出したりしているからだ。私も腰をやられそうになって、9か月ぐらい続けて辞めてしまった。
荷物が自分の家に送られる仕組みを、実感を持って知ることができた。
あの頃はネットショッピングがない時代。
今、あの場所で昔より増えたであろう荷物は、どのように処理されているのだろうか。
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物流関係といえば、コロナ禍のことも。
薬局に勤めていたときの話。人と人との行き来が減り、物流にも支障が出た。原材料が届かない関係で薬の生産が追いつかなくなったり、薬品会社の不正が発覚したりで、薬の供給が間に合わない事態に。
常に不足の薬があり、同じような効能の薬も欠品が順繰りに起こる。隣近所の薬局に問い合わせても在庫がない場合も。患者さんも気が気ではなかったろう。しかし、どうすることもできなかった。
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世界や日本のどこかで作られた製品が自分の家や職場にたどり着くまでの過程に思いをはせる期間だった。
今も台風や雨で道路が陥没した箇所が発生したという報道があった。物流にどのような影響があるのか。全ては私たちの生活につながっているのだ。
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