人間性が人を動かしていくDr.Balaの存在
「一人の医師が一日に診られる患者に限りはあるけれど、医療の指導を広げていけばその国で活躍できる医師が増え、結局は助かる患者が増えていく」
ポレポレ東中野で「Dr.Bala」の映画を観てきました。
この映画は、大村医師の東南アジア諸国での医療ボランティア活動をまとめたドキュメンタリーです。
東南アジアでは、貧困や自然災害、政情不安などのさまざまな事情で医療が人々に十分行き渡っていない国々があります。
大村医師が医師として現地に行くときは、上から目線ではなく、人の懐に飛び込んでいく方法で現地の人々に溶け込んでいきます。
豪華な接待を要求するのでもなく、現地のスタッフを交えた食事をしたり、音楽で皆を楽しませたり。
現地の風習になじむために、雨が降ったらシャワーのように全身に雨を浴びる姿が印象的でした。
大村医師が現地の人とくったくなく交わる様子はとても眩しい。
大村医師のご実家は医院だそうですが、医師としての患者への取り組む姿勢など、お父さまの影響はあったのでしょうか。
どのような経緯で医師を目指すようになったのか、とても興味深いです。
そして、東南アジアの国々の医療を底上げしたいという彼の熱意がどうやって育まれていったのでしょうか。
大村医師が毎年行う医療ボランティアの活動が、東南アジアの医療現場や日本の医師を動かしていきます。
彼によると、東南アジアの国の医師たちは自分の国の医療を何とかしたいと情熱を持って仕事に取り組むそうです。
大村医師は日本で新人の医師(学生だったか、記憶があいまいですが)に、こう聞くそうです。
「医者になってどうしたい?」
それに対して
「〇〇が上手くなりたいです」
大村医師「その先はどうしたい?」
これに答えられる医師はほとんどいないとか。
大村医師は初めてボランティアをし始めたときから
「東南アジアの医療を支えたい」というビジョンが明確でした。
そしてその思いを着実にコツコツとかなえていくのです。
大村医師の友人であるコービー島田監督は、その大村医師の熱量と人間性にひかれて膨大なフィルムを撮り、作品として映画を完成しました。
一人ひとりのつながった人を大切にして、人生を切り開いていった結晶がこの作品になったのです。
常日頃から、私は人と人とのつながりを大切にしたいと思っています。
しかし、周りの人を巻き込んで人生を切り開いていく力が私には足りない、一つひとつの関係を深める力が弱い気がする……。
そんなことを考えさせられた映画でした。