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アニメ「PSYCHO-PASS サイコパス 第1期」について。「疎外」から読み解く。

アニメ サイコパス(第1期)は、もう10年以上前の作品ですが、
2025年に見ても、まったく古さを感じさせません。

簡単に説明すると
近未来のディストピア社会を舞台にした、
ポリス・ストーリーです。

人間のあらゆる心理状態や性格傾向を測定し、
それを数値化する「シビュラシステム」が導入されていて、
たとえ犯罪を犯していなくても、
「犯罪係数」が既定値を超えれば、
「潜在犯」として裁かれる社会が構築されています。
    →裏を返すと「犯罪係数」さえ、既定値を超えなければ、
     裁かれない社会が構築されています。

仮にシステムに「矯正不可能」と判断されれば、
その場で処刑されることもあります。

ただし、
このシステムが導入されてからは、
社会から犯罪がなくなったというメリットがあります。

一般人は、ただシステムに従い、
平穏な日々を過ごしています。
そんな社会がこの作品の舞台です。

あらすじはこのぐらいにして、
ここからが本題です。

この作品には、2人のキーパーソンが存在します。
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■狡噛慎也(こうがみ しんや)
    →刑事役。執行官かつ潜在犯。犯罪係数が高い。
■槙島聖護(まきしま しょうご)
    →犯人役。連続殺人犯。なぜか犯罪係数が低い特殊体質。
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警官役、犯人役の二人には共通点があります。
それは、システムから「疎外」されている、ということです。

大事なキーワードなので疎外について簡単に説明します。
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■疎外(そがい)
人間が自ら作り出した物(機械、商品、貨幣、システム)が
人間自身から離れ、逆に人間を支配してしまうこと。

※阻害ではありません。
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警官役の狡噛は、
システムにより「潜在犯」のレッテルを貼られ、
システムから疎外されています。
一方、
犯人役の槙島はどんなに悪いことをやっても、
犯罪係数が低いままの特異体質です。
システムからすべてを許されるという点で、
システムから疎外されています。

槙島の何が問題なんだ、勝者で、無敵じゃないか、と思いますか?
うらやましいと思いますか?
想像してみてください。
もしあなたは、生まれたときから、
穴も障害物も敵もいない、
そんなスーパーマリオをずっとプレーさせられているとしたら。
たしかに誰よりも早く、上手にゲームをクリアするでしょう。
ただし、地獄ですよ。
負けることがない、なんの刺激もない、生活。
一人ぼっちで、いじめに近いです。

この似たもの同士の二人が
刑事と犯人として対峙し、スリリングに話が進んでいきます。

似た者同士の対立と共感。
ある種の同族嫌悪。
高度な知恵比べ。
ポリス・ストーリー、サスペンスとしても最高ですし、
システムと人間のあり方を考えさせられる作品でもあります。

もし機会があれば、
アニメ「サイコパス 第1期」を鑑賞してみてください。
その際は、「疎外」という視点で見てみると、
多くの気づきが生まれると思います。

なお、「犯罪係数」という視点での読み解きについては、
以下をご参照ください。
なぜ狡噛の犯罪係数が高く、
槙島の犯罪係数が低いかを考察しています。

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