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どっちがルビー?ガーネット?フォトルミネッセンスで遊ぼう。

ルビーとガーネット(ザクロ石)は、両方とも美しい宝石です。
そこで、ルビーとガーネットを並べてみました。

さて、どちらがルビーで、どちらがガーネットでしょうか?
両方とも赤く、透明で、美しい点は同じです。

どっちがルビー?どっちがガーネット?

ぱっと見ただけでは、ほぼ判別できません。

そこでUVライト(紫外線)を照射してみます。
    →UV:ultraviolet(ウルトラ・バイオレットの略。紫外。)

左がルビー。右がガーネット。

ルビーは、赤く発光しました。
ガーネットは、発光しません。
    →※一部のガーネットは蛍光するそうです。ただし、レアです。

少し拡大した写真も載せますね。
まずはUVライト照射前です。

UVライト照射前(拡大図)

こちらはUVライト照射後(照射中)です。

UVライト照射後(照射中)

どうです?
怪しく光るルビー、なかなかいいでしょう?
    →私は1個1000円で入手しました。
    →写真より実物はもっと美しいです。

このように物質が光を吸収した後、光を再放出する現象を
フォトルミネッセンス(photoluminescence)と言います。
    →フォトは、光。
     ルミネッセンスは、外部エネルギーを得て光る現象全般のこと。

今回だとルビーがUVライトの光を吸収した後、赤い光を再放出しています。

ルビーは、
わずかにクロム(Cr)を含んだ
酸化アルミニウム(Al2O3)です。
    →Crはギリシア語のChroma(色)に由来します。
     英語で言うとcolor(カラー)です。
     モノクローム(白黒の意。)、モノクロとかでおなじみですね。
     Crの化合物や、Crを含む物質がきれいな色になることから、
     この元素にはChroma(色)に由来したクロム(Cr)という
     名前が付けられました。
    →酸化アルミニウム自体は、1円玉やアルミホイルの表面に
     勝手に形成される自然酸化膜として、意外と身近な物質です。
     サファイヤ、アルミナも酸化アルミニウムです。

発光原理の詳細は大学レベルの電子物性の話になるので割愛しますが、
ルビーは、UVライト(※青、緑色のライトでもよい)を当てると、
赤く光ると覚えておくと、
ルビーの真贋の見分け方に使えると思います。

もしUVライトを当てても光らない場合、
それはルビーではなく、
 ・赤いガラス(SiO2)
 ・赤いキュービックジルコニア(ZrO2)
 ・上記以外の赤い化合物(ガーネット他)
などが考えられます。
    →ただし、天然のルビーは、赤い発光が弱いものがあります。

なお、ルビーは、
固い材料(モース硬度9。ダイヤモンドはモース硬度10。)であるため、
時計の軸受けに使われたり、砥石に使われたりしています。
スケルトンタイプの懐中時計にUVライトを照射した写真も載せますね。

懐中時計の軸受部のルビーのフォトルミネッセンス

なお、今回実験に使ったルビーとガーネットは、天然物ではありません。
かといって偽物というわけではなく、人工的に作った、合成宝石です。
化学組成は天然物と同じです(結晶は人工の方がきれい)。
内部に傷や欠陥もありません。

もしご興味があれば、通販サイト等でも
人工、合成ルビーは売っていますので、探してみてください。
ただし、安すぎるものは赤いガラス玉だったりします。
    →私も何度かやられました。
     1個100~300円はガラス玉率が高い(10x10mmサイズ)。
     1個1000円以上ならルビー率が極めて高い(10x10mmサイズ)。
ルビーかどうかは、ご自身でUVライトを当てて見極めてみてください。
    →※仮に購入した商品がガラス玉だったとしても
      私は一切の責任を持ちませんのでご注意ください。
      クレームは購入先にお願いします。

いかがだったでしょうか?
ルビーのフォト ルミネッセンス、お楽しみいただけましたでしょうか?

■UVライト

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お疲れカツカレー
私はコーヒー星から来たコーヒー星人です。チップは私のコーヒー代に変換され、さらには、やがて、新しい記事を書く活力に変換されることでしょう。「それでもよい」という粋で酔狂な方、お待ちしております。