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終わりの前に

「大好きー!」「私も大好きー!」

小学生の頃からの友人と、鎌倉の小町通りで、こんな照れくさいやり取りをした。
9月の、まだまだ夏といえるくらい暑い日。
一日の終わりを感じとれる、日が落ちる頃。

気恥ずかしい気持ちよりも"言っとかないと"が勝った。場所なんて選んでる場合ではなかった。

話の流れの詳細はおぼえていないけれど、今って今しかないよね、この時間って当たり前じゃないよね、明日どうなるか分からないよね、なんなら今日が最後になるかもしれないよね、みたいな、非現実的なようで実はリアルな想像を2人で話していたような気がする。
めずらしく、少し真面目な会話だったような気もする。

そんな私たちに似合わない雰囲気を和ますかのように、彼女はふざけておどけて私の名前を呼んで「大好きー!」と言った。「ほら、言っとかないとね。」って。
にやりと笑って見せていたけど、きっと真剣だと思った。

前までの私なら「急になにー笑」とか言って笑って誤魔化していただろうにね。

日が落ちる頃に言ってくるのもずるい。終わりが来る前に"言っとかないと"って気持ちにさせられたのだから。


今年はすごく、"終わり"というものを身近に感じた年だった。
いま振り返ると、居場所のひとつだった祖父の死も、拠り所だった恋人との別れも今年だ。

花は散るから美しいとか、終わりがあるから今が楽しいとか、そんな綺麗事じゃ済まされないことがある。

次がない"終わり"が来てしまったとき、人はあまりにも無力なんだと気づかされた。

だからこそ、誰しもがいつかはきてしまう"終わり"に目を瞑らず、とりあえず今、目の前の人と目を合わせて向き合って伝えることをサボらないでおきたい。

違うところで傷ついた友人は放っておかないし、
同じところで笑った仲間は大切にしたい。

私との日々をよく「たからもの」と表現してくれる先輩とは、これからも価値のある時間を共有し続けたいと思う。

こうやって文字を綴っていると、やっぱり思い浮かぶ人がたくさんいて。
それって幸せなことだな〜としみじみ。

その人たち全員、余すことなく大好きです!
幸せでいてね☺︎︎

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