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Vol.24-2#挑め!Leading Article/歓喜する手書派たち

その日のLeading Articleから解釈の決め手となった語彙を記録していきます。身につけば読む事がどんどん”楽”になります。

今日は手書きの効能がノルウェイの大学の研究で実証されたという話です。
手書から離れられない派の人たちにとっては朗報でしょう。


◎今日のLeading Article:手書の効能

Writing by hand is more conducive to learning than using a keyboard
Traditionalists bemoaning the decline of handwriting, both the volume of its usage and the quality of its execution, will be heartened by research by a Norwegian university. Neuropsychologists have discovered that writing by hand fosters much stronger and more complex connectivity between different regions of the brain than typing on a computer keyboard. Or, for that matter, using the keypad on a phone or tablet, however fast a youngster’s fingers fly across the screen. Such connectivity is crucial to memory formation. The better the link, the more chance of fishing out relevant information when you need it.

Inveterate back-of-an-envelope scribblers may be forgiven a degree of smugness at this news.

Their hard-copy dinosaur method really is superior to (and generally quicker than) the laborious business of opening a notes app to record your to-do list. The physical act of fine motor control needed to form the letters with a pen requires, and therefore develops, more brain power than is needed to tap a key. Many readers will agree that, often, the very act of writing something down with pen and ink on paper feels like an essential component of their aide-memoire. The science now confirms such anecdotal evidence.

□解釈のポイント■■■ 封筒の裏?

Inveterate back-of-an-envelope scribber/走り書きの常習者。やる事リストをそのあたりの適当な紙に手書きする習慣が染み付いている人という感じです。scribbleは雑に素早く文字を書くという動詞です。

Inveterateは常習の意味です。inveterate liar(うそつき)やinveterate gambler(ギャンブル)などあまり良い意味につかわれないですね。

なぜ”封筒の裏”なのか。
ざっくり書いたり計算するという意味で、その辺の要らん紙に書く程度のものという所に由来します。”その辺の要らん紙”の代表選手が封筒の裏紙なんですね。back-of-an-envelope calculation(概算)などと使います。

aide-memoire/忘備録。フランス語由来で、記憶を助けるもの。
どうでも良い知識ですが複数形はaides-memoireでSが付く位置が謎。しかも、発音は単数形と同じという不思議ちゃんです。

anecdote/逸話。根拠はあんまないけど、そうだったらしいよという程度の話を指します。梅干しを毎日食べてたおじいちゃんが長生きしたみたいな話いっぱいあるじゃないですか。今回の話はそういう逸話が科学的に実証されたという流れです。梅干しの抗酸化作用が医学的な研究で実証された、みたいな。

■試訳

手書きはキーボードを使うよりも学習に貢献する
伝統主義者は手書きが廃れている事を嘆く。手書きで何かを書く事が少なくなっているのと同時に、その質も下がっていると。そんな人たちにとってノルウェイの大学による研究は勇気づけられる内容だ。脳科学者の発見によれば、手書きが促進する脳の領域関連系はコンピュータのキーボードに比べてより強く、より複雑なものであるという。あるいは携帯電話やタブレットのキーパッドに比べても。若者たちの指先がどれだけ素早くスクリーンの上を行き交ってもこの結論に影響はない。この脳領域間連携は記憶の形成にとって極めて重要なものである。連携が良ければ良いほど必要時に該当する知識を引き出す確率が高くなる。

このニュースによって、頑なに自分の思いつきを走り書きする事をやめない人たちの独りよがりにも一理あるという事になる。彼らの紙ベースの絶滅危惧種的な方法は実際のところは懸命にノートアプリを開いてやる事リストに記録しているビジネスマンに対し優位性があったのだ(そして往々にして時間もかからない)。

キーボードを叩くのに比べて、ペンで文字を形づくるには繊細な動きを制御する物理的な動きが必要であり脳の力が要求される。その為、脳の発達が促されるのである。

何かをペンとインクで紙に書くという事自体が忘備録の不可欠な要素と感じるのに頷いてくれる読者は少なくないと思われるが、今回科学がそんな逸話を実証したのだ。

◇一言コメント:TheTimesのユーモア

自分もやる事リストや仕事のメモは手書が良いと思っています。形式的なものをどんどん処理するのにキーボードは楽ですが、0→1で何かを企画したりするのには手書きの方がスムーズな事が多いです。絵も描けますしね。

引用してない部分ですが、昨年10月カリフォルニア州では小学校での筆記体(curisive letter)学習を必須とする条例ができたそうです。文字の形を作るのに必要な動きが大きく違うので、似たような文字の区別を覚えるのに良いとのこと。

Pen Pushingは単純な事務作業の意味です。手書き自体は単純で意味の薄い行為ですが、それ以上の効能があるという話でしたね。たかが手書き、されど手書きです。

実は今日のポイントは何より画像でした。タイトルが筆記体(cursive)になっています。こういうセンスは楽しいですね。

e-paperのスクショです

☆2024年1月26日の出来事

・精神異常者Valdo Calocane氏大学生2名をナイフで刺殺。監視付病院施設での無期限勾留の判決。同じような犯罪は過去にあったわけで未然に防ぐべきだった。

・ウクライナに支援を!アメリカはあてにならず、ロシアはこれまでの失敗にまなび長期戦に持ち込もうとしている。欧州の支援が今までになく重要。

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