
やる時はやるよ!?ノートルダム大聖堂を復活させたフランス人の底力を見よ!
フランス人にとってノートルダム大聖堂は単に宗教的なシンボルだけでなく、ナポレオンの戴冠式やジャンヌダルクの裁判の舞台となった場所であり国の歴史そのものとさえ言える存在です。それだけに2019年の火災による損壊は国中に大きな衝撃をもたらしました。国力を結集した修復作業が行われ、入場者の受入れをようやく再開できた12月7日の記事からフランス人の底力をお伝えします。
🔹🔸英国の日刊紙から思わず誰かに話したくなった記事を紹介します
✔️なんとほぼ英語力不問!気軽にのぞいてくださいね
✔️それでも”誰かに話したくなる”英単語ベスト3を解説
✔️記事の理解に必要な固有名詞、引用句、トリビアもだいたいカバー!🔹🔸
◎”Faithful Restoration”(忠実なる復元)
2019年に起きた火災の直後、マクロン大統領は焼け跡で行ったスピーチで5年以内に大聖堂を修復する事を宣言しました。正直そのような偉業が予定通りに成し遂げられる(①pull off)と信じた人は多くはありませんでした。
なにぜ火災の規模と12世紀の古い建築です。現代の建築業界では当時の技巧(②knack)は失われているのではとの懸念もありました。
しかし、追い詰められると突如結束し思いがけぬ力を発揮する。それがフランス人です。延べ250社の中小業者から2000名の職人が集い昼夜修復作業に励み、なんと大統領の宣言どおり5年のうちに修復が完了したのです。その出来栄えに対する評判も上々で、大聖堂はめでたく往時の荘厳(③numinous)な姿を取り戻しました。

資金も国からの拠出だけでなく、大小様々な寄付金が寄せられその額は9億ユーロにもなりました。まさにフランスの底力がなしえた偉業と言えるでしょう。それにしても革命にせよ第二次世界大戦にせよ、はじめから本気出せば良いのにと思いますけどもね。
□本日のポイント■■■
①pull off/(難しい事を)達成する、やってのける
周囲の予想に反し、難しい事をやってのけるという言い方です。見込み(the odds)をひっくり返し勝利を収める気分は最高です。"You can pull it off! 君ならできるよ!"などと前向きな応援の言葉にもなります。
🔳Few believed that such a feat could be pulled off on the ambitious schedule to which President Macron committed as he stood amid the cathedral’s charred remains in 2019.
(試訳)ほとんどの人々はこのような偉業が達成されるとは思っていなかった。ましてマクロン大統領が2019年に大聖堂の黒焦げになった残骸の中に立って公約した意欲的なスケジュールどおりになるとは。
②knack/技巧
日本語で言えば”コツ”という感じでしょうか。語源は擬態語でknack knack(コンコン)だという説で、まさに職人が体で覚える妙技です。"She's got a knack for making people feel comfortable"というと天性の癒し系という事になります。
🔳 It also gives the lie to the unreasonably pessimistic view that modern societies have lost the knack of creating splendid architecture.
(試訳)また、近代社会から素晴らしい建築を創造する技巧が失われてしまったなどと無闇に悲観する人への反証でもある。
③numinous /荘厳な
神々しいという意味の言葉です。天から直撃する魂のバイブス、来てますよーって何か胡散臭いですか。12世紀の新築時の輝きを取り戻した大聖堂はありがたさ倍増です。
🔳Now, images of the newly pristine interior reveal the church has regained the same numinous glow it would have had in medieval times, though offset by subtle modernising touches.
(試訳)今やすっかり新品同様となった内装のおかげで、教会は中世の頃に有していたであろう神秘的な輝きを取り戻したのだ。少々今風の雰囲気は加えられているわけだが。
◇一言コメント
めでたし、めでたしです。ただ火災の原因は結局確定せず。火の用心は世界共通ですね。