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太平洋に浮かぶ島国に中国がやってくる

政権交代してみたら親中国になっていたソロモン諸島。潤沢なチャイナマネーによる投資を追いかけていたら、あれよあれよという間に軍の駐留まで。米国と中国の間でひきちぎられようとする太平洋の小国の情勢は日本にとっても他人事ではない。

🔹🔸イギリスの日刊紙から新鮮なニュース&トピックスをお届けします。国内メディアが扱わないニッチな情報や一癖も二癖もある英国目線を気軽に日本語で楽しみましょう。ポイントとなる単語は深掘りして解説してゆきますので、いつの間にか語彙力もアップしちゃうおまけ付です🔹🔸


◎”Judgment of the Solomons(ソロンモンの裁決)”

ソロモン諸島は太平洋に浮かぶ147の島国から成る人口わずか70万人の小国です。Honiaraという首都の名前を知る人はどの位いるのでしょうか。
これらの島々の名前から想起される(①redolent of)の は第二次世界大戦の戦地ですが、以降はこれといって話題のなかった国です。そのソロモン諸島が現在アメリカと中国の覇権争いの最前線となり注目を集めています。その変曲点(②inflexion point)の一つが外交上の認知についての議論です。

2019年のManasseh Sogavare首相就任を契機にこれまでの新米路線から一転し中国との距離を縮めました。その際にそれまで認知していた台湾政府を突然無視し、中国政府を認知する外交方針の転換が実行に移されました。外交的な問題とはいえ、現地の住民にとっては投資や開発支援がドルになるか人民元になるかという極めて現実的な問題に直結します。

Manasseh Sogavare首相はこうした親中路線の対価として中国資本の投資を呼び込む事に成功しましたが、並行して軍事面での接近を許してきました。中国警察が演習を行った他、中国軍の駐留を可能とする軍事協定も着々と準備が進んでいます(③in the pipeline)

中国からの投資増の展望は大半の国民が歓迎する所ですが、親中国派の議員の癒着の噂もあり、反中国の声も高まりを見せています。不安定な状況は国民にとっても地域にとっても好ましいものではありません。

実はソロモン諸島は旧大英帝国領であり、現在もコモンウェルスの一員です。中国寄りの現状からすれば直感に反する所ですがチャールズ3世が国王という位置付けにあります。英国もまたこの遠方の旧友に対して注意を向ける時が来ているのかもしれません。

□本日のポイント■■■

①redolent of /想起させる

匂いがするという意味の言葉から転じて何かを思い起こさせるという事です。過去の記憶は香りによって呼び起こされます。

🔳One consequence was a run on the sale of maps, as diplomats strove to fix in their minds’ eyes the geography of Pacific archipelagos with names **redolent of **Second World War battles and not much since.

(試訳)結末の一つは、地図の販売に飛びつく人が出てきた事だ。外交官たちも大西洋にある諸島群の地理を何とか記憶しようと試みた。これらの地名によって思いさせられるのは第二次世界大戦の戦闘くらいのもので、以降は何もなかった。

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