キャロルさん
我が家の長男は沖縄で生まれた。
転勤で沖縄に渡り、宮崎生まれの私も、4月から暑いことにさすがに驚き、5月には妊婦の状態で夏バテで倒れたのであった…
そんなドタバタの末に、健康に生まれてきた長男の子育ては、見知らぬ人に囲まれて初めは不安だらけだった。
息子を抱いて歩いていると、オバーが声をかけてくれるのだけれど、方言が何を言ってるのか全くわからず…曖昧に笑って返すしかなかった。
申し訳なかったなあ。
近くに米軍基地があり、犬の散歩をしている米軍家族のご婦人が「オオ〜ベイビィ〜」と言って話しかけてくれて、仲良くなった。
赤ん坊と動物は最強だ。
彼女の名前はキャロルさん。ご家族は当時中学生くらいのマックと、軍人のご主人。ご長男を病気で亡くされたのだと後から聞いた。
私のジェスチャーとカタコト英語でなんとかコミュニケーションが成立していたのは、彼女の優しさのおかげだったなあと思う。
友だちがいない、赤ちゃん連れの私と一緒に散歩してくれて、自分の家族の話をしてくれた。
息子を亡くして、苦しかったけれど、自分たちは彼と過ごせて幸せだった、今もずっと一緒で、幸せなのだと。
息子はキャロルさんとマックが大好きで、英語でいろいろ言われることを理解しているようだった。
このまま行くと、バイリンガル?と思ったが、息子が2歳半の時、福岡に転勤になり沖縄を離れることになった。
私の拙い英語で手紙のやり取りをしていたが、キャロルさん一家は沖縄を離れ、私たちも転勤であちこち移動している間に、交流が途絶えてしまった。
元気でいらっしゃるだろうか…
どこに行っても、新しい土地でなんとか友だちを作ってこられたのはキャロルさんのおかげだったかもしれない。
キャロルさん、ありがとう。
うちのタックも今では二児の父ですよ。
2018年 09月 20日