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★”John Parr / St. Elmo's Fire (Man In Motion) - Original Sound Track “ (1985)”

【SONGS】1985 私のnoteでは1970〜80年代の思い出の曲を中心に紹介していますが、年代問わずに出会った魅力的な曲についてもノンジャンルで記事にしたいと思います。


UK出身の男性シンガージョン・パーが1985年にリリースしたシングル「セント・エルモス・ファイアー」です。

ジョンは1984年にアルバム『ノーティ・ノーティ』でデビューします。アルバムはUKロック・チャートで6位を獲得するなどスマッシュ・ヒットとなりますが、アルバムからカットされたシングルはいずれもパッとしません。

ところが話題のアメリカ映画『セント・エルモス・ファイアー』(1985)のサウンドトラックでテーマ曲に抜擢されると一躍注目されます。この映画は学生時代に知り合った男女7人の卒業して社会人として成長していく青春群像物語で、ロブ・ロウ、デミ・ムーアらが共演しています。

USのシングル・チャート1位を獲得し、UKチャートでも2位になり大ヒットしました。

曲は大御所デヴィッド・フォスターとジョンによる共作です。ポップでキャッチーなロック・ナンバーです。

低迷していたブラス・ロックのレジェンドシカゴを『16』(1982)からプロデュースを任されたフォスターによる円熟のプラス・アレンジが楽しめます。メンバーの誰が歌うかは別として、この曲を「シカゴの新譜です」と言われたら思わず納得してしまうような仕上がりですね。


元々この曲は、脊髄損傷による障碍の認知向上のために当時世界中を車椅子で回っていたカナダ人アスリートのリック・ハンセンのために書かれたものなのだそうです。フォスターもカナダ出身です。その活動はマン・イン・モーション・ツアーと呼ばれていて、この曲の副題になっています。リック氏の活動は後にパラリンピックがオリンピックと同時開催になることにも影響しているとのことです。

この曲は何故かいつも「炎のランナー」(1981)とイメージが被ります。青春群像作品ということと、背景にあるアスリート繋がりということなのでしょうか・・・。


さて、サウンドトラックLPに納められたナンバーはクレジットだけ見れば「お!」というラインアップです。ジョンの歌うタイトル曲の他に、ビリー・スクワイア、ジョン・アンダーソン(イエス)、フィー・ウェイビル(チューヴス)、フォスターのお気に入り女性シンガーのヴィッキー・モスなどと並んで、何とあのエアプレイがクレジットされたナンバーもありました。名盤『エアプレイ』のテイストとは全く異なるエレクトリックな曲なので、正直「まぁね」って感じですけれど・・・。


参加ミュージシャンには、時のフォスター御用達の強者が勢揃いです。ギターにはビリー・スクワイアジェイ・グレイドンマイケル・ランドゥスティーヴ・ルカサー。キーボードにはフォスターの他にデヴィッド・ペイチスティーヴ・ポーカロジョン・エレファンテ(カンサス)。ベースはジョン・ピアス。ドラムはカルロス・ヴェガ、トリス・インボーデンなど。コーラスはリチャード・マークスが参加しています。そしてホーン隊にはシーウィンド・ホーンズ・・・豪華ですね。

あと注目する曲は、フォスター自身の名義になっている「愛のテーマ」(インストゥルメンタル)。彼のコンサートなどでも人気のナンバーです。


ジョンはその後アルバムをコンスタントにリリースしていましたがヒット曲には恵まれませんでした。2011年にはドイツの自主レーベルでの活動となり、2012年以降については資料が見当たりません。チャート的には一発屋ということになるのでしょうね。 

とはいえこの曲を改めて聴いても独特な高揚感があり、数ある80's の中でも秀逸なナンバーかなと思います。


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