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【名盤伝説】“David Sanborn / A Change Of Heart”

お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。フュージョン・サックス・プレイヤーデヴィッド・サンボーンの1987年リリースのアルバム『チェンジ・オブ・ハート』です。

Voyeur (夢魔)』(1981)、『As We Speak(ささやくシルエット)』(1982)と好盤を連発し、人気を不動のものとしたサンボーン。その後スタジオ盤やライブ盤をリリースしますが、少々物足りなさを感じていました。個人的には聴き手の心に一直線に突き刺さるようなサンボーンのアルトの音色にやられたので、曲のテンポに限らず刺激的な曲を求めていました。そうした自分の好みにジャストなアルバムがキターって感じです。

このアルバムの特徴は、複数のプロデューサーが制作しているところにあります。チーフは名匠マイケル・コリーナ。そして過去作でも重要な役割を担っていたマーカス・ミラー、この頃には既に大物感が漂っていましたね。そしてLAの名キーボード・プレイヤーのロニー・フォスター。さらに当時売り出し中の若手キーボードのフィップ・セス。四人四様のサンボーン節を聞かせてくれるバラエティ豊なアルバムになりました。

とはいえアルバム通してに刺激的でアグレッシヴで、参加ミュージシャンによる緻密で高品質なアレンジに負けないバトルが楽しめます。

収録曲
M1 Chicago Song
M2 Imogene
M3 High Roller
M4 Tintin
M5 Breaking Point
M6 A Change Of Heart
M7 Summer
M8 The Dream

アルバムトップを飾るM1。マーカスとスティーブ・フェローンのタイトなリズムに載せたテーマが印象的。さらにハイラム・ブロックの攻撃的なギターが聞きどころです。ステージでもよく取り上げられて、この時期の人気の一曲です。

M4はフィップ・セスによるNYファンクを思わせる機械的なシンセが全面にフューチャーされています。叩きつけるようなドラムはミッキー・カレー。彼は後にホール&オーツのお抱えとなります。そしてNYの人気セッションミュージシャンニック・モロッチによるハイラムに対抗するような刺激的なギターが気分を盛り上げてくれます。

アルバムの中で最もポップなM7。ロニー・フォスタープロデュースで、ジョン・ロビンソンのダンサブルなドラムがボトムを支え、ロニー自身のシンセ・アレンジが華麗に響きます。後半はサンボーンがまるでリズム隊とバトルしているような、灼熱の太陽を思わせる、まさに元気に夏を乗り切ろうというような曲です。

そしてアルバムラストM8はアルバム『As We Speak』でも素敵にコラボしてくれたマイケル・センベロによるバラード。センベロ自身がシンセアレンジのほとんどを担っています。これはサンボーンのバラード曲の中でも名曲だと思います。サンボーン入魂の泣きのサックスが堪能できます。



サンボーンは惜しくも今年亡くなりましたが、こうした名盤はずっと聴き続けますからね。2008年に亡くなったハイラムと天国で再会して、きっとセッションを楽しんでいることでしょう。安らかにお眠りください。



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