【名盤伝説】”菊池ひみこ / FLASHING”
MASTER PIECE 80年代に日本のフュージョン全盛期を駆け抜けた女性ジャズ・ピアニストの菊池ひみこ1981年リリースの2作目のソロ・アルバム『フラッシィング』です。
ヤマハのコンクールをきっかけに1980年に『Don’t Be Stuoid』でアルバム・デビューを果たしたひみこさんです。
ソロ2作目も前作に引き続き沢井原兒がプロデュースを担当し、同じく前作同様にジャズ・サックス・プレイヤーのアーニー・ワッツとの共演を果たします。
演奏は実質ひみこバンドDEAD ENDで、ギターでリーダーの松本正嗣、杉本和弥(Bs)、松本博(Key)、風間幹也(Drs)、川瀬正人(perc)の面々。A1、A4、B2、B4がひみこさんの作曲、A2、A3はアーニーが提供しています。「一緒にいて友人のように楽しく過ごしています」とアーニーが語るように、まとまりのあるアンサンブルが楽しめるアルバムとなっています。
A1は宇宙船の打ち上げSEとともに響くエレピが期待感を煽ります。フェイザーたっぷりのベース・ソロからのタイトなリズム・・・特段のギミックはありませんが、シンプルなJ-FUSIONサウンドです。メンバーそれぞれの高い演奏テクニックも全く嫌味を感じません。ファンキーなエレピ・ソロも、アーニーのソプラノ・サックスのソロも、どこをとってもいい感じです。
一転して明るい日差しが眩しい朝にぴったりのA2。アーニーのサックスが心地よくプロウしています。生ピアノの跳ねるようなソロはひみこさんの真骨頂。爽やかなナンバーです。
まるでリトナー&ジェントル・ソウツのアルバムを聴いているかのようなサックスとベース、ピアノのよるユニゾン大会から始まるB2。後半のゴージャスなビッグバンド風の展開と、ひみこさんのジャズ・フィーリングを堪能できます
ラテン・パーカッションからのマイナー調のサンバ曲B4。時々微笑みながらも淡々と鍵盤に向かっているひみこさんの表情が目に浮かびます。
どこかポップス調だったり、激しいロック・インスト的な曲調が人気だった当時の日本のフュージョン界で、高い演奏テクニックを背景としてジャズをベースに純粋なフュージョン・サウンド追求した沢井氏のプロデュース能力と共に、ひみこさんのバリエーション豊な表現力を堪能できる名盤だと思います。