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【名盤伝説】” Ernie Watts / Chariots Of Fire” オリンピックが始まると聞きたくなる クィンシー流アスリート達へのアンセム。

MASTER PIECE ベテラン・サックス奏者のアーニー・ワッツ名義のカバーアルバム『Chariots Of Fire (邦題: 炎の走者)』(1981)です。

アーニーは1945年US出身。若くしてその実力を認められて、自身のカルテットを組んだり、数多くのビッグバンドでプレーしていました。

私が初めて彼の名前を意識したのは、日本のジャズ・フュージョン系ピアニスト菊池ひみこさんの2ndソロアルバム『Flashing』(1981)でした。アルバム名義が「菊池ひみこ&デッドエンドwithアーニー・ワッツ」となっていて、「アーニーって誰だろう?」と。

ところがよくよく思えば、大好きなあのリー・リトナーのダイレクト・カッティング盤『フレンドシップ』(1978)のサックスはアーニーだった!と改めて気付く始末…当時はリーダー以外のメンバーをほとんど意識せずに、(言葉を選べば)素直に音楽を楽しんでいただけでしたね(苦笑)。

そして改めてクレジットを見直すと、私の好きなアルバムにぞろぞろ参加していました(汗)。ジョー・サンプル『レインボー・シーカー』(1978)、クラッキン『スペシャル・タッチ』(1978)、アンドリュー・ゴールド『オール・ディス・アンド・ヘヴン・トゥー』(1978)、デイン・ドナヒュー『ST』(1978)、ジノ・ヴァネリ『ブラザー・トゥ・ブラザー』(1978)、マーク・ジョーダン『ブルー・デザート』(1979)などなど…。挙げ出したらきりがありません。


そんなアーニーがソウル・ミュージック界の重鎮クィンシー・ジョーンズの制作指揮の下で、この『Chariots of Fire』を1981年にリリースしました。

ご承知の通り、同年大ヒットした映画「炎のランナー」のタイトル曲のカバー。映画は、走ることで栄光を勝ち取り、真の英国人になろうとするユダヤ人ハロルド・エイブラハムと、神のために走る牧師エリック・リデルという二人のアスリートの友情物語。サウンド・トラックのヴァンゲリスの名曲「炎のランナー」はインスト物でありながら当時大ヒットしましたね。

映画のイメージから、テレビ番組のアスリートを題材にした感動ドキュメンタリーなどのBGMの定番として、耳にしている方も多いかと思います。


クィンシーがどのような経緯でこのアルバムを制作したのかは分かりませんが、参加ミュージャン・クレジットを知った時の驚きを隠せませんでした。

参加ミュージシャン
Bass – Neil Stubenhaus
Drums – John Robinson
Electric Piano – Richard Tee
Electric Piano, Synthesizer – Don Grusin
Guitar – Carlos Rios, David Williams, Steve Lukather
Keyboards – Greg Phillinganes
Percussion – Paulinho Da Costa
Piano – Michael Omartian
Synthesizer – Ian Underwood
Tenor Saxophone, Alto Saxophone – Ernie Watts
Trombone – Bill Reichenbach
Trumpet – Larry Hall
Trumpet, Flugelhorn – Jerry Hey

LAの凄腕ミュージシャンが勢揃いです。とはいえ企画物なので若干の不安を感じながらも、聞けばさすがクィンシー!丁寧に制作された上質のアルバムでした。

収録曲
M1 Chariots Of Fire (Theme) (Dance Version)
M2 Hold On
M3 Lady
M4 Gigolo
M5 Valdez In The Country
M5 Abraham's Theme
M6 Five Circles
M7 Chariots Of Fire (Theme) (Slow Version)

タイトル曲のM1。いきなりのアーニーのブロウに耳を奪われます。曲の中盤の展開で聴けるシンセ・ストリングス&ベースのアンサンブルも素敵です。

M2はファンキーというかハードなロック・ナンバーというか、ギター弾きまくりのルークのソロは聞き物です。

映画の内容を知っている人には心に響く、主人公のエイブラハムの葛藤を表現するインスト・バラードM5。作曲はヴァンゲリス。カバーアルバムにサウンド・トラックを担った本人をキャスティングするあたりもクィンシーの大物たる所以です。

M7はリプライズとしてテーマ曲のスローバージョン。アーニーの抒情性豊かなフレーズは見事です。ルークはこうしたスローな曲のソロも上手ですね。


このアルバムは全体通して聴ける作品です。フルサイズの動画がありましたので、こちらでお楽しみください。(36:08)


アーニー本人とは・・・確かボビー・コールドウェルのバックで来日した時に観た記憶があります。演奏が終わってステージからはける時に、足元に置いてあった、まるでサラリーマンのような皮のタテ型のショルダー・バックに譜面を入れていたようで、何だかミュージシャンっぽく無いなと思ったのを覚えています。強面のおじさんでしたが、きっと根っからの職人なのだろうと勝手に思っています^^;;。もう20年以上前の出来事ですけど・・・。


気が付けば今年のパリ五輪も競技が始まりましたね。21年のいわくつきの東京大会から、もう次の大会が開幕するって早いものです。五輪が始まる度にこのテーマ曲のメロディが浮かびます。大会開催にあたりどんな事情があろうとも、アスリート達の競技自体は真摯で純粋で、美しいとしか言いようがありません。今年も楽しませていただきます。がんばれ!ニッポン!!



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