【名盤伝説】”Queen / News Of The World”(世界に捧ぐ)
MASTER PIECE UKロック・バンドの貴公子クィーンの6作目のオリジナル・アルバム『世界に捧ぐ』(1977)です。
1975年のアルバム『オペラ座の夜』からのシングル「ボヘミアン・ラプソディ」の大ヒットでロック界の頂点を極めたクィーン。次作『華麗なるレース』(1976)でも「タイ・ユア・マザー・ダウン」などのキャッチーなロック・チューンや、日本愛に溢れる「手を取り合って」を収録するなど心をこめたアルバムをリリースしていたものの、「ボヘミアン…」の熱量を上回ることはできず、ちょっとお疲れかなと感じました。
ところが1977年にリリースされたこの『世界に捧ぐ』では、そんな懸念を吹き飛ばすようなヘヴィーでタイトなナンバーを聞かせてくれます。バンドのポテンシャルも、まだまだこんなものではないぞという凄みを見せてくれたように思います。
今やスポーツ・イベントのSEとして欠かせないM1。この特徴的なリズムは演るのも恥ずかしくなるくらい万人周知のものとなりましたね。レコーデイングでは床をドンドンと踏み鳴らして手拍子というパターンを何度も繰り返して、ドラムやその他の打楽器は最小限にしか使用していないとのことです。こうしたアナログ録音の妙を、まだ普通に行われていた良い時代だったなと思います。ブライアン・メイのギター・ソロが唯一のメロディ楽器ということになりますが、コンサートでもメイの見せ場の一つとなっていますね。
クィーン代表曲の一つとも言えるM2。アルバムの先行シングルとしてリリースされてUSチャートで4位、UKチャートで2位を記録するなど、この時点ではバンドで最も売れた作品となりました。ボーカルのフレディ・マーキュリーの作品。フレディのコンポーザーとしてのポテンシャルの高さをこの曲でも遺憾無く発揮していると感じます。「世界中の誰も皆、自分たちがチャンピオンなんだ」という応援歌。こちらもスポーツ・イベントの定番となっていますね。
この曲は実は「ボヘミアン…」よりも以前にできていたそうです。ただリリースは見送られてお蔵入りしていたとのこと。このM1とM2の繋がりは秀逸です。
1974年リリースのアルバムと同名のナンバーM3。当時この曲は未完でリリースできなかったようです。時代のパンク・ブームに乗って、良いタイミングでリリースできたとは作者のロジャー・テイラーの弁。ハイテンションで一気に聴かせるハードなナンバーです。この曲では本来ドラムのロジャーがベースとリズム・ギターも担当しています。ベースのジョン・ディーコンは?????。
きましたジョン・ディーコン作によるメロデイアスなパワー・バラードのM5。彼の作品は本当にファンが多いです。親友が亡くなり消沈する友を励ます内容の曲。翼を広げて自由に活きることが大切だよという、このアルバムには、こうした世界を元気づけてくれるような曲が多いです。当時はそんなに暗い時代ではなかったようにも思えますが、パンクが流行っていたということは、どこか閉塞感に苛まれていたということでしょうか。
LPアルバムではA面ラス前に収められていて、もう片面聞くだけでお腹いっぱいになっていた記憶があります。
そんなアルバムのB面にはジョン・ディーコンによる、まるでビートルズのポール・マッカートニーを思わせる箸休めのようなアコースティックなM9、そしてミディアム・テンポながらヘヴィーなM10など聞きどころは続きます。
人気バンドだけあって、世界中をツアーで回っていたクィーン。当然日本にも何度も来日を果たしています。クィーンの伝説はまだまだ続きます。
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