【名盤伝説】”Wishbone Ash / Argus (百眼の巨人アーガス)”
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。UKツインギターの大御所バンドウィッシュボーン・アッシュの3作目『Argus』(1972)です。
バンドの歴史は案外古く、1966年にUKデヴォン州で、スティーヴ・アプトン(Drs)、マーティン・ターナー(Bs, Vo)、グレン・ターナー(G)により結成されたバンドが元祖。その後ロンドンに進出してグレンの代わりにテッド・ターナー(G)とアンディ・パウエル(G)が参加して伝説のツィン・ギター・バンドのウィッシュボーン・アッシュが誕生しました。
1970年にディープ・パープルのツアーの前座を務め、それがきっかけでレコード契約に至ります。同年末アルバム『Wishbone Ash (邦題:光なき世界)』でデビュー。どこか懐かしいトラディショナルなメロディーラインとツイン・リードの掛け合いの妙が話題となりました。
翌71年にリリースされた2ndアルバム『Pilgrimage (邦題:巡礼の旅)』は、正直地味な印象です。タイトル曲「The Pilgrim」は同時代に人気の出だしたプログレバンドのイエスを意識したかのような、8分を超える大作で組曲構成になっていますが、キーボードがいないためか展開が単調で、熱のこもった演奏の割には残念かなという感じです。
そして72年にリリースされたのが、この『アーガス』です。タイトルはギリシャ神話の巨人伝説に由来しているということ。ジャケットデザインはヒプノシスで、どこか謎めいた雰囲気を漂わせるデザインは上手いなと思います。
作品の良さが光るアルバムだけに評価も高くUKチャート初登場3位を記録。バンドの中で唯一トップ10入りした作品となりました。
テンポの良いロック・チューンのA3。ツインボーカルにツインギターの魅力が十分に発揮されています。曲の展開も硬軟上手く織り交ぜて完成度の高いナンバーです。後半のソロも飽きることなく聞き惚れてしまいます。
バンドの代表曲ともいえるB1。フェイド・インしてくるギター・カッティングからの印象的なテーマへと続く展開はゾクゾクしますね。延々とハモリ続けるボーカルは、ウィッシュボーンの特徴にもなりました。
さらにもう一曲、こちらもバンドの代表曲B4。ギター2本とベースの竿3本によるアンサンブルは唯一無二のウィッシュボーン・サウンドといえます。ラストのギターソロは感動的。アルバムラストを飾るに相応しいパワー・バラードです。
別の記事でも書きましたが、当時高校生だった私が初めて組んだバンドで演奏したのが、まさにこのアルバムから。私の周囲では絶大に人気を誇っていましたね。初めて観た外タレも彼らでした。
正直、今時ウィッシュボーン?という気持ちも分かりますが(汗)、ビートルズやストーンズ、クラプトンやベックとはまた違った意味で、当時のUKロックを代表するバンドの一つだと私は思っています。
1970〜80年代の洋物ROCK系のミュージシャンやアルバムを紹介しています。よろしければどうぞお立ち寄りください。