【名盤伝説】”高中正義 / On Guitar”
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。日本の人気フュージョン・ギタリスト高中正義の企画物『On Guitar』(1978)です。
高中の一連のオリジナル・アルバム紹介からは避けられることが多いのですが、リアル世代からするとこの作品は外せません。
この『On ・・・』シリーズはいわゆる教則物ですが、内容はオリジナルでは聴けない貴重なテイク満載で興味深いものがあります。高中の他にはPRISMの和田アキラもリリースされています。さらに後藤次利による『On Bass』、つのだひろの『On Drums』もありました。
ライナーには高中先生による楽曲の紹介とともに、エフェクターの配線図も紹介されていますが、本当にこんな簡単な機材で音作っているのかと、今改めて見ると思います。ところが当時のリアルなギター小僧からすれば貴重な資料です。「FOR PROFESSIONAL,AMATEUR GUITARIST & BASSISTS」と謳った雑誌Guitar Magazineの創刊が1980年12月ですから、まさにアマチュア・プレイヤーからすれば「おおお」ってことでしたね。
参加ミュージシャンも手抜き無しのいつものメンバーで、高橋ユキヒロ(Drs)、細野晴臣(Bs)、高橋ゲタ夫(Bs)、石川清澄(Key)。ちなみにこのLP盤リリース同日にYMOのデビュー・アルバムがリリースされていました。
A1は1976年リリースのジャズ・ギタリストのジョージ・ベンソンの名盤からのカバー。ベンソンの作品もカバーですけど、そんなことは当時誰も気にしていません。ベンソンが演ってる曲を高中が・・・以上です。
A2は高中も在籍していたサディスティックス時代のセルフ・カバー。アルバムのライナーにはデビュー・アルバム収録となっていますが、私の手元にはセカンドの『ウィー・アー・ジャスト・テイキング・オフ』に収録されているものしかありません。ご本人の堂々の勘違いでしょうか(汗)。お得意のサンバのリズムが心地よいナンバーです。
A3は何とビリー・ジョエル「素顔のままに」をカバー。ノリの良いリズムにアレンジされていて、ギターよりもリズム・アレンジが聞きどころになってます。
師匠サンタナのカバーB1。静かな泣きのギターが美味しいナンバー。かなり爽やかなアレンジなっています。ぜひオリジナル(1970年リリース)と聴き比べてみてください。音は古いですが情感たっぷりな哀愁溢れる音色は痺れますね。
アルバム・ラストはボズ・スキャッグスの名曲のカバーB4。この曲ではリードとサイドのギター・エフェクトの違いを注目してほしいようです。
高中オリジナルのA2、カバーですけどB1などの収録は当時嬉しかったですね。こうした企画物ならではのテイク違いはファンは大好物です。コピー・バンドマンとすれば、どのテイクで演奏するかはセンスの魅せ所。そういう意味でもこのアルバムは外せない1枚でした。
企画物も侮れないぞということで。