【名盤伝説】”Stevie Wonder / Hotter Than July” 灼熱の日々をポップなダンスチューンで乗り切るのだ!
お気に入りのミュージシャンとその作品を紹介しています。泣く子も黙るソウル系SSWのスティーヴィー・ワンダー。1980年リリースの19作目のオリジナルアルバム『ホッター・ザン・ジュライ』です。
スティーヴィーといえば名盤多数、ヒット曲は数知れず、R&B界屈指のヒットメイカーです。特に『Talking Book』(1972)や『Songs In The Key of Life』(1976)は超名盤。この『キー・オブ…』に続く4年振りのオリジナルアルバムが、この『ホッター…』になります。
何故のブランクか・・・この間スティーヴィー本人も出演したドキュメンタリー映画のOSTに関与しています。同時に黎明期のデジタル音源との闘いwと、実は行き詰まりを感じていた自身の音楽性にも向かい合っていた時期だったようです。
映画そのものは完成したものの未公開。アルバムのセールスも不調とあって、起死回生と言わんばかりに制作されたとか・・・作品自体の評価は何故か今ひとつだと言われています。USチャート3位、UKチャートも2位と大ヒットしているのですけどね。
フェイド・インしてくるコーラスともに野太く唸るベース、華麗に響くホーン、印象的なギターリフと完璧なオープニング・チューンM1です。スティーヴィーのソウルフルなボーカルもノリノリで、アルバム全体の期待感満載といったところでしょうか。素直に格好良いです!。
M1から間髪入れず続くこのM2にはマイケル・ジャクソンがコーラスで参加しています。ブルージーでありながらポップス・センスに溢れるナンバーです。
テンポの良いポップ・チューンのM4。途中のベースソロもハネハネで良い感じです。
ダンスチューンながら、どこか緊張感に溢れるM5。スティーヴィーのコンポーザーとしての才能の豊かさには脱帽です
彼の作品としては実は珍しいレゲエ作品M6。レゲエの神様ボブ・マーリィへのオマージュか副題にボブのヒット曲「Jammin’」がクレジットされています。
極上のピアノバラードのM9。心から愛した彼女との悲しすぎる別れの詩。切々と歌い上げるボーカルは心に沁みるどころの騒ぎではありません。心に刺さる痛みに涙がでそうです。
そしてラストは、ある意味この曲のためにこのアルバムがあると言ってもよいようなM10。アルバムの制作が行われていた頃、アフリカ系アメリカ人公民権運動の指導者、故マーティン・ルーサー・キングの誕生日を国民の祝日にしようという運動が行われていて、スティーヴィーはその運動に積極的に関与していました。アルバムのインナーにはキング牧師の写真が大きくあしらわれています。
そんな意図とは無関係にバースデー・ソングの定番として耳にされた方も多いと思います。心からハッピーにしてくれる名曲だと思います。
政治的なメッセージの強い作品だと言われますが、リアルな世代にはポップでハッピーでスティーヴィー最高!と素直に万歳したアルバムです。よりソウルフルなスティーヴィーがお好みのファンが離れた分を余りある、ポップなスティーヴィーに惹かれるファンが拡大した、そんな作品だと思います。
今回は試聴リンク満載。大好きなアルバムです。
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